Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

タミヤのミリタリーミニチュアの兵士と遊ぶ

兵士セットってなんのためにあるのでしょう。

なんのためにって随分な言い方ですけど、戦車だ車両だと作っていると「次は何を作ろうかな」と思うときには中々選択肢に入って来なくて。

 

「兵士セットねー。なんか違うんだよなぁ」

 

なんて思うことがしばしば。ソミュアS35を作ったときに人の造形の素晴らしさに感動しているので、いらないとか嫌いとかそういう気持ちではなかったです。

 

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私はアメリカ軍の車両欲しさに「1/48 ミリタリーミニチュアシリーズ WWII アメリカ歩兵 前線休息セット」を買いましたが、兵士一人ひとりを見ていて「あーよくできているなぁ」とそのもの自体のクオリティに一定の感動をして、そのあとに「これは好きなように組み合わせて遊ぶもの」ということについて考えました。「組み合わせて遊ぶ。好きなように」。うん。

 

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ここには戦車や車両を作るのとは違う何かがあります。なんでしょう。わからないです。例え話をしてもなかなか理解を得られないと思いますがしたいので書きます。

 

HIPHOP的に言うと、戦車、車両などは割と韻が固いイメージ。パチパチ組み合わさって1つの形になる様子は極めてHIPHOP的。最初のライムがベースとして続いていて、最後にズドンと決める感じを覚えます。

 
一方、兵士セットはどちらかというとフロウ重視。どこか創造性もあります。韻はリリックとビートの約束事のように存在しているところがありますが、フロウは自由というか、もっと枠組みが広く曖昧です。

 

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私には兵士セットはそういう「枠組みが広く曖昧なもの」の様に感じられます。確かに車両に人を載せた時に「情景が生まれた!」と感動したことはありますが、じゃあその情景を構成している人や小物たちだけで生まれる情景に自分はそう感じるのかというのが不安であり、自分の苦しいところでした。まるで感情がわからないアンドロイドのような気持ち。ただ、こうして遊んでみるとやはり生まれるのは情景でした。

 

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でも、その情景は誰が何を思って感動するのでしょう。私はこの情景に「ドラム缶風呂に入るか悩んでいる二人」というタイトルをつけましたが、そこには私が風呂が好きだったり、あるいはセットの中の兵士で気に入ったものが比較的穏やかな佇まいだったことに由来すると思います。また、自分でそれを作っているときには彼らが着ているタンカースジャケットに目が行き、昔欲しかったなと思い出して中田商店のオリジナルのものを調べたりしていました。REDWINGのブーツに、ナイジェル・ケーボンのカーゴパンツ、適当なシャツに合わせたら、どれだけ楽しいだろうかと。

 

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そうなんです。ここに来てわかることは非常に当たり前の答えでした。

自分が情景を考えて作るために兵士セットは存在しているということです。

ただ、そこで何を考えるのかがあまりにも自由。「自由にしてていいよ」と言われて何をしたらいいのかわからないくらいの自由さです。もちろん、戦車の乗組員として使うのも良いですし、傍らに添えて何かを演出するのも良いと思います。こんなことを書いていて思い出しましたが以前作った1/48 イギリス クルセーダーMk.III 対空戦車 Mk.IIIはさまざまな兵士が載ることで 「まるで戦争中とは思えない」和んだ雰囲気が生まれていました。

 

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寄藤文平さんの本で水素と酸素は結合すると水になる。それと同じで絵と言葉も組み合わさると絵でも言葉でもない別のなにかになると解説していました。

きっと、この兵士たちにもどこかにそういうところがあるのでしょう。

 

 

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

 

 

 

 

 

 

SKOOKUMのスタジャンは気に入ったら買っておこう

知っている人は知っている大きなニュース。

Skookumの廃業。

 

ブランドストーリーはスタジャンが有名であとはクラブやチームのユニフォームを作っていますよーというところを軽く触れておくことにする。

Made in USAの由緒正しいブランド。

 

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ここはファラオジャケットやレターマンジャケットなどスタジャン一つにしてもバリエーションが結構ある。襟がクルンってロールになってたり、裾がリブになっていたりなかったりとか。ボタンもスナップボタンなのか普通のボタンなのか、そうでもなくてジップアップなのかとかどうとか。フードがどうとか、袖の付け方が……とかやっているとまぁとにかく無数にある。それに加えて色の話も出てくるわけで。あ、あと素材ね。

袖が革かどうかとか。こうして書いているとキリがない。

 

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それを日本の企業やお店が別注して日本には落ち着いた色のものとか比較的使いやすいものが出回っているんだけどそれが、もう無くなっちゃう。

工場は残して資本が変わるだけで無くなっちゃわないかもしれないけど。

 

買っておこうというくらいなので、話をするまでもないようであるような肝心のものの良さですが「Skookum」って素晴らしいとかそういう意味があるそうで、たしかにその通り。裏地もついているので冬でも寒くない。

 

