Re:11colors

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みんなのアムステルダム美術館へ


映画 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』公式サイト

 

年末に「みんなのアムステルダム美術館へ」という映画を見た。

映画と言えばドキュメンタリーをよく見るのだが、この映画もそういうジャンルのもの。

この映画については「果たして誰が悪いのか」ということと館長が最終的に「いやぁ、出来上がって良かったよはっはっは」なんて見せかけの達成感に惑わされなかったことについて良い印象を覚えた(つまり、結果的に観て良かったということだ)。

 

ストーリーは主に

 

・自転車道を守りたい市民

・それを解決するためのアイデアを示し、採用された建築家

・ルーヴル級の成果を目指す美術館サイド

・それを実現するために関わる作業者

 

そしてそれらの状況を逐一報道するメディアの動きを追う形進んで行く。

建築家は「自転車道」という結局最初から最後までサイクリストの賞賛を得ることに至らなかった問題を解決するためにアイデアを出し採用されるが今書いた様にサイクリスト側から「これじゃだめだ」「あれはこうしろ」と熱烈な非難を浴びる。「それを解決するためのアイデアで通ったのに何で?」と困惑するのは無理もない。

こうなると美術館サイドは「サイクリストの運動には困ったもんだ」と辟易するわけだが一方で内装の施工では「壁の色が気に食わない。試しに別の色に塗ってくれ。塗るだけなら簡単だろう?」と「アイデアが通ったのに何で?」と作業者に言わせてしまう行動をする。

 

私が「良い印象だ」と書いた1つ目の理由はこういった問題の収集がつかない状態、正に「みんなの」というタイトルの頭の言葉が悪い意味で作用している様子を見られたからだ。結局こういう問題は何らかの決断をトップが強力に進めて行くことで一応の解決を見せることが良くあるのだが、その要素の1つが「見せかけの達成感」だと思う。

 

そしてそれに感化されたのが内装を施工したスタッフの1人で最後には「出来て良かったわ。感動的」と泣いている。実際にもっと良くなったのではないか、どうすればよかったのかなんていうのはもうどうでも良い。出来たから満足。

一方で館長は「私はあの壁の色は気に入っていない」とはっきりと言う。

 

「ルーヴル級のものをとやっている、妥協はない歴史的な大改装だ」

 

という意識が垣間見えたし様々な妥協で軟着陸した「みんなのアムステルダム美術館」になってしまったことが悔しいという感じすらする。私にはその悔しさが不機嫌という態度で現れていたのが酷く印象的に写った。ダサイ同調はご免だという姿が本当に良かった。

最後にレンブラントの「自警」が画面に映るのだけどそれに関しては「サイクリストが自警したことによってこういう事態になった!」「この国はこういう国民性だからそれが発揮された成果なら当人達は満足するんでしょ?」ということを表しているようなそんなような。

強力なキャプテンシーで館長が歴史的な綺麗さを誇る美術館を完成させて強大な「見せかけの達成感」で全員を丸め込むなんてのもありだったのか。

 


RHYMESTER 『The Choice Is Yours』 - YouTube

 

この曲は割とそういう「大規模なみんな」と誰かが決断を下す、裁くという行為の大変さというのを表していて鑑賞中に頭をよぎった。