Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

文学フリマ東京で靴の本を出す男

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文学フリマがいよいよ近づいてきた。

「当日の忘れ物はないか」と思ったがペーパーを作っていないことに気づいたので明日明後日に取り組みたい。お釣りも用意した、手持ち搬入のものはまとめた。

大丈夫だ。でも何か忘れ物をしていないか。不安だ。

 

文学フリマにはいろいろなジャンルの文芸作品が並ぶ。

一度、買う側としてゆっくり回りたいなと思うけどきっとそういう参加の仕方をすると「なぜサークル出店しなかったんだろう」と後悔するので今の所その予定はない。

 

そんな様々な作品が並ぶ中で私は靴の本を出している。理由は最新作紳士靴十一話にも書いたが「どれだけファッション関連のものが売れるのか興味があった」。これだ。

 

最初に出した遊びのコピー本は数冊だが全部売れて「ああ、売れるんだ」と驚いたものだ。幸服無限というフリーペーパーを当時は作っていて無料のものがなくなっていくことは知っていたけど、自分の作った有料のものが無くなるなんて思いもしなかった。

その後は幸運に恵まれ題材を多数持つことができ、最多の話数を誇る「紳士靴四十七話」。そこでやはり絵が必要だなと思い絵を描いたのをきっかけに知人のLINE似顔絵教室で描くの苦しみに耐える力を身につけて作り上げた「紳士靴九話」。次はその絵を楽しく使い、動的レイアウトで行こうと私のやりたいことを注ぎ込んだ「紳士靴十八話」と続く。

 

そして昨年末に十分に絵の勉強をしていないのでは?と気づき、得た感覚をもとに「上手くなった絵」と「さっぱりとしたレイアウト」の二つでつくりあげた紳士靴十一話。これを7日に出す。一作ごとに学びがあって、それを解決できる何かに出会えたのは正直ラッキーだ。この本も文フリ後には何か学びをくれるのだろうか。

 

私は当日は「場違いの存在」でいるように務めるためにネクタイをし、ジャケットを羽織り、革靴を履く。革靴なんて結局誰にも見えないのに。

 

毎回毎回私は場違いの存在であって「なんでこんなやつが、こんな本を持ってきているんだ」と思ってくれる方がいれば良いと思う(最近は浅いところでは自分が少し慣れてきてしまっていて、深いところではもうワクワクして仕方がないということにいつか大きな忘れ物をするのではと心配している)。立ち寄って、読んで靴の世界に興味を持ってもらえたりすると楽しい。「こんなものがあるんだな」と。

 

それではみなさま、お待ちしております。

文フリでの完売と俺

文フリ東京が近づいてるなーとカレンダーを見て思います。

あと来週に一回ブログを更新すると次の更新日は文フリ後。早い。

 

文フリでの私の目標は「完売」だったりします。気合を入れて売りに売って売りまくるとかではなく、適正部数を印刷所に作ってもらってそれで売り切る。ということで完売です。もちろんそんなことは無いけど午前中に売り切れましたとかは少し違う。15時〜16時頃に売り切れることをベストとしています。

 

完売の目標って良いなって個人的に思っているのは難易度設定が楽なところです。

5部刷って、5部売れても完売だし。難しくしようと思えば部数を増やせば良いだけ。

で、当日はそれに向かって頑張る。前回と前々回は部数を増やしたんだけど、結構大変だった。1日中喋ってるし立ってるし休憩無いしご飯も食べられない。今回はややゆったりとしたいから、そしてジャンルを移動したから部数を減らしました。影響がわからないので。

 

知人から見ると「私がそこにいて、接客をして売るから良い」そうです。

この言葉は本当に嬉しくてよく覚えています。前に書いた気がするけど、本もブースも私も一体となった何かになっていれば良いなと思っています。

 

寄藤文平さんって好きなイラストレーターの方がいるんですけど「絵と言葉の一研究 『わかりやすい』デザインを考える 」って本に絵と言葉が一緒になると別の何かになるみたいなニュアンスの文章があって、それが頭の中にずっと残ってて、そう思うわけなのです。本は確かに本だけど、そこにいつも敷いてるチェックの布や靴の絵のブースの看板とか靴とかそういうのが並ぶと見え方が違ってくるとかそういうことなんだろうなと。

もっと具体的に言うとチェックの布は水平垂直が取りやすいからキチッと綺麗に置くにはぴったりで、そう並ぶと真面目そうに見えるし靴の絵の看板は実際に新刊に使われているものなので私のブースにはどういった絵が描かれたものが売られているのかがわかると思います。

加えて靴も置きますが「その靴が絵になっていること」を端的に示すこともできますし、靴を置くサークルもなかなか無いのでユニークさも出るので良いアイデアだなといつも思います。そこに私が何らかの形でポジティブな介入ができると良いなと感じていたので知人の言葉は嬉しかったというわけですね。