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中にパーカーとかセーターとか着れば全然問題ない。それとこれは知人に聞いて納得しちゃったんだけど「ラグラン袖だから袖が比較的よそよりスッキリしている」という話もポイント。他のところので、セットインスリーブだとズドンと太いものってあるもんね。

それこそオールドアメリカンな感じで身体の大きい人が着るくらいのバランスのやつ。

 そういう点でもSKOOKUMは形もすっきりしていて良いなと思います。

 

あとはもう豊富な色の組み合わせからどれを買うのかって話になるんだけど、ここは一つ自分に似合う最高の色合いを一発決めてみてはどうかと思う。

どうしたって、ネイビーとかグレーとか黒とかそのへんの落ち着いた色味は守備範囲が広くて本当に役には立つんだけど、それに合わせる服も似たような色ってのもなんだかつまらないよなって話でして。

 

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というわけで僕はさっきから写真に登場しているトリコロール風の色の組み合わせ。

濃紺のジーンズ、カーキの軍パンとかそういう定番のものを持っていればパンツのほうが全体のコーディネートはなんとかしてくれるから、自分がとびきり気に入ったのを買っておくと良い気がします。

 

新品で気に入ったのを探すのもよいし、ヤフオクとかでSkookumで検索かけても全然構わない。もう工場閉めるってんだから。また再開したらそのときはその時。変わった色味はヤフオクとかのネットオークションのが見つかりやすいです。とりあえず買う。買って着て、ふーんってなんとなく良さを感じて、気に入らないにしても取っておく。それでいいと思います。アメカジアイテムって嫌でも役に立つ日が来る。そして似合う日も来る。そのときに名品がそばにないのは寂しいじゃないか。

 

サイズは感は店で買うなら試着して、ネットでエイッとやるなら調べてください。

大体ですけど、36でS-Mサイズかなーって感じ。34も自分は着られなくもない。

中にシャツ着て、セーター着てとかやるなら絶対36。

 

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なんにしたって色や素材。それにディテール。

袖のリブを折り返す仕様なのかどうかとか、ポケットの付き方はとか興味がない人には細かな差異なんだけど見ているだけで楽しくて悩んじゃう。

好みのものを狙い撃ちでズドンとやってみてください

 

1/48のキューベルワーゲンで取り返す失敗

趣味の良いところって失敗しても自分で取り返せるところだなって思いました。

 

仕事で失敗すると「現場の失敗は現場で取り返せ」的な話になっても実際のところは、同じ現場なんて無いし、同じような失敗されたら困るのでフォロー体制が生まれたりするのか、あとはもうめちゃくちゃに怒られて完全にやる気を失うかとかまぁ、そういうことで自分でなんとかする機会ってあんまりない気がするんですよね。

 

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それで、私ですね、年末年始に作っていた1/35のプラモデルで失敗したんですよね「えーまじ?」って。箱絵と説明書と更に別紙の説明書をうまく見ていればなんてことはない話なのでしょうけど、そんなことは俺にはできない。なぜなら休みの日に作って、そこで組み立てる経験を味わいたいから。それが最後の最後にひっくり返される感じ。一言で言えば「これは納得がいかない」という状態。

 

ただ、こんなことで腐っているのもなんだかなと思ったので新たにキットを買う。

 

「次はコイツだ!コイツで失敗を取り戻す」なんて。

 

というわけで買ったのはどう見ても組みやすい1/48のキューベルワーゲン。独特のフォルムと暑さに合わせた兵士の装備がグッドです。

 

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どう見ても組みやすいとは言いましたが、失敗のしようがあるかないかはわかりません。ただ、これを作っているときの私は、失敗を取り返すという気持ちが強く、自分の精神状態をコントロールすることに熱心でしたので振り返ると「あのときの私に失敗のしようはなかった」と思います。

 

なにせ適切に接着剤を使い分け、クリアパーツの接着も最新の注意を自然に払え、小さなパーツも面倒がらずにピンセットを使うということがスムースにできていたのです。

 

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バックライトやサイドミラーなどをピンセットで適切に取り扱っている自分を感じたときの「良いビートに乗っている自分」を認識したときの自分のコンディションの良さは素晴らしかったと思います。

 

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それに作っているときにこのドカンと置かれたスペアタイヤのモールドが取り付けられている4つのタイヤと微妙に違うことに気づいて楽しむ余裕もありました。

 

 

この精神状態ってめっちゃ面白い。作ることに集中してるわけでもなく集中していて、それでいて微細なディテールに目を細めてニヤッと笑っている。そんな過程をもとに出来上がったもので、なおかつ納得が行くものだからすっごい気分が良い。「俺のキューベルワーゲンができたぞ」という感じ。というか実車ののキューベルワーゲンが欲しくなる。免許とるかとか考え出す。

 

車両、ソフトスキンというそうですがこれらはそういう争いにそこまでコミットしていない感じが戦争とかそういうものにイマイチ関心がないままプラモデルを楽しんでいる自分には具合が良い。程よい現実感があるというか。

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ここまでくると多分、キューベルワーゲンって名前、一生忘れないんだろうな。