Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

日本海軍 コマツ G40 ブルドーザーで認識する形の由来と大局観

何か専門職についてる方ってどれだけいるのでしょう。

 

そういう特定の分野についてると「ここはこうあるべき」「こうの方が良い」って気づくことってかなりあると思います。

私の場合は前職から「誌面のレイアウト」がそれにあたったり、狂ったように靴を買って絵を描いたりしてるので「靴の絵」とかがそれにあたって、そういう良く見える抑えどころってそれぞれの人が様々な分野でそれを持ってると思います。だから「〇〇風の△△」なんて再現した面白いものが世の中に出回るわけで、それがどれだけ上手いところを抑えて、それ以外のところで遊んでるかが楽しいとか、笑えるとかそういう話になるのかなと思います。


で、記憶スケッチってあるじゃないですか。テレビ番組とかでも「〇〇を描いてください」とかいって描かせて上手い下手で笑ったり驚いたりするやつ。コマツのG40 ブルドーザー はそれに近いような感じがします。
ブルドーザーってなんとなく知ってる。本当になんとなく。絵を描けって言われたら描けない。でも、正解とどこが違うかはわからん。そんな感じ。

 

f:id:nero_smith:20190103231434j:plain




だからこの棒がなんなのか、今作ってるもののどっちが前で後ろなのか天地はどうなのか?なんてのは作ってるときはあんまり良くわからない。


「ここがこうなってこう」


と思い込むとなんか変な感じ。無心で組むにしても「ブルドーザー」というイメージが先に走る、けど先に作るのはブルドーザーのシャベル的部分ではなくてボディとかレバーとか細かなもの。なのでなんだかわからん箱ができて、その後にアームとかキャタピラとか作って


「あーはいはい」


ってなって、とかなんとかやって進めてると


「え?これがこう?」


ってなる。推理小説とかサスペンスドラマとかで「犯人が特徴的な服装をしていると、目撃者はそれしか覚えてない」なんて話が出てきますが、ブルドーザーも多分そうです。自分の中のブルドーザー像は全体のシェイプとドーザー的な部分でしかなく、それ以外のものはなんのためにあるのかはわからないから、よくわからない。

 

f:id:nero_smith:20190103231452j:plain


これは私がまだまだデザイン事務所に就職したもののデザイナーではなかった頃と似ています。
なんでこの葉っぱのマークが大きいのかは、ぱっと見は見出しを目立たせるためですが、本文が短いため、それをなんとかやりくりしてスペースを保たせるためというのが1つの本音としてあると言われたのを思い出しました。


それを、教わってもないのに理不尽に詰問されその後厳しく教えられたこと、そして同じロジックを適用したら他の上司に「それは逃げ」といわれたということが良い体験かどうかは別として、そういう微妙なやりくり、陣取り合戦が1つの誌面やポスター、広告を構成することを知ったことと、このブルドーザーを作ることはかなり似ている。

 

f:id:nero_smith:20190103231442j:plain




そして、商品なのであたりまえですが、優しくそのような、内側から織りなされる造形を教えてくれます。しかも誰がどう見ても客観的に「完成しました!」という形で。そこには「うーん、なんか違うんだよね。ここはこうで、こうで、なんでここはこうしたの!?」なんて話はありません。


コマツのG40ブルドーザー に関しては制作時間がスッゲー短いです。それと、パーツが少ないため「早く作ろう!」という意識を強く持ってもミスが起こりにくいです。そういう点がわかりやすい美点になります。みるみる出来上がるということです。

 

f:id:nero_smith:20190103231449j:plain




ファンタスティックな曲線を描くパイプが左右非対称なことに最後のボディとくっつける瞬間に「ミスったか?」と不安を抱きましたが、そんなことはなく「そことそこが合う?」と思わずツッコミを入れたくなるような驚きが待っています。これは多分後先考えずに完成まで突っ走ったが故の感想です。


シミュレートしておけばこんなことはなく、難なく終わると思いますが、そこは簡単故に慎重さよりもスピード感を持って作ると楽しいと思います。


「待てよここは慎重に……」とストップをかける自分を抑えて「このまま最後まで走り抜ける!」とボロボロになった自転車を無茶な身体の使い方で無理やり漕いでゴールできるかどうか?みたいな、こち亀のハチャメチャな自転車レースの回みたいな気持ちで行ってみてはどうでしょうか。

 

f:id:nero_smith:20190103231457j:plain




簡単そうなものを、事務的にその都度確認せずに、感覚で確認箇所を嗅ぎ取りながら進めることは仕事のスピード感や大局観を得ることに繋がるかもしれません。


スピード重視で作ると私の好きな本の「脳の右側で描く」の"群島を、よそから来た航海士は海図を見て、詳細なルートを作成して進むが、現地の人間はそういったことをせず、自分がいる位置を島と自分の船の距離感で見て進めていく"なんて文章が記されていますが、その後者の感覚に非常に近い体験ができます。

 

 

タミヤ 1/48 ミリタリーミニチュアシリーズ No.65 日本海軍 コマツ G40 ブルドーザー プラモデル 32565

タミヤ 1/48 ミリタリーミニチュアシリーズ No.65 日本海軍 コマツ G40 ブルドーザー プラモデル 32565

 

 

re-11colors.hatenablog.com

 

re-11colors.hatenablog.com

 

re-11colors.hatenablog.com