今日は靴の絵の描き方について書いてみようと思います。
私が描くときはあんまり「中に足が入るから、足のことを考えて描く」ということは意識しません。理由は私がすでに革靴をたくさん持っているからというのもありますが、「実際にそれを考えていればOK」というわけではないからです。
わかりやすい例でいうとこんな靴。
アニメで出てくるローファーですね。これおそらく足のことは考えていますが、靴の事は考えていないのです。だってこんなローファー履き口が狭すぎて履けないし、脱げない。中にゴムが仕込んであるとかそういう野暮な話はやめましょう。大体の学生のローファーはハルタかリーガルなので。ただ、それはそれ。アニメ全体の完成度に靴の辻褄はほとんど関与しないのでこういう話自体が野暮なのでしょうがよく見る、履けそうで履けない靴の一例として挙げさせてもらいました。
私は靴を描くときに気にすることはまずは踵→土踏まず→つま先→(捨て寸)のバランスを考えます。足のことを考えるとしたらこの時点くらい。このバランスをどう取るのかで靴の形は変わります。
例えば捨て寸を大きく取ればつま先が長い靴になります。
ここで各々の比率を見間違えると後で痛い目にあいます。最初は写真なり実物を見て書くと良いです。
①まずは足裏が触れる面(中底)を先程の踵から爪先、捨て寸までの流れを意識して描いていきます。
②次に踵のラインを描きます。真っ直ぐだったり、カーブを描いていたりします。大まかな方向だけぱぱっと描いてしまいましょう。
③続いて踵→甲へと向かう曲線。履き口ですね。個人的にはここが上手く描けるかどうか?はかなり意識して描きます。くるぶしが当たらないようにグイッと強めのカーブを描くものもあればそこまでではないものもあったりととりあえず色々あります。よく見てみると面白い形を発見できるポイントの一つ。
このカーブの終点が甲の一番高いところ、足首に近いところになります。
④ここからつま先に向かって下りの曲線を描くのですが、ここも注意深く描いていきましょう。ぽってりとした靴は割となだらか。スマートな靴はグーッと下りの曲線。注文靴、手で木型に沿わせる、吊り込みの作業をした靴はより木型に沿いますのでもっともっと曲面の表情はグラマラスになることが多いです。
⑤大体できたので今度は靴のベロを描きましょう。これは簡単です。
ただ、よく見て描かないと靴の全体の方向と辻褄が合わなくなるので気は抜かずに。
ついでに靴の内側のくるぶしのラインも描きましょう。ん?と思った方、そうなんです。大体の靴は左右非対称です。だから難しく、注意深く観察する必要があります。
そして、この内踝のラインにもそれぞれの靴の魅力が詰まってます。大きく見えたり、見えなかったり。
⑥続いてソールです。踵から爪先までのSラインにそって線を引いて、踵(トップリフト)を作って、ソールも描いていきます。このときにもSラインの不都合が足を引っ張ってきます。踵と爪先。つまり始点と終点の高低差を見極めて置かないと踵は地面に付いてるのにつま先はこのままだと埋まってしまう。なんてことがザラに起きます。気をつけましょう。
⑦あとは紐を通してあげて、おしまいです。
ネットで靴の画像を検索すると紐を結んでいる写真って特に新品の場合は殆ど見つかりませんが、実際はスニーカーと同じですのでしっかりちょうちょ結びを描いてあげましょう。
コツは、私の場合は大体の形を直線で描いてそこから丸くしていきます。普段はシンプルで構わないと思いますがたまには結び目も、紐の通し方もグッと集中して描くと面白いですよ。
あとはもうディテールアップの話になります。縫い目を描いたり、本来見えているはずのウェルトを描いたり、実際に靴に触れて観察したり。
例えば先程「靴は左右非対称」と言いましたが、革靴をひっくり返してみるとよくわかります。
想像していた形とはぜんぜん違うかもしれないですね。
非常に厄介なところはつま先と踵が平行ではないところです。
線を引いてみるとこんな感じ。
なので、つま先を基準に真横にすると実は踵の内側のラインがほんのり見えます。
靴にもよるのでなんとも言えませんがだいたい見えます。
ちなみに両足描く場合ですが、同じことを二周するというよりは一周目をベースに二周目を描くというイメージでやると楽に取り組めます。手抜きするなら奥側の靴はシルエットでも断然OK。描いてあげたほうが左右揃って靴らしくなります。
こういったコツを意識しながら描くと結構マシに描けますが、実際は画像を見たり、実物を観察しながら描くともっとよく描けます。
私が今回書いた靴はイタリア的な少しつま先が長めで甲の隆起にメリハリがあるYチップと呼ばれる靴。Yの部分は手縫いなので温かみがあり、素朴さとインパクトが道経する好きなデザインで、描きすぎてて見ないでも描けるようになりました。