Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

書籍「一生ものの、山道具」を買った。

こういったルポの要素を含んだ本を読まなくなって久しいがそれでも欲しいと思わせる中身だった。

 

 

 

一生ものの、山道具

一生ものの、山道具

 

 

 

この手の本を読まなくなった理由はいくつかあるが、個人的には「この通りにものを揃えても一生ものとして使える保証はどこにもない」ことがかなりデカい。ただこういった愛用の道具達を見るのは楽しい。

 

今や「陳腐化してしまった」と書いてもあまり怒られない程度にファッションにまつわるそれは多く出回り見ても面白くないものが増えたがよくよく考えてみれば服好きが服好きの真似をして満足するようなことはあまり起きないのである。どこかで越えたい、少なくとも肩を並べようという気概でそれを追いかけ続けるということは気づいたら卒業して独自のそれを探しまわり違う川に足を伸ばして珍しく、美味しそうな魚を釣りに勝手に出かけだすものだからだ(と思う)。

そんな違う川で見つけられたものを図鑑に載る前に味わってやりたい。

というわけでALDENが発掘されたり、コレクションの最後に出てくるデザイナーを眺めたりという事態が発生している気もするのだが、この本も割と「ソレ」な要素を含んでいる。と。しかし今日はそんな話をするつもりはなかったので本題に入る。

 

この本の素晴らしいところはコンテンツが「ソレ」なこととは別のところにある。組版(わかりやすく言うとレイアウトの事だ)が綺麗でかつ面白いのだ。

大胆かつ繊細にという言葉が正にぴったりな誌面の端に寄せた見出し。二段組の本文はすっきりして読みやすい。視線の流れを上手くコントロールしてるので見出しの緊張感は二段目の小口までのアキの開放感のバランスが良い。

 

広く取られた下部のホワイトスペースに横組で商品名とそれに付随する情報が入る。綺麗だ。左ページのページ番号はノド側に配置。これも良い。というかこれが良い。安易に隅っこに配置させないところに「ページを構成する要素全てを丁寧に扱おう」という気概を感じる。

 

個人的な推測にしか過ぎないがこの置き方にはピリッと端っこ上側に存在する見出しだけがはみ出て見えるようにして目立たせ、アキの綺麗さで見出しをしっかりと立たせて(存在感を出させて)あげていると思う。

ノドのアキもたっぷり取っていて贅沢なデザインだが総じて余白の白の疎密が美しく、それでいて飾らないナチュラルさを感じさせる良い組版だ。

 

※全然関係ないのですが週刊はてなブログ「バンドTに一目惚れした服、世代を超えて受け継がれている指輪。ブロガーさんの『お気に入りの一着』を紹介してもらいました」に掲載されました。ありがとうございます。