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毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

Willisau and All That Jazz: A Visual History 1966-2013

かっこいいな。と思い続けていたグラフィックデザイナーの作品集が手に入った。

 

Willisau and All That Jazz: A Visual History 1966-2013

Willisau and All That Jazz: A Visual History 1966-2013

 

 

ニクラウス・トロクスラーというデザイナーなのだが何にしても入手が容易な本がなかなか無い。gggが出している小さな作品集が最も手に入りやすいそれだとは思うが、それを読むと俄然他の作品が気になる。

 

 

ニクラウ・トロックスラー ggg Books 80(スリージーブックス 世界のグラフィックデザインシリーズ80)

ニクラウ・トロックスラー ggg Books 80(スリージーブックス 世界のグラフィックデザインシリーズ80)

  • 作者: ニクラウス・トロックスラー
  • 出版社/メーカー: ギンザグラフィックギャラリー
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

表紙の指一本の絵はソロコンサートのポスターに使われたもののようだが、ソロという意味を切断された指一本で表現するあたりにセンスを感じ、かっこいいなと思う(何せ、普段は他の指達と手を形成しそれぞれが連動する事で素晴らしいパフォーマンスをしている指をこう取り扱う事で集団から飛び出した、1人〔ソロ〕であることを表現しているからだ!)。

「他の作品が俄然気になる」と興味に任せて検索窓に「Niklaus Troxler」と打てばそこにあるのは「troxlerart.ch」と自分の名前にArtを付け足したシンプルながらもわかりやすいサイト(彼の作風そのままだ)。その作品達に惚れ惚れしながらポチポチサムネイルをクリックしていると次に「gggのものより大きな作品集はないのか!!」とネットの海を泳ぐようになる。海を泳いだ当時の私は21歳であったが、gggが取り上げるほどのデザイナーの作品集が日本語版はこの小さな本しかなく、海外の他の作品集が絶版で手に入らない事を知り悲しい想いをした。そして今に戻り、年が明けた2016年の2月。たまたま検索して見つけたこの全集は私の想いを晴らすには充分なものであった。

 

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表紙のこのデザインも2人の演奏が確かなハーモニーを生みつつも確実に独立して存在していることを表現していて素晴らしいと思う。

 

この大きさもさることながらこの厚さである

 

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ここ最近自立するような本を手に入れた記憶もなくとても満足感のある質量だ。

 

開いてみるとまず作品集ではないことに面食らう。

中は「ウィリザウジャズフィスティバル(そう、彼がディレクターを務めるフェスだ)」の様子が写真で示されときには演奏者の写真とトロクスラーが作った美しいポスターが並べられ「あー、この人は確かにこのポスターっぽい」と感心をしながらページをめくってしまうものだった。「彼はジャズとともにいたのだ」などと思わず書きたくなるほどの作品集だ。

 

ここで感じるのは彼の突飛でありながらもシンプルなアイデアは卓越されたセンスという言葉よりももっと地平に沿った「観察力」に基づくのではということだ。大抵、素晴らしいアイデアの作品はその発想力に驚き、感心をするものだと思うが今回この作品集を手に入れて感じたのはトロクスラーとウィリザウジャズフェスティバル、ジャズの距離の近さだ。考えに考え抜いた、むしろ考える事なく感じて表現できてしまうレベルにまで達したのか最近の作品はリズムにウェイトを置いた作品が増えている。グラフィックデザイナーながらも音楽への愛がギュッと込められた本物のデザインは見ていてるだけで本当に気持ちがよく、心がすっきりする。

 

せっかくなのでいくつか作品をピックアップさせて頂く事にする。

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蛇のトリオが複雑に絡み合うハーモニーを表現

 

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これは割と有名です。ポスター集とかにも出ている。

アメリカのピアニストが来るんですねと一瞬でわかる伝わるスピードの速さ。

 

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楽器が電話になっているのは出演者がColemanでcallとかけてるのか。

 

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これは一番好きなポスター。卒制のポスターでパロッたものを作った。

Oliver "LAKE" Quartetと書いてあるので湖に映るサックス奏者。

この湖に映っている、というのがとても好き。

すべてtroxlerart.chより引用

 

こうして見ているととにかく伝わるスピードが早く、単純明快なビジュアライズにビックリする物が多い。

 

Willisau and All That Jazz: A Visual History 1966-2013 オススメです。