今年はいつにも増して暑い気がする。
平均気温がどうしたとかそういう話なのかもしれないけども、個人的にあまり涼しくない職場に移ったのが大きいのかな、と思っている。
じわじわと暑さは私の身体に影響し、体力を奪われていたようでどうにも力が出ない日がいつまで続くかわからない何かをやらされているような感じにだらだら、ぼんやりと続いた。家に帰ると冷房を効かせる。それでも私の肌にまとわりついた夏はいつまでたってもとれない。汗とは違う何か不快な間隔が肌にまとわりつく。
Tシャツを着ているのもなんだか気持ち悪い。それはきっとどんなに滑らかな生地のものでも肌を滑る感じが、ざっくりとしたものでも抱えきれずに溢れた不快が戻ってくる感じがあった。
そんな中、マドラスチェックのシャツを買った。
元々の由来から「暑い中の清涼感」というイメージを持っていて、昔も着ていたので改めて買い直したという形だ。
快適な店内に特価で並ぶ一着990円のそれはどの柄も涼しそうで見ていて楽しくなった。「どの色が良いかな」なんて家で着るだけなのに結構悩んだりして。
結局、誰が見ても涼しげな気持ちの良い青。底の土の茶色が見える澄み切った川の様な茶色を基調としたもの。そして夏の色の黄色の三着を買うことにした。
縦横に規則的に並んだ色の格子がどこで見たのか、色々な記憶が混ざったのか川に反物が掛かる様子を想起させ、見ているだけでも川とか水が頭の中に浮かんだ。
水彩絵の具みたいな透明度のある生地だなと改めて今着ているシャツを見ていると織物だから当たり前のことなのだが、糸と糸が折り重なって色が出来ていることに気づく。
それぞれの糸の色が重なり合って生まれた部分は曖昧でぼやーっとしている。キッチリ縦横に走る格子はそれを流す樋のようだ。綺麗な色がサラサラと流れていく感じによどみのない透明感を覚える。区画整理された水の通り道。
少しだけ麻の入ったぱりっとした生地は肌との関係性も良好だ。