Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

高い時計を買ってみてわかったこと

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一時期、異様に時計が欲しいときがあって今も欲しいのだけどだいぶ落ち着いている。いろいろと見ていて思ったけど極論「自分が欲しい時計を買う」というのが答えっぽい。悩むほどの価格帯の時計を買う上で難しいところは、家と同じで一生に何度も何度も買うことができないところだろう。それに加えてここ数年はある面ではアップルウォッチが最適解になっていて問題をさらに困難にしている。

 

「自分が欲しい時計」を探す上でさらに横たわる課題は「熟考したい」という気持ちだろう。もちろん出ていくお金がお金なので仕方がない。そして熟考するときに買い手を納得させるような準備を各メーカーやメディアがしているので、自分で自分を説得するというよくわからない状況になってしまう。

 

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吟味したり、ノリで買ってみてわかったのは中価格帯の時計を購入するのが一番難しいということだ。私の中価格帯は10万前後をうろつく感じになるのだけど、中価格帯の時計は買った後に割と早い段階でもう一本時計が欲しくなってしまった。特長としては「道具としての時計」という切り口からのPRが多く、ミリタリー要素を押し出すことも多い。ブランドそのものの歴史や高級感というよりは外的要素に頼るような話でブランドイメージ向上を図っている。メディアでのレビューでは「実用時計」とか「機械式時計の入門機」とかそういうフレーズがちらついてくる。もちろん道具としての時計を買うのであればそれで納得するのは問題なしというわけだが。

 

今のところ、購入した満足度が抜群に高いのはグランドセイコーだった。そして実のところ同ブランドにはあまり良い印象を持っていなかったので自分としても意外な答えで、説得する方の自分は頭を抱えているだろう。ただ、欲しいものが「GMT機能付きで高精度クォーツ」とバシッと決まっていて、選択肢がこれ以外にあり得ないという感じだったし、着けてみて「ああ、これいいな」と思って即決した。財政は困難を極めることになったけど。できる限り調べたが、この選択肢で出てくるのはロンジンのものと、グランドセイコーのものしか出てこなかった。なんとなく察するに機械式時計は汎用ムーブメントがあるので様々なメーカーから出てくるが、高精度クォーツはどうやらそうでもなさそう。それに加えてケース径が39mmというのも手首が細い私にはうれしかった。ここは自分には安い時計ならまだしも、結構な金額の時計のときに妥協してはいけないポイントだとよくわかった。

 

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悩んでいて「ああ、これはよくないな」と思ったのは、財布が深刻に痛まない程度でギリギリ出せる価格の時計を買う理由というのを人はいくらでも探してしまうということだ。そしてメーカーやメディア側も知ってか知らずか説得材料をバシバシ出してくる。ただ、それを買うのは稲妻が走らない。だから「良い時計を買った!」とはなかなかなりにくかった。ただ「良い時計を買ったんだ俺は」と納得はしたけど。

 

そして「中価格帯の時計を買うのが一番難しい」といったのには別の意味があって、低価格帯の時計を買うのは意外とウマいという感じがするということだ。中価格帯の時計が“まとめよう、まとめよう”とデザインがおとなしくなってきたり“買ってもらおう、買ってもらおう”とストーリーをべたべたに貼り付けられるのに対し、面白いものが多く、HODINKEEが時折特集している5万円いかないくらいの時計たちは実に個性的で高級そうに見せようという匂いがない(HODINKEEの面白い記事は「よく見つけたな……」と思う安い時計の記事に価値がある気がするがどうだろう)。

 

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時計は、そのものが高いジャンルなので何本も何本も買ってフィジカルに学んでいくのは難しいが、アンダー5万(たまに実売で3万とか切るやつ)をウロチョロして30万とか50万の時計を数年に一度くらいドカンと買うのは、買えるのであれば結構いいと思う。若いうちにいきなり高いのを買ってしまうのが一番正解っぽいが、それは人生二周目か、あるいはお金持ちの人がすることかということで。

 

それにしても、電車の中で時折見かけるブレスやケースの角が取れたタグホイヤーを付けているおじさんを見ていると「若いうちに無理して買った」という補正が一番効くのが時計だなと思うので、これ!と思ったらボーナス払いでも何十回払いのローンでもなんでもして早く買っておくとよさそう。

 

 

 

 

Three On Three: 5万円以下で手に入る夏にぴったりのおすすめ腕時計3選 - HODINKEE Japan (ホディンキー 日本版)

 

塗装日記10/2

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フィギュア塗装をずっとやっているし、ここ一ヶ月くらいで嘘みたいに上手くなっているけど、こんなのは成長期みたいなものでいずれ壁にぶつかるというか、一歩一歩の階段がきつくなってくる時期が来ると思う。が、毎日骨が音を立てて背が伸びるような感覚があるのでそれに乗らない手はない。伸びるときに伸ばさずいつ伸ばせば良いのだろうか。俺は塗装が苦手なんだ。

 

サイトウヒール氏が手がけるLOVE LOVE GARDENシリーズの女性フィギュアが好きで3体ほど所有している。この日はカンガルーガール”ジュリア”を塗装したけど、この世界って原型師と自分の相性みたいなのがあるんじゃないか。塗りやすいフィギュアとそうでないフィギュアがあって上手い人はそこもしっかり見ている感じがする。キット選択の段階で勝負が決すると言うか。果たして。

 

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結論から言うとこのシリーズのフィギュアと俺は相性がいいっぽい。少し肉厚な生地を再現したかのようなバキバキに入ったつなぎのシワだとか、硬さを感じる腕がアクセントをつけやすかった。フィギュアの面白いところは人間をモチーフにしながら原型師の人が良いと思う人体のバランスが形になるところと、ポーズの面白さだろう。作り手の味が濃い世界だ。

 

デザインの話で「椅子というのはデザインは多岐にわたるが少なくとも作った人が、座り心地にOKを出して世に出回っている」というものがあるが、レジンフィギュアは特にその傾向が強く感じられる。

 

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塗るたびに自分に呆れるのだけど、使える色の明暗の幅がものすごく狭い。1から10まで明るさの段階値があるとしたら私は3から7くらいまでの幅で明暗を表現しようとするので10と8くらいの差を7と6くらいの差で表現するし、5と5.5みたいなほとんど差がないものを使っていこうとするので色がどんどんまとまってきてしまう。

 

どうにも納得がいかないので手順を入れ替えて光が当たる部分を思いっきり明るくしたけどこれが上手く行った。ほぼ強制的に明暗の幅が広がる。逆に暗いところを思いっきり暗くするとどうなるのだろうか。服の色は知人がくれた朝焼けの写真をそのまま引っ張ってきた。髪の毛は知人の髪色が水色なのを思い出して水色に塗ったけど、最初に塗ったときはドラゴンボールのブルマの髪色になったのでめちゃくちゃ変な汗をかいた。

 

とはいうものの徐々に明るく塗り重ねていったら良い感じになったので、この辺の「うわっ」てなるくらいまでやると言うか、色空間のどこに自分が手を突っ込んだのかがわかるようになると良い感じっぽい。

 

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私が感じるフィギュア塗装の面白いところは思いもよらぬところで色の表現の幅が広がることだ。ある色をきっかけにそのまま世界観が作られる。それに、普段は思いつかないような色を使いやすいし、組み立ての手間も少ないので塗装に集中できる。増えた色の引き出しが、いずれ作る大好きな飛行機模型を綺麗にしてくれれば、いよいよ上手くなってきたなと言う感