 

接客をするのかどうかって話もあるんですけど、その辺は半年前のことなのであまり覚えていないですが、割としているような気がします。「立ってますよね」と文フリでだけ会う人に言われたりもしますし(これは座る→立つの流れがお越しいただいた人をびっくりさせる可能性を消したいってのもあります)。

「どうぞ、ご覧ください」とかそういった類のものから本の説明をしたりとか。その辺は割と相手を見ながらになります。原画も持っていくので必要ならば出します。まさに対面販売ということになります。

ジッと本を手にとって読んでくれている人などは話しかけないほうが良いだろうなとか、逆にどれにしようか悩んでたらそれぞれの本の特性がありますので「これは読みやすい」「これは文と絵が混じり合っていてレイアウト的にはとても凝っているので、よくできた本が欲しいならこれですね」とかそういう話をします。

 

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例を出すとこの「紳士靴九話」は反応が良いと明確に感じます。レイアウトも文章量も絞り切りながらの充実感。「入門用」ってフレーバーがあるというか。表紙もなんかそんな感じ。

 

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反対に十八話は少しディープな内容。表紙も中のレイアウトも私の好み全開で作っているので楽しい本ではありますが受け入れられやすさという点では九話には劣ります。九話がさっぱりしすぎていると感じる場合は断然こっち。

 

この辺は前回気づいたことなので今回活かされると思います。自分が作ったものを複数販売するとなるとどうしてもお互いの特性とか持っている役割が見えてきてしまうようです。これもそれぞれが混ざると別の何かになる現象ですかね。

「完売」という話からだいぶそれましたが、本は仕事でも作っていたしフリーペーパーも作ってたので進行は読めるので要素だけ抜き出すと全く読めないのは売れる売れないだけなんですよね。そこを自分と作品とブースの三位一体で乗り切ることが文フリが楽しいなって思うところなので自分で「30部売るぞ」とか「50部売るぞ」みたいな目標を設定して達成できたら良いかなと。

 

あとは、いうほどでは無いですけど何回も出ちゃってるので「いつもの靴の人」みたいになってるのかはわからないですし聞こうにも聞けないのでアレなんですけど、最初の頃の、誰も私を知らない状態で売るみたいなのはまた味わいたいのでどこか別のイベントに出たいなとかそういうのはここ1年くらい思っています。春のテキレボは4月1日ということもあり出られませんでしたが、テキレボとかも出たい。

 

 

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

 

 

2017年5月7日(日) 文学フリマ東京で販売する新作が出来ました。

こんにちは。

進行が遅れに遅れて心配していた新刊紳士靴十一話が無事完成したので報告します。

 

良いところ

今までは「説明をするのに両足描く必要はないだろう」と片足のみを絵にすることがほとんどでしたが、今作は両足、一足まるまる描くことに挑戦しています。これは単純に絵を描くことに興味がわいたことが一つ。良い本に出会い、トレーニングを積むことに成功したことも一つ。練習をして自信が生まれ挑戦したい心がうまれて実行に移す。良い流れですね。両足描くことで靴らしくなることはもちろんですが右足を描くことが左足の完成度を高め、その逆もあることは驚きでした。

 

掲載順について

今回は絵を先に描いてから文章に入りデザインへ進む方法をとりました。この手法ならではだと思うのは絵を描いた順に載せる面白さな気がします。今までは例えば既製靴と注文靴のように大まかに分けていましたが今回は描いた順番です。なので後半になるにつれて絵も気合が入ってきます。

同じメーカーの微妙に違うだけの靴を比較して読むことで面白さに深みが出るようにといくつか仕掛けましたが絵の上達度合いがわかると思います。特に本作で言えば一番最初のLeMocと180は同じメーカーのローファーでルックスはそこまで変わらないのに絵になってみると随分と違うものです。というわけで先行プレビューということで絵を載せましょう。

 

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Le Moc

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180

 

両足を描ききることが当たり前になって自信が生まれているような気がしますがどうでしょうか。こういったところもページを送ったり戻したりして見比べながら読んでもらえると楽しいです。

 

素直な表紙

今回の表紙は実に素直にデザインが決まりました。といっても会議中にコソコソっと描いていたものなのですが(これは秘密にしてください)。こちらはもはやTwitterにアップしているので勿体ぶらずに載せることにします。

 

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やりたいことと良い成果が出ると見込めるものが合致することは良いことです。

そうなった原因は絵に関して自信を深めたことだと思うとトレーニングの大切さを感じますね。

 

ざっくり、そしてやや長めですが新作の紹介をさせていただきましたが、どうでしょうか。少しでも気になって当日ワクワクした気持ちで私のブース「キ-06」に来ていただけると幸いです。既刊の情報などはこちらを見ていただけると参考になるかと思います。

 

c.bunfree.net

 

 

それでは御機嫌よう。