Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

模型は発見の遊び

一年くらい目覚めたようにプラモデルを作っているがその前にガンプラを作っていた頃と随分と取り巻く環境が変わり、これはまさに洋服好きたちが各々にそれぞれの主張を花火のように打ち上げたり、コレクションについてどれだけ話ができるのかなど、そういったことを楽しそうにしていたころに似ている(気がする)。

 

そう、以前よりも他人の作品を見る機会が多く、また製品について調べられるので、何かが明確になった。これが大きな違いだ。

 

この違いはトレーディングカードゲームマジック・ザ・ギャザリングのような現象も生み出している。どこで見たかは忘れたがインターネットが広まり、さらにSNSなどでの交流が活発になったことで「以前よりも環境の正解が見つかるスピードが早くなっている」そうだ。「環境」というのは定期的に新製品が発売されるトレーディングカードゲームでは流動的で、まさに環境なのである。その中で「これが良い」という選択肢が早く見つかるということ。これはパズルを解くスピードが上がったという面もあるが、「これでいいよね」と全体の総意が得られる感じもあるのではなかろうか。

 

 

交流がなんとなく生まれて互いに「コレがいい」「いや、コレがいい」という話をしてそこで何かが発生する。昔よりも明らかに、そういうそれぞれの模型の作り方が見えるようになってきている。ただ「環境」というほど芳醇なものはまだないし、これからもそうかもしてない。ただ、私はそこで「実物に沿うかどうか」という、リアル感を表現し続ける巨大な魚群を見ている。

 

そして、私はその遊び方にあまり興味関心がない。はっきり言ってしまうと怖いのでいわないけど。明確になったのは、自分の好みだ。調べて集めて抽出する。言葉にする。考える。

 

私はプラモデルを「面白いところは面倒と表裏の関係」で、そこに発見が隠されている遊びだと思っている。

 

道具を買うのは面倒だけど、その道具を正しく使った成功は「道具を正しく使うとうまくいく」という発見で、反対に面倒でピンセットではなく指でなんとかしようとすると今度は指の繊細さに驚く。意外とイケるぞ。と。そして過信をして失敗すると「手を抜くと失敗する」ということにまた気付かされる。いくつか作っていると「今ある道具じゃだめだな」と例えばより先端の細いピンセットが欲しくなる。面倒だった、道具選びが発見によって、そうでなくなる。そういったことがパーツを貼り合わせることや色を塗ること、デカールと呼ばれるシールのようなものを貼ることに終始起きる。

クリアパーツを白く曇らせない接着剤は、うまく色を塗るには何を改善すれば良いのか、曲面にデカールをなじませるには……。

 

ここまで書くと「そうやって沼にハマるんだよなぁ。よしよし」なんて自分の管理している、とっておきの湖をまるで沼のように語るものがあるが、これはこれで楽しいと思う。それぞれに気づき、塗らなかった色は塗られ、貼られず捨てられていたデカールは貼られ、余ったものはどこかで使うかもと保存される。そういう間違い探しを楽しむと言うか、リアルさを発見をする目の魚群。

 

ただ、それ以外にもどうやらあるらしい。というのが私は今は面白い。

 

f:id:nero_smith:20180830212234j:plain

 

例えば自分の中でプラモデルは「切り取り、貼り合わせ、塗装、デカール貼り」と要素を分けていて、自分はどれが一番好きかを考えること。そしてそれらの作業量が一定の工数を超えると「楽しい」が「飽きる」そして「失敗する」という流れに向かうこと。

 

「具体的に話すと、これらの4つの要素の中で「塗装」が一番苦手な作業だ。なのでそれが多いプラモデルはあまり好きではない。ただ、それに関して注目していると、これは組み立て順にも問題があることに気づく。「いつまで経っても色ばっかり塗って組み立てられない。形にならない」のが苦手らしい。車を作っていて、説明書の順番を無視してある程度形になったらタイヤをはめ込んで「車」としてしまう人がいたら多分似ている。

 

f:id:nero_smith:20190221221710j:plain

 

f:id:nero_smith:20190425152454j:plain

 

塗装は苦手なんだけど、他は好きなんだよな。と思うと成型色がオレンジだったり青だったりするプラモデルを探し出す(この探せるというのは良いことだ)。

これは「色を塗らなくてもいいじゃん」という、問題をなかったことにするという発見だ。ハンバーガーのピクルスを抜く感じだ。

 

