昔NHKの熱中時間かなんかで時計を直すのが好きな少年が出てきていて「修理するための道具を作ることもある」という話をしていたのがとても印象的で良く覚えている。
その「道具を作る」という感覚がとても新鮮で私なんかだとパソコンを用いた業務が主だったから余計に遠い向こうのような話、やっぱり手で何かをする人は違うなんて思いもした。
最近、電卓での計算というのにいくらかストレスをいつも覚えるということに対して「あ、エクセルってこういうときに使うのね」なんてバカみたいなことに気づいた。
それまでは割と「エクセルを覚える手間よりも従来の手段で行った方が時間はかかるが楽」と思っていたのだが、この日はどういうわけか違った。とにかく電卓が嫌になったのだろう。私はごくシンプルな合計点数、金額を入力するとそれぞれの合計が出て、更に本来あるべき量に対してどれくらいの誤差が生まれているのかを見ることができるものを作った。これは非常に便利であった。特に、打ち間違えが分かる上に部分的なやり直しがきくのが大きかった。
その後気を良くした私は他にも似たようなものをいくつか作った。
私の日常業務で必要なのは「何がどれくらいあるのか」を算出するものであり、それが例えば倉庫の中の備品の数なのか、あるいはあるべき現金の量なのかとかそういった場面違いであるだけだということに気づくこともできた。
そうして作った合計算出機のようなものを眺めていて「ああ、これが道具を作るという感覚か」と味わえ、冒頭の時計修復少年を思い出したのである。