ワークブーツと言われる類いの靴はどういうわけかカスタムという楽しみ方がある。
イメージとしてはミニ四駆の改造が身近な気がする。
色々なカスタムができるのだが、あれもこれもと取り入れるととんでもないキメラが出来上がってしまって本来の良さがなくなってしまう。既製靴のバランスを崩すことの危うさとカスタムすることで得られる「自分の靴」という愛着の綱引きが楽しい。
割と広く知られていて、かつやりたいと思う方が多いカスタムの1つにソールの交換というものがある。
簡単にいうとワークブーツに多く用いられる製法(グッドイヤーウェルト製法)で作られた靴は本体と底は剥がすことで交換が出来るのだがその交換のタイミングで今ついているものと違うものをつけましょう。これがソール交換に於けるカスタムに当たる行為だ。
実際に何の気無しにそれを行おうとすると無数に出てくるパーツの素材、色、特性にノープランで行くとマズいことに気づかされる。
調べていて傾向として多いだろうなと思うのは「ゴツくする」という方向性。
ソールを分厚いものに取り替える、或いは間に合板を挟むことで分厚くする。靴全体に重さを与えるコンセプト。ただ、厚みが増すほど靴は曲がりにくくなり歩きにくくなるし、本来ついているパーツと違うパーツをつけると厚みとヒールの高さが変わることがほとんどなので靴のフィット感が微妙に変わってくる。
具体的には踵の高さが上がってしまえば足は前に詰まりやすくなるし逆に低ければ踵が痛くなりやすい。その辺を既製靴は上手くやっていることがほとんどでそれよりも良い新しいバランスを見つけるとなると経験が必要になってきたりもする。
見た目の変化も大きく、かつインパクトの強いソールカスタムだが厳密にこだわる、特にフィッティングに対してシビアに見ている場合だと微妙な際が気になる結構デリケートなカスタムなのだろう。
今、修理に出しているブーツはそんなことを考えながら結果的に色違いにするという落ち着いた修理になった。
上手く行ったカスタムほど「あ、この人靴好きなんだな」と思わせる奥行きのある存在感を持つものはないのでチャレンジしてみるのも楽しい。