ただ、そうやっていてもいつか色を塗りたくなる。これが面白い。

写真のオレンジの車は、突然「デカールを貼ってみても良い」と思った。失敗してもオレンジの車はかっこいいし。大丈夫だって。

何か誘惑に負けるというか、作りたくなってしまうものが現れる。多分、そこをもう少し、売る側は頑張ったほうが良い。

 

f:id:nero_smith:20190527233746j:plain

このときの嫌なことは嫌なことではなくなったりする。苦手意識も対象次第で変わる。人の気持ちなんて勝手だし、いくらでも自分の気持ちなんて変わるんだなって思ったりもした。

 

 

f:id:nero_smith:20190727141338j:plain

 

それで俺は塗装はもう大丈夫!なんて調子に乗ると溺れるどころか帰ってこれなくなることがある。やっぱり対象次第で変わるようだ。ここで、最初の「いつまで経っても形にならないんだもん、これ!」という子供のような叫びが頭で響く。ああ、これは面倒だなと(発見する)。

 

出来上がりは悪くないけど満足行かないそれを見てもう一個買う(そう、プラモデルはもう一個買うのが割と容易い。なにせ安いものだけ作っていると本当に安いのだ。だから道具は、その価格に対して高く感じてしまうという)。悔しいから、自分の中でもやもやもやーっとしたものを抱えながら風呂に入る。突然それらが組み合わさって、答えが出る。爆弾にチョコレートをぶっ刺して爆発を止めるように。

 

f:id:nero_smith:20190801203631j:plain

 

俺が、プラモを作っていて楽しいのはこういう、発見が組み合わさって自分の答えが出るところだ。もちろん、そこには本物のようなリアルさは無い。ただ、解決策が見える。アイデアや試みがわかる。それは良いことだと思う。

というか、そこまで考えて考えて考える作業が多分、好きなんだと思う。

「これとこれは、こうなのでは?」

という話。実際のところ、これは部分塗装と呼ばれる技法になるとは思うが、それがこのエレールのシトロエンHバンのパーツ分割の面白さを引き立てているのはとても良いことだと思う。部分塗装はずっとある方法なのに。

 

模型が、模型らしく振る舞っている。

 

「今、プラモデルのシーンてめっちゃ面白くなってるんすよ!」

 

と言えるほどにプラモを作ってないし、上手でもないから自分の話を長々とするしか俺が思っているこの遊びの面白さを伝えることができないんだけど、こうしてなにか新しいものを見つけたように、自分は何か言われていたものと違うものを感じているようだ!と思ったりしたら今はブログでもTwitterでも何でも書けるので、書きましょう。

 

f:id:nero_smith:20190817011409j:plain

 

長い記事、読んでくれてありがとうございます。

文フリ東京は通ったら、こういう長ったらしい模型の本、作ります。

 

私の欲しい物リスト

 

今日の物販

ありません。

Citroën 緑のメアリ

好きな色は緑だ。あとは黄色と青も好きだ。

黄色と青が好きなのは混ざると緑になるからだろうか。

スーツやシャツ、ネクタイや靴でも緑のものを持っている。

 

緑は、良い色だ。その中でも、あまり見ない緑は良い緑のことが多い。

オリーブグリーンやカーキと言われる緑はよく見る。合わせやすい。

 

ライトグリーンなんかもそのような気もするが、実際はライトグリーンは将棋で言うハメ手みたいなもので知らなければ新鮮ではあるが、知っていれば「珍しいと言われている緑としてよく出てくる緑」という認識を持つようになる。

ああ、サイバー感のある緑ね。なんて。

 

f:id:nero_smith:20190815182613j:plain

 

ミントグリーンと呼ばれるような緑はどうだろうか。

一瞬、思い浮かばないだろうし、共通のそれも浮かびにくい。これは良い緑である可能性がある。ミントグリーンに限らず知らない緑は、すっと浮かんで消えてしまう。そこに存在しているが実態はつかめない、雲のような緑。知らない緑は、作れない。

 

私はこの緑をかなり繊細に作った。繊細にと言うのは頭の中にある緑を再現しようと注意深く混ぜたということだ。軽くないし、派手でもない、でも爽やかで良い緑。鮮やかすぎず、くすまない。

そしてそれが合う模型があった、部屋における物があるというのは嬉しいことだ。

 

f:id:nero_smith:20190815182624j:plain

 

エレールから発売されたシトロエンのメアリは、実際にも多彩な色展開があるせいもあってか色を受け止める力が強いと思う。また、四角い形状で、波打つパネルがその形を強調し、引き締める。そうして現れた、わかりやすいフォルムは何色に塗ってもその塊としての強さを損なわない。

 

f:id:nero_smith:20190815182803j:plain

 

また、ソリッドなシェイプに反してダイヤモンドステッチが走るシートが面白い。

これは実車とは違うそうだが、ベッタリと塗らずにムラを残すように薄く塗るとボディと風合いの差が如実に出る。室内の照明を浴びたときのそれぞれのギャップも面白い。

また、ハンドルはシートと同化しないように色を分けるとそれぞれの形がしっかりと浮かび上がる。確かにヘッドライトのカバーは無いが、気にせずに作っても別に良い気がする。というか、ボディの色が決まってしまうとこの車は全てが許せる。それでいてボディの色は決まりやすい。

 

f:id:nero_smith:20190815182555j:plain

 

念入りに、頭から手を伝い、それを目で確認した色で塗って「これはいい色だ」と言える一台を作ってみてはいかがでしょうか。

 

おすすめは明るい色ですね。

 

私の欲しい物リスト

 

今日の物販

 

 

 

エレール 1/24 シトロエン メアリ プラモデル

エレール 1/24 シトロエン メアリ プラモデル

 

 

 

☆ ノレブ 1/43 シトロエン E-メアリ 2016 オレンジ

☆ ノレブ 1/43 シトロエン E-メアリ 2016 オレンジ

 

 E-メアリもかっこいい。

 

 

まるで試験のような、挑戦を

F1ってなんだか模型の中でも華がある気がする。これはずっとそう思っている。形も、精密な見た目もそう。デカールなどで表現されるグラフィックもそう。なんか、かっこいい塊。部屋に置いたらかっこよさで周囲の全てを吹き飛ばす。

 

f:id:nero_smith:20190808165318j:plain



 

安いということを教えてもらい、部屋にF1あってもいいか。とか、一回は作ってみたいと思ったのでそういう縁だと感じて買ったのはウルフWR-1。そのときには特集されている雑誌も教えてもらって、Kindle Unlimitedで対象だったので読む。こうやって安易に絆を結ぶところから模型製作が始まるのも楽しい。

 

f:id:nero_smith:20190808165337j:plain

 

作ってみるとよく分かるんだけど、F1に華がある気がするのはどのパーツも面白いからだ。見た目もそうだけど何が何だか分からないものでもあるし、あとはそう、他のジャンルとあまり被らない感じというか。車に近いかなーと思ったらタイヤのデカさとかも違うしなんかそういう、なんて言うだろうね。特別なものを作っている気がすごいする。むしろF1以外のキットで蓄積されたノウハウの終着点がここなのか?と思ったりもした。

 

製作の難易度はやっぱり高いなって思う。何がというとニッパー、カッター、ピンセット、接着剤などなど各道具を適切に使えるかどうかがまず試される。だから、一番最初に飛行機を作った自分と違うことがわかる。持っている道具とそれをどう使うか。頭の中で何をどうするのかも考えることが多い。切って貼る中に、どう切ってどう貼るのかが潜んでいる。デカールだってドライヤーでなじませたりしないとうまく貼れないし、よく見て貼らないと足元をすくわれる(リアウイングの側面のリベットのモールドとかな)。

 

f:id:nero_smith:20190808165401j:plain

 

ただ難しいといっても「テストを受けているような感じ」が面白くて、出来上がったときは奥さんに「二度と作らねぇ」とか冗談で言ったけど、遊ぶっていうよりも「挑戦」って感じが楽しかった。

 

今は、他にもう一個作ってみたいなって思っている。

 

それは前の記事で書いたんだけど俺がF1は「ここがこうだからカッコいい」という理由を見つけたから。「デカールは粘り強い人が上手に貼れる」という言葉にえらく感銘を受けて、そこからデカールを貼るのは大好きな作業になったように、自分の心になにか一つ、良い言葉がよどみなく流れ込んできたときは、次はうまくいく気がするからだ。

 

f:id:nero_smith:20190808170132j:plain

 

成型色の、黒と比べてみないと一見わからないような深いネイビーとゴールドのデカールやカナダ国旗の赤と白の組み合わせがどういうわけか和っぽいのがまたなんとも言えない見た目のカッコいいキットです。

側面の曲線も控えめながら流れを感じて気持ちがいい。トラディショナルな感じって勝手に思ってるけど、洋服好きだとわかると思う。

 

私の欲しい物リスト

 

今日の物販

 

 

 

GP Car Story Vol.28

GP Car Story Vol.28

 

 

セットで買うと面白いです。雑誌の方は読み放題対象

 

 

エブロ 1/20 マクラーレン ホンダ MP4-30 日本 GP プラモデル 20015

エブロ 1/20 マクラーレン ホンダ MP4-30 日本 GP プラモデル 20015

 

 

次作りたいの。