そもそも、車種とそれを模型にするメーカーの相性ってあるのでしょうか。
革靴だとスニーカーがイケるところとか、細くスタイリッシュなものが得意なところとか、まぁ色々あります。苦手なことをやったんだろうなーなんて思うこともありますが、模型でもそういうことが、あるのかないのか。
その点に注目しながら「タミヤ1/24アルピーヌ ルノーA110 モンテカルロ'71」を作るとこのキットの特殊性と、私が思っていたようなタミヤや車に対する先入観が見えてくるかもしれません。
このキット、端的にいうと「曲線や曖昧な角度」が面白くて、究極に曖昧なイタレリのルノーサンクで「この辺の曖昧さは、こう、自分でやってくれ!」というような感じを味わっていたので、楽でした。
まず、タイヤ。製品写真とか見ると分かるんですけど、若干ハの字につくようになっているんですよね。これは車に関していろいろ調べると利点が分かり、そういう設計だということが分かるんですけど、それを知らずに進めると
「このハの字を正確に合わせに来るタミヤVSタイヤをクルクル回していると一瞬歪んでいるように勘違いする俺」
というバトルが始まります。なんかおかしくね?と思うわけですね。タミヤなのに歪むのはおかしい!となるわけです。「なんでもキレイに合うタミヤ」という認識が先に立ちますが、こういうものだと知ればなんてことないです。立ち止まって調べるって大事です。
そして、これを曖昧さではなくバチっと正確に合わせに来るというのが面白くて、調べずに「おかしい!おかしい!」とやっていると、そこに「俺がパーツの合わせをミスったのか?」という疑問が生じます。なにか別の角度でタミヤを信じている俺。
この感じはフロント、リアのバンパーとかライトの角度にもついて回ります。「なんか俺の知っているタミヤと違う」という微妙な感覚。しかしここで気持ちを少しリセットしましょう。
「エレガントな曲面をセンスよく形にするためにそういう設計がなされている」
これが答えです。なので、微妙な感じはタミヤからのスルーパス。
俺たちは立ち止まってボールを待つのではなくスペースへ走り込むという概念を「俺もタミヤも全てはエレガントな曲面のために」という共通の思いの下に習得する必要があります。これがこのキットのミッションで、パーツを貼ったあとはキレイにそのニュアンスが出ているかを手に持ってグルグル回していろいろな角度からしっかり確認して優雅に揃えていきます。
そこで微調整の振れ幅をできる限り少なく、かつ苦の無いようにという親切さを感じるわけです。「俺の知っているタミヤだった。というかむしろ更に懐が深いぞ、すごい」と。
デカールなんかも水平に貼れば良いというわけではなく、特に車体後部のルノーマークは、ドライバーネームと横のラインを揃えればOKかと思いきや、がっつり傾いています。車体後部の下がっていく曲面に追従する形で貼るのが正解というわけで、こういうところに何か、俺の知らないセンスが混ざっています。そうやって貼るとこれまたキレイ。
水平に、垂直にと一つのわかりやすい基準というよりはボディの曲線に対してどうするのか?というのが全体的なポイントになります。こういったボディありきのライン取りと、それに釣られず水平垂直に取るところのバランスが面白いです。というか、それぞれの基準を上手く適用することでこのボディの美しさはより増幅されるでしょう。
また、車体が小さいせいもあってデカールを貼っていくに連れて徐々に密度が増していき、最終的にエレガントさと重厚感のあふれるとても独特な仕上がりになります。それこそ、うっかり「さすがフランス。エスプリが効いている」などと口走ってしまうように。
このモンテカルロ・ラリーのステッカー、実際はどの車にも同じサイズのものが付けられるのでしょうか。もしそうであれば、このアルピーヌ・ルノーA110のサイズ感はこのステッカーで小さい子が大きな服を着たような、あるいは細腕の人がつける大きな腕時計のような対比での大小関係として、はっきりと現れるような気がします。
あ、あと成型色の青が綺麗ですので気になる方は作りましょう。これ、塗らないで、トップコートの光沢仕上げです。この青がトップコート吹くと化けるし、写真に取るとめっちゃ青く写るのです。
タミヤ 1/24 スポーツカーシリーズ No.278 アルピーヌ ルノー A110 モンテカルロ 1971 プラモデル 24278
- 出版社/メーカー: タミヤ(TAMIYA)
- 発売日: 2005/03/08
- メディア: おもちゃ&ホビー
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