絵はいつうまくなるのだろう。
と思うとまぁよくわからない。
せいぜい「気づく」とか「ああ、そうか」とかでその上、答えを知れば簡単なことだったりして少し自分の能力を疑うようなこともある。
あとはなんだろうな……自分は絵を描くことで仕事の進行が上手くなったりとかそういうことがあるからどうしてもそう考えるんだけど「問題と向き合う力」は確実に付く。
描けないところをごまかすとロクなことにならない(絵が結局完成しない)のと、あとはこれは「描けない」状態を
・そもそも見れていないのか
・見えているが描けないのか
で少し違うことだが後者の場合は「わかっているけど逃げている」なんて状態でもあってこれはこれで絵が上達しないので結局、下手な絵と向き合うことにならざるをえないのでそういった形で問題と向き合って解決に向かおうとする力がつくと思う。
問題の種明かしは誰がしてくれるのか。誰もしてくれないのか、ある日突然自分の隠れた才能が開花していきなり絵が上手くなるのかもしれないし、黙々と絵を描いているといつかわかるのかもしれない。
デッサンの55の秘訣はそういった意味では「種明かしをしてくれる本」かなと思う。私は、言葉によって理解を得るタイプなのでこの本は相性が良さそうだ。
課題はまだ一つもやっていなく、一章しか読んでいないが私の抱える深刻な問題を解決してくれたことがそう思わせている。
私の靴の絵はよく丁寧だとか、愛を感じると言われはするが自分としては面白みのない絵だなと思うときがある。線だって静かだし、全体にメリハリもない。太い細いもまるでIllustratorで線ごとにポイント数を指定するかのような味気のなさ。
味気がないことは悪いことではないが、それしかできないことに問題がある。定番の洋服しか着られないから「まずはビビッドな靴下を取り入れましょう」なんて雑誌で言われてしまうのだ。
この味気ない状態からいつ抜け出せるのかと思っていたところで「デッサンの55の秘訣」である。マール社、優しい。ありがとう。
「一章のすべてがなんとなく血肉になっている」なんて話をしても意味が無い気がするので個人的に気に入っているところを上げる。
「実践的対話VS批判的対話」「線の言語(角度・形・トーン・大きさ)」「焦点化」
これは一章を読み終えて靴の絵を描いたときに頭に浮かんだものだ。
特に焦点化は「自分に必要だった何か」だったのだろう。
一つ前の絵よりも時間を描けていないせいもあるし、まさかよく描けるとは思ってなかったので粗が目立つが、それにしても随分と味わいが生まれた絵だと思う。
「焦点化が特に印象的だ」という話をしたが左足レースステイが紐で引っ張られて歪んでいるのがこの靴の良さを端的に表している気がしたので興味深く描いた。肉厚だが柔らかな、オイルドレザーの風合いが伝われば嬉しい。
あとは描く上で課題の正面を向いたつま先をしっかり描いてみようと意識したのでそこも集中した。
その辺が決まってくると全体のプロポーションも「きゅっと絞って見える」とか実践的対話がよく生まれるので完成までは早かった。
本当にちょっとしたことであるかのようにいろいろなことを言語化して教えてくれる本で非常に読みやすい。ただ、他の本もそうだけど基本的には「練習しろよ」というのは変わらない。マール社の本、良い先生みたいなものが多い気がする。
こちらはペンで描くの記事です。