Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

一度は作っておきたい

f:id:nero_smith:20200516220219j:plain

 

セガワのA帯、B帯……と続く安い飛行機て少し回転寿司のようだと思う。

いつでも売り場に売っているのとA、B……というライン分け価格で行われているのもなんか皿の色で値段が分かれているとが似ている様な気がするからだ。

なので限定品でもなく、いつも売っているものはいつ作ってもいいんだけど、それにしても順番だったり、これは作っておけみたいなのがあったりすると思う。回転寿司行ったらこれは食うみたいなのと同じ。で、多くのモデラーがそれぞれ一過言を持っている。

 

f:id:nero_smith:20200516215940j:plain

 

私はハセガワのこのジャンルのものが好きで結構作ってみたけど今回のF16はそういう、一度は作っておきたいキットだなと結構思ったりしている。理由は簡単で、とにかくその、小型にまとまったスタイルと、熱したガラスをぐーっと伸ばしたみたいな滑らかで気持ちのいい曲面が簡単に手に入るから。結果的に一つ、洗練された形のものが部屋に置かれることになる。

 

f:id:nero_smith:20200516220137j:plain

 

個人的に好感度が高いのはこの、形を味わうことに特化してしまったと言っても良い作りやすさ。作りながら機体のアウトライン追えて、洗練されたボディの美しさを味わうことになる。

 

特に筆塗りをしているとその曲面を撫でた感覚は手に残るし、塗って色が変わる様を目で覚えるのでとても印象深い。しかも筆が届かないとか、複雑に入り組んだところがあるとか、そういうこともないのでかなり塗りやすいと思う。一応、制作ポイントとしては垂直尾翼が後付けなので、それは最後までつけずに別パーツにしておくと不意に触れてしまったりすることもないし機体全体をスムースに塗装できる。ジェットエンジンの噴射口に割り箸を突っ込んで、飴細工みたいにして取り扱うとかなり楽だ。

 

とはいっても、それはあまり気にしなくてもいい点でもあって、とにかく塗りやすい。塗りやすいが故に、ボディの構造が効率的で洗練されていると考えることもできる。

 

そんな楽しみを味わった後に足回りが細かいから上手くつけられない、みたいなこともない。これが良い。ハセガワのキットは。その流線型のボディがボディから翼端に向かうにつれて薄くなる様に、ゴールへ向かうほど組み立てはシンプルになっていく。

出来上がったときのピシッとした姿で立つ様子を見ればその「立ち姿の美しさ」を容易に手に入れられることに驚くし、なんならこのかっこよさがこの程度で手に入るのなら、もうこれでいいとすら思う。

 

f:id:nero_smith:20200516220158j:plain



 

このキットはある種の指標になるキットで、これに比べてカクカクしてるとか、大きいとか、少し昔っぽいとか、もっと昔っぽいとか、尾翼があっちは二つあるとか、機首が長いとか、そういうことを比べるには良いと思う。全てのジェット機の真ん中に、ポンっと置かれている様な良いキット。

 

今、私がオススメしたからって作っても良いし、なんか他のジェット機を作った後に作っても良い。いつ作っても良いけど、一度は作った方が良い。

 

↓模型はもれなく組み立ててブログにのります。

私の欲しい物リスト

 

今日の物販

 

今回作ったもの 

 

複座型 

 

その他バリエーションたくさんあります。

 

 

これは積んである。 

 

 

 

 

 

蒐集と癒し

ミニカーや模型を買う機会が転職してからグッと増えた。

 

f:id:nero_smith:20200514212529j:plain

 

前の会社では「ワン缶」と称して帰りにコンビニでお酒を買い、一杯やる習慣があって、私はお酒は飲めないながらも数度付き合ったことがあって、それに近い、消費することで快感を得る行為だとも思う。

 

最近は気分が良いときとそうでもないときがあって、それと比べて(今まで入ったこともないような大企業に入ってしまったのでついつい)良い子にしてるのもバカバカしいなと思ったりしてて、その辺に葛藤がある。「ワークフローがダメ」と片付けられることなんだけど、これだけ人数がいるとワークフローがよくてもダメなのかもしれない。

 

以前の仕事では再三「取引先にも早く帰りたい人と、昇進したい人みたいにいろいろな人がいる」という話を後輩にはしたが、これもまた人数が増えれば増えるほど多様になり、企業の持つステータスみたいなものが欲しかったりするパターンも出てくるので把握をするのは当然難しく、動く歩道の上を歩く人と、止まる人だけならまだしも、戻る人や、なんとかそこに留まろうとする人などもいて、それが意識的無意識的のどちらかなのかがわからないのでますます混沌を極めている状態だ。

 

そんなめちゃくちゃデカい水槽みたいなところに1匹、変な魚として入ったわけで溺れそうだなーと思ったりこの岩場の影にいれば大丈夫そうだなーとかそういうことを感じながら今は仕事をしている。

 

今は私は自分のことを「(前の職場の自分と比べて)仕事ができないなぁ」といつも思うのだけど、この会社はデカいだけあって面談や評価の機会があったりするのでその都度「俺はこのままで大丈夫なのか?」という話をすると「全然大丈夫。助かっている。チームのみんなも変わった」と返答が来る。評価に関しても実は、結構高い。これは疑いだすとキリがない話だが、あまり信頼してない。

 

なぜなら、面談をする側も人間なので昇進のために何かそういう部下の面倒をどうこうするというのは十分にあり得るからだ。とりあえずオッケーオッケーと言われるのを信じて泳いでいたらいつのまにか上司は昇進し、その後任が蓋を開けてみたら部下は全員ピーマンみたいなことはザラにあると思ってて、そこを疑ってる。

 

乾いた心を潤す一雫の水のようにミニカーや模型を買い眺めたり作ったりするのは存外に楽しい。新しい発見もあるし、面白がって見てくれている人もいる。それに、家計を圧迫するほど買うなどということもない(というか、そんなに買えない)。蒐集はいつだって癒しだ。

 

↓模型はもれなく組み立ててブログにのります。

私の欲しい物リスト

 

今週の物販

 

 

 

 

 

その塗膜を落としたときに

今日は模型でデカイ失敗をした。

今までになく飛行機模型の筆塗りがうまく言っていたのでそのショックはとてつもなく、それと同時に自分の甘さを悔いることになる。

原因はいくつかあって、例えば上達を過信してガイアのナイロン筆からタミヤの柔毛のものに替えたら調子が全然合わなかったことや、埃を巻き込んで表面が汚くなったことなどである。後者は普段は気にしないが、前者に関しては復旧が難しく塗膜ボロッと剥がれてしまい汚くなった。

 

捨ててしまうのは簡単だし、今日は仕事でもかなり腹の立つことがあったので、捨ててしまおうとも思ったが、タミヤアクリルはマジックリンで落ちるということを最近知ったので落とすことにした。リカバリーの作業はどんな業務でも模型でも同じで、その該当箇所よりもかなり広範囲にリカバリーの手は及ぶことがほとんどで、これ自体も同様にそうなった。

 

最初は該当箇所。機体周辺。塗る。早く元に戻したいから厚く塗る。

上手くいかないので落とす。また我慢できず厚く塗る。上手くいかないので落とす。

このあたりで落としたところとそうで無い部分の段差があることに気づく。これを埋めようと厚く塗るのでベタッとした質感になり、モールドも埋まる。

どうにも上手くいかないのと、翼面の埃が気になるので思い切って該当箇所周辺と翼面全てを落とすことにした。このときだ。

 

落とすときの感触が全然違うのだ。ボテっと、厚く塗られた部分はボテっと簡単に落ちる。つまりリカバリーをかけたところはすごい簡単に落ちる。

反面、薄く何度か塗ったところは少しこすらないと落ちない。なんなら力加減をコントロールすると、まだらではあるが第一層だけを落とすみたいなことができる。

 

なるほど、これでは早く戻そう早く戻そうと気を急いだところで戻るわけはない。見た目は確かに塗られていて、多少の風合いの差はあれど等しく光沢を放っていたのにこうも違うのかと驚いた。触り心地が、まるで違うのだ。もちろん乾燥しているかどうかはあるだろう、ただし、それだけでは第一層だけを落とせたあの現象が重ね塗りという作業が生み出した結果ではないという説明にはならない。

 

私は筆塗りという作業には常に懐疑的で、その懐疑的な部分はこういうことを知る機会がほとんどないからだと思ったりした。

 

筆塗り(特に飛行機などの乗り物を塗る場合)について回るのは大抵が、未だ言語化されていない「味」の話や、焦らずゆっくりやることや、気軽にちょちょいとやりましょーみたいな、かわいらしい話が多くて、そこに少し嫌気がさしている部分がある。線が曲がったり筆ムラがドバァとなっているのは「手作業だから仕方がない」で片付いたり「気軽に作ったからです」で端に退けられたりする。

 

しかし、今日の体験から察するに筆塗りを行うというのはドラムを叩くようなもので、ある種のリズムをキープし続ける作業のようだ。

 

そしてそこに決まったある種のルーティンを作り上げ、失敗してもめげないことや、そもそものミスの予兆をそのルーティンで消してしまうこと。それがリズムをキープし続けるためのコツかもしれない。

 

そこに生まれる痕跡がもし、リズムよく刻まれたものであれば、それが筆塗りの良さということになるのだろう。