Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

作業着グレーともし名付けたら

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数年前にほとんどカメラみたいなスマホがあったと思うし、タブレットPCタブレットなのかPCなのかよくわからないし、お店に立ってるときにパソコンが壊れて新しいパソコンが支給されて1年後ぐらいに画面の角度を調整したときにたまたま液晶に手が触れたらフォルダが開いて、そのパソコンがタッチパネルだったのかと驚いたことがある。パソコンはパソコンだしな、という若干古い先入観を持っていた。

 

名前から来る思い込みというのは、名前が機能を思い起こされるので仕方ないなと思ったりもするわけだけど、そういう形で可能性が知らないうちに閉じていた様子。今の仕事のパソコンは普通のパソコンなのでタッチパネルには対応してないが、中にはタブレットPCを使ってる人がいて、上手にキーボードとタッチパネルの使い分けをしていて「これはタブレットPCならではだな」と思ったりもする。

 

昨日は仕事が終わった後に特に何かをやるエネルギーもなかったが何かしたかったので組み立てて放置していたレジンキットの女性「ブリックワークス 1/35マシーネンクリーガー 女性整備士 (B) マルティナ技士 」を塗ることにした。

レジンキットは調べてみると、ラッカーだとかエナメルと呼ばれる種類の塗料で塗られることが多いことがすぐわかるのだけど手元にあるのはタミヤアクリルばかりなので、とりあえずタミヤアクリルで塗ってみることにした。失敗したらマジックリンにつけて、元通りになる。

 

離型剤を取るためにマジックリンにつけて1時間。取り出してよく拭いて塗ってみると特に不具合なく進むので、そのまま塗り進めるのだけど彼女が着ているツナギの色について悩んだ。作業着感のある色はグレー系の沈んだ色。赤や緑、黄色などで派手に塗っても良いけどこの人はどこで働く人なのか?と考えると、1/72の飛行機と並べて「巨大なラジコンのような飛行機を作る人」としたかったので、やっぱりパキパキの原色よりは作業着グレーにしたい。

 

なのでタミヤアクリルの艶消しをいくつか引っ張り出してみたところ、デッキタンだとかスカイグレーだとか、オーシャングレイ(イギリス空軍)などの名前と役割がはっきりした色がいかにワークウェア的に相応しい色なんだろうと気づき、どの色も素敵に見えた。何を塗ろうが作業着感が存分に出るだろうということで、そのまま塗る。

 

出来上がりは思った以上に雰囲気良く、バッチリ。

いろんな専用のグレーとして存在している塗料たちは無数にあるグレーの中の一つ。作業着がずらっと並ぶ売り場で何色のツナギを買おうか?と悩むようにどの色を選んで塗るのか?という作業がとても楽しかった。

 

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以下、タミヤアクリルでレジンキットを塗ろうみたいな話がほとんど無いので、念のため作業記録です

 

1.レジンキットをマジックリンに1時間くらいつけて離型剤を取る

 

2.肌はタミヤアクリルのフラットホワイト、服は好きな色で塗る(レジンの成形色がピンクなおかげが肌の質感が良い)。髪の毛も好きな色で塗る。

 

3.シタデルカラーのレイクランドフレッシュで肌色部分を染める。2回くらい行ったけど、やりすぎると肌の色が濃くなりそう(ここはシタデルカラーに甘えた方がめちゃくちゃ楽)。

 

キットそのものが優れているのでモールドに色が入って行くのが面白い。林浩己さんの原型ということだが、1/35スケールだと塗るだけでサマになる。完成した後、多くの女性レジンキットやプラモデルの作例を見たが、このキットに関しては顔などもそうだが、光や影を描く必要が無いのがありがたい。

 

塗ってみようと思ったときには腕前もそうですが、キット選択も大事っぽいなと感じた次第。確かにタミヤの3Dスキャンの兵士たちも男らしさあふれる感じも相まって塗りやすい。

 

今週の物販

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がミリタリーキューティーズに惚れた日

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「あるノルウェーの大工の日記」という大工が依頼先の家の一角をリフォームする事の顛末を記録した本があって、淡々とした大工としての日常の記録が面白くて結構好きな本だ。印象的なパートはいくつかあるが、著者である彼が仕事終わりにバーに行ったところ会社員に絡まれて、延々と職人の手間に払うべき対価の話をするところは特別だ。

 

「払った分のものしか手に入らない」という話を彼は見積もりや作業日数、その日ごとの労働時間をベースに理詰めで理論を構築し、会社員に伝えるのだけどこの「払った分のものしか手に入らない」という話は、どうにもそう納得しきれないコスパ理論と対立しながらも真っ向な正論という感じで好感が持てる。

 

その反対の「払った分以下のものをつかまされた」という経験をさせられる時代もあったのだけど、今はそうはなりたくない、あるいは「払った以上のものを手にしたい」という感じってあるような気がする。ま、かくいう私も得したいと思うときはよくあるのだけど。

 

ただ、靴についてSNSで話をしていたときに思っていたのは「5万の靴で10万のものに肩を並べる、あるいはそれ以上のことが起こりうる可能性」についての話が多くてうんざりしたということだ。そういう、趣味にかけるコストの話が「周りと比べてどうこう」「他の人は高いものを持っているから自分も」という相対的なものになりがちなのはファッションとSNSの組み合わせが獲得してしまった辛いところだと思う。

 

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なんとなく、プラマックスのミリタリーキューティーズというシリーズを作りたくなって手に入れたのだけど、このキットはランナーに対してパーツが小さい。

 

戦車みたいなたくさんの部品、飛行機のような大きなパーツもない。それらについてくる同じ縮尺のフィギュアを見ていると余計にランナーに対してのパーツの小ささに目が行くと思う。ただ、実際に手にしてみるとわかるのはパーツ単価の高さで、見たことのない凹凸や生々しい脚、ゾクゾクする手の造形の面白さや美しさは手によりをかけて設計されていることがよくわかる。一つ一つのパーツがとてもリッチで、切って貼るだけで簡単にいいものが出来上がる。肌色の成型色はつや消しで綺麗だし、他の色とりどりのパーツ達も色に統一感がある。よく考えられている、というやつだ。

 

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それぞれを組み合わせている瞬間はどのプラモデルとも違っていて、それぞれの瞬間が楽しく「女の子を組み立てる」という謎の行為にクラクラしながら完成までたどり着くことになる。

なんのノウハウがあってどのように製品になったのかが見えない、不思議なプラモデル。出来上がりはハートを掴む可愛らしさでまさにキュート。きっと、たくさんの人が作った事のないプラモ。こんな組み立て、あんなパーツ。初めてだからこそ面白い。

 

私はこれはめちゃくちゃにお勧めしちゃいます。

 

今日の物販

 

 

 

 

 

 

 

 

あるノルウェーの大工の日記

あるノルウェーの大工の日記

 

 

知らない何かを知らされる俺とアーマーモデリング2021年5月号

「刺身の切り身がそのまま海に泳いでると思ってる」みたいな、今の子供は本物を知らない的な話、何年か前に聞きましたが今となってはどうでしょうか。私は当時は草花にはまっていたのですが、一輪挿しで部屋を彩るガーベラがどのように生えているのかを知りませんでした。

 

そんな風に知らないとか知っているみたいなことは、けしかけ方一つでよくわからないどっちがえらいかえらくないかのバトルに発展しますが「どう知るのか?」というのを考えたりすると結構面白いなと思います。あ、あとどこまで知るのかなんてのも。

 

僕にとって日本の戦車は、よくわからない存在。どこで活躍していたかとかそういうこと以前に、ドイツやイギリス、アメリカの戦車が駆け回る世界しか頭の中には入っていない。しかも、それすらもかなりぼんやりとしている。そんな世界観の中で日本の戦車はよくわからない。不思議な迷彩、妙な形。強そうか弱そうかと聞かれると、史実のせいか「弱そう」と言いたくなる。そして見慣れているのに見慣れない、カタカナ表記の車種たち。漢字に憧れる欧米人の気持ちがよくわかります。そうか、これは神秘だ。

 

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今月号のアーマーモデリングは「俺にとって日本の戦車は神秘的なものだった」ということがよくわかる号。ボックスアートを見ても異様な黄色い帯の迷彩は作例として写真が載っていて、密林の情景に溶け込む戦車は「え、そんなところで戦っていたの?」という知らないことを知らされました。確かにその迷彩と、記憶の片隅に残る毎年夏休みに放送される数々の特番が組み合わさるとそうなのだけども。

 

「志」とか「け」とか書かれている車両もなんだかよくわからない。英語で言うならAとかBなんだけど、それでも普段慣れ親しんだ言葉が、記号として扱われる様子がとっても面白くてなんだか気になる。欲しい?と聞かれたら「結構欲しいぞ俺」と普通に思う。普段は戦車なんてほとんど作らないのに不思議だ。

 

日本の戦車を作ったところで、なんだか「辛い戦争の記憶」みたいな感じで暗い気分になるかなと思ったのだけど、どうにもそれだけではなさそう。ついつい戦(いくさ)という厳しい過去ばかりに目が行くし、その中でも「戦い抜いた英雄」みたいな話にも発展しがちなものなのだけど、それとは違う「日本の戦車という奇妙な塊」の面白さが作例や図を通じてよくわかった。

 

手にすることでわかることがきっとあると思うので近々、日本の戦車を作ろうかなと思います。あ、あと当たり前ですが、表紙の山下しゅんや先生のイラストが最高ですね。こうしてみると、異なるスケールの人と乗り物の面白さっていうのはイラストではすでに成立しているんだなって感じます。

 

今週の物販

 

 

1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ 97式中戦車

1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ 97式中戦車

  • 発売日: 2006/10/04
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

ファインモールド 1/35 日本陸軍 四式中戦車 チト 量産型 プラモデル FM33