Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

Mini Art German Rail Road Staff、注油する男

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鉄道に従ずる仕事をしていた男たちの衣服というのはなかなかおしゃれなものが多く、現代でも「レイルロードジャケット」なんて調べればそれらしいものが出てくるし、言わなくてもそれをモチーフにした服というのは時折見かける。

 

デニム素材でアメカジ的に仕上げたものもあるが、厚手のダック地で仕上げたものもあり、そちらはどちらかというとヨーロッパの香りが漂い、私も持ってはいないものの前の会社の大阪から東京に戻ってきた後輩たちが上下セットアップで着ているのを見てかっこいいなと思っていた。特徴的なディテールをひたすらに追って「これぞレイルロード」とせずに生地の厚みや全体のシルエットでそういう風に思わせる世界観が好きであった。

 

時計も昔から鉄道とは密接な関係にあり、今となっては陸の時計といえばトレイルウォッチやミリタリーウォッチに芳醇な雰囲気を持ったそれの立場を譲ってはいるが、少し調べると、鉄道時計として採用されたエピソードを誇らしく綴るブランドは多い。私はウォルサムの時計を持っているが、これも鉄道時計として使われていた様子。スイスのモンディーンなどは今もなお、そういった意匠や機構を強く打ち出しており、それはそれでやはり時計と鉄道の特別な関係がよくわかる存在である。

 

こうして見ると「鉄道」という存在は少しロマンのある存在のように思える。あまりにも普遍的に溶け込んだトレンチコートやカーゴパンツのミリタリーや、ジーンズのワークとは少し違う立場のようにその位置付けがなされているのが面白く、このMiniArtの男性の服装自体も、帽子はまだしも上下の組み合わせは今もファッションとして割と通じる格好をしている。それだけ、ファッションとしての鉄道は特徴的な存在として現代まで生き残っているとも言える。

 

この男性自体の面白いところは1/35で鉄道員の格好をしているということだろう。厚手の生地を縫い合わせたパンツのサイドシームやポケットのがっしりとした感じがいかにも、という感じで洋服好きなら一目で終えるディテールが強く残されている。靴に関しても外羽根式のアンクルブーツで文句なし。厚手の革のそれはぐいっと縛り上げるとかっちりと足をホールドしてくれることが伝わってくる。

また、彼の存在は1/35の電車の模型があることを示唆していると思うが、そのためだけに存在しているというのも見逃せない。日本ではそのスケールの鉄道模型はなかなか見られないからだ。

 

模型と鉄道模型はどうにも分けられているように私も感じるが、その間の存在とも言えるだろう。鉄道模型の一部に入りそうな鉄道員ではあるが、昔の格好をしているし1/35ということでいわゆるスケールモデル、模型の仲間でもあるのでこの辺のもやもやとした境界にいる感じも面白い。

 

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ミニアート 1/35 ドイツ駅員スタッフ 1930年-1940年代 4体入 プラモデル MA38012
 

 

 

ミニアート 1/35 ドイツ人駅員4体入 1930-40年代 プラモデル MA38010

ミニアート 1/35 ドイツ人駅員4体入 1930-40年代 プラモデル MA38010

  • 発売日: 2019/07/31
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

プラスチックさまざま

ドイツレベル(中身はICM)の飛行機の模型を作っていたのだけど複座スペースを作るためにパーツを一部カットする必要があって、そこを失敗した。形はよく、なんていうかそういう精密なものを作りたかったのでとても残念に思い、そのままもう一個注文し、明後日届く。

 

なんだか悔しかったのと連休はある程度製作に当てようと思っていたのもあり、時間が空いてしまったのでハセガワのHe51という飛行機を作ることにした。突然、即興的に組むことになったのであまり深いことは考えずに流れで作る。パーツ点数が少なく、フロート付き複葉機ということで3段重ねになるわけだけど思ったよりも精度が良く、すぐに形になった。

 

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即興的とは言ったものの実はこれは今年のツールドフランスに捧げるために作ろうと思っていたものでもあったので、その辺のビートを引きずったまま作っている。なので、どこかのタイミングで黄色くなるだろう。成功するかどうかはまだわかっていないが、楽しみな時間が待っている。

 

ただ、フロートを貼り合わせるときに歪みを直すように貼ろうとしたらプラスチックにヒビが入った。昔の模型だから、洗濯バサミがパキッと折れるように劣化していたのだろう。目立つものではなかったので気にしていないが、こういうところにプラスチックという素材の面白さが詰まっていると思う。

 

ICMのプラは少し脆い感じがあるがその分接着剤でそれぞれのパーツを追従させるように貼り付けるとピタッとくっつく。このときのピンと張った塊ができる感じは私は大好きで、そこには日本人モデラー的な思考と違うものが存在していることがよくわかる。

歪んでいるのでもなく、精度が悪いのでもなく、単にこういう風に合わせるものという感じで、そこをどう考えているのかは作った人に聞いてみないとわからない部分ではあるが、消費者視点で言えば、そこを歪みやパーツ精度と断じてしまうのはアメリカの牛肉をしゃぶしゃぶに適さないと言ってしまっているだけのような気もする。

 

ステーキにしたらうまいのに、ということで海外模型、もっというと海外のプラスチックを扱い慣れるという視点という意味では一点一点のパーツ精度があるものと、総合的にいい感じに出来上がるものというわけ方がなされる気がするがどうだろうか。

 

私はそういう意味だと後者の模型が結構好きで、面白いなと思う。一個一個は合わせただけだと隙間だらけなのに接着するとたちまち形を微妙に変えながら組み合わさりそして最終的に出来上がる。なんだか日本のものとは違うかっこよさに目を細める。

そこに、国ごとに建築の考え方が違うように、海外の人の組み立ての妙を感じることができるからだ。

 

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ドイツレベル 1/72 ハインケル He70 F-2 プラモデル

ドイツレベル 1/72 ハインケル He70 F-2 プラモデル

  • 発売日: 2016/02/14
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

安いので買いましょう

上達のときは

数ヶ月前に同じことをしているはずなのに、それでも今の方が上手くなっていることが、自身の一挙手一投足ににじみ出ている。

 

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セガワのミラージュF.1Cを作っているのだけど、これは2機目。値段も安く、手頃なサイズ感で洗練されたルックスというわけで、好きな飛行機。1機目は数ヶ月前に作ったのだけどそのときと比べるとちょっとした動きに慣れを感じる。パーツの貼り合わせ方でしっかりとくっつけるところ、曖昧しておき、あとで調整して固定するところ。接着一つにとっても微妙な判断が頭の中で下されているのがよくわかる。

 

特に曖昧にしておくべき部分はコックピットの側面をボディ内側につけるところで、そこを流し込みタイプの接着剤でピシッとつけてからボディの左右を合わせると、真正面から見たときに、座席が中心からずれることがある。

だから通常の接着剤で曖昧につけておいて、ボディの貼り合わせ後に位置を改める。

 

サイドワインダー(主翼の端につく武装)などもそうで、凹凸で合わせる部分は嵌め合いがアバウトなのでこれはあくまでガイドとし、その前後の翼端と武装がピタッと合わさる部分で接着する。こうするとビシッと位置が固定される。本来はこれが正しいのかもしれない。

 

そういう一つ一つに気づけ、実行できる。これは「模型が上手くなった」という事実になると思う。今までは気づかなかった、接着という行為に隠れたいろんな貼り方。

貼ることで確かに完成へと進むわけだが、貼れば模型ができるわけではないということがよくわかる。接着は正しい位置にパーツを固定するための手段でしかない。そして正しい位置を探る行為を何度、組み立ての段階で行うのか?

 

私はよく模型を作るときに手に持ってぐるぐる回す。片目をつむり、座席がずれていないか、武器の角度は正しいのか、デカールは左右で大きな差異がなく貼られているかをよく見る。その瞬間が好きかどうかは別として、自分で印象に残るシーンだ。

垂直か、水平か、左右対称か。ずっと見ていると思う。

 

模型のかくも残酷なところは、この位置を決めるという行為がズレてしまうとどうにもならないところだ。そしてそれは「どこがズレていてはいけないのか」を探る行為もある。そこがわかると、ある意味でパーツの歪みや精度を問題に挙げなくなる気すらしている。どこか一点をバシッと合わせてそこを基準に構築されていく節が模型にはある。

例えば美少女プラモデルで言えば顔なんかはそれにあたって、他がどんなに良くても、そこがダメだと台無しというわけだ。それぞれの模型にそういう箇所があって、更に言えばその模型の部分部分で「ここはあっていないとダメ」という厳しい箇所がある。

 

上手くなったなと思うのはその瞬間瞬間の確認作業と固定させるタイミングや手法だ。見る目がよくなっているのがとてもわかる。

 

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