Re:11colors

毎週木曜日更新です。

ジュエリーの世界史を読みました。

ジュエリーの世界に触れてみる必要があったので、Amazonで「ジュエリー」と検索したら出て来たのが、ジュエリーの世界史/山口遼だ。

ちなみに私はアンティークの指輪、英国の職人が手彫りをしたバングルをつけているのでジュエリーを付ける男だ(個人的には植物モチーフのものは植物の有機的な感じと金属の対比が面白いなと思ってつけている)。

 

この本は日本における宝飾文化や石それぞれの歴史、カルティエティファニーハリーウィンストンなどの人物伝、そして起源から今を時系列で触れられる正に歴史そのものの章と続き、最後に技法やデザイン、素材についてあるいは宝石狂いの人のエピソードなどのまとめと言った構成で、最後には「宝石の正しい買い方」という文庫版出版にあたり加筆されたものが収録されている。

 

ジュエリーの世界史 (新潮文庫)

ジュエリーの世界史 (新潮文庫)

 

 

読んでいて、どんどん続きが読みたくなることが最大の魅力のこの本だがとにかく著者の圧倒的な知識量に加えて経験がそうさせるのか、あるいはこれほどまでに知識を貯えて歳を取ると正に老成といった形でこうなるのかとにかく内に秘めた熱量を読者に伝わるように適温にしたような文体が心地よい。

 

明快に書かれているなと感じながら読んでいたが「○○章で触れたが」といった形の参照を促す語が該当するページにわざわざ戻らなくても気にせずに読み進められたことがよりその「明快さ」を強くする。

 

特に読んでいてワクワクしたのは「第II章 歴史を作った男たち」でカール・ファベルジェ、ルイ・カルティエ、チャールズ・ティファニーハリー・ウインストンと知っている(特にファベルジェ以外は多くの人がそうだと思われる)人物に触れたものを読んでいると「やっぱジュエリーって超高級品だな」と思ってしまうが、そこで最後に、ジョージ・ジェンセンという人物を「銀をよみがえらせた男」と登場させる順番の良さだ。

ウインストンのキラッキラに輝くジュエリーや本人にまつわるエピソードでジュエリーの世界の上の上を見せたあたりから渋くジェンセンに触れる、このコントラストでウインストンもジェンセンも輝きを一層増し読んでいて楽しいものになっている。

 

演出の上手さで完全にペースを持ってかれるとそのあとは最後まで気持ちよく読み進めてしまう。

 

「鳥葬という文化が人骨を素材にすることを可能にしている」なんて話は、この人どこまで知ってるんだろう……と驚かされるし、どこだかの王室の方が当時日本で大変な浪費をされたことに関しても「成り上がりの浪費にしか過ぎません」とばっさりと切るあたりは歴史的背景や社会制度により群を抜く金持ちがいたということと対比しながら書いていてスケールの違いにハッとさせられる。

 

今はチープという意味ではなく日本製の手頃なジュエリーも増えていてより大衆化が進みそうな印象を私は勝手に抱いているが、それらを「着飾り」として避ける方もいる中で改めて「ジュエリーで飾ること」に楽しさや憧れを持たせてくれるそんな一冊だと思う。

何せ、男の自分ですらも欲しいと思うようになるのだから。