Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

上達のときは  ハセガワ 1/72 アメリカ海軍 F9F-2 パンサー

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俺たちはいつプラモを作るのが上手くなるのだろうか。「できた」と思っても自分より上手いやつを見れば「できてないな」と思うのだろうか。

 

これは日常に想いを巡らすとわかるのだけど、アイロンがけやボタンつけ、料理などは大体気づいたら上手くなってる。最初の一個と十個目はやっぱり違う。かたや、この現象を厳しい世界のレンズを通して見ると「上手くなった」のではなく「慣れた」という判断をされることがある。曰く「簡単にこなしてしまっている」。

 

上達の判断は誰の、どこにあるのだろうか。それは作るときの気持ちに拠ることがある。誰かに見てもらうために完璧に(近い)ものを作ればそれは旗を上げるのは誰かだし、自分のためだったら自らということになる。そもそも完璧の判断、良し悪しの区別が怪しい。誰かが筆のムラを悪としたところ、それが本人の意図するところのものだった場合は旗をあげ間違えたことになる。

 

俺は、模型は発見の遊びだと思っているが、その発見とはなんだろうか。真似をして発見する、自分で何かを考えて発見する。砂山のトンネルにお互いが違うところから手を突っ込んで、結果的に奥で握手が交わされるようだと嬉しい。

模型に関しては、自分で作っててよくわかることが一つある。それは

 

「みんなが知ってることをさらに知るのも楽しいけど、みんなが知らないことを知りたいな」

 

と思っていることだ。

それは作ってるときについつい忘れてしまうことを思い出して書くことや、「こうしたらユニークで面白いんじゃないか?」ということ。あまり口に出すことではないのだけど、十分な環境が無くても、お手本の通りじゃなくても巧くやることはできるんじゃないかって俺は信じているところもある。だから工夫の余地を探したり、まだ靄のかかった空間に手を伸ばしかき分けている。

 

セガワのパンサーはそういう意味では少しだけ事情が違ってて、いつも仲良くさせて頂いている方が、毎日ゆっくりと作っていたのが印象的で、思わず買って作ってしまった。その人は、俺が勝手に思っているのだけど、模型のミスの発生源を経験から察知したりと精神的なスポーツのように捉えている点が少し俺と似ているところがある。

 

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結果的にこのパンサーはめちゃくちゃ良くできた。かなり良くできている。機首の別パーツをムラのある仕上がりにすることでボディとの対比を強く見せたり、コクピットや主脚、噴射口などは成型色のままにすることでプラモの痕跡を残したりもした。そして、それらがよく見えるようにデカールの取捨選択をした。

 

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また、そういった作業それぞれに集中することで、パンサーという機体の形がよくわかる。これは、上下、前後左右に程よく伸びた形が美しい飛行機だ。特に段違いの主翼と尾翼、主翼がある部分から付け根に向かって急に幅広になるところなどは立体感と力強さを感じるのだが、そこにアメリカの物独特の、造形の荒削りな様子と、何か新しいことに取り組んでいる姿が見て取れる。

 

今回は、狙いを持ってその通りに進行していったがそのお陰で、思った以上に面白いことを知ることができた。

 

これは、上手くいったことになるのではないだろうか。

 

 

私の欲しい物リスト

 

 今日の物販

 

 

 

ハセガワ 1/72 F9F-8 クーガーコンボ 02036

ハセガワ 1/72 F9F-8 クーガーコンボ 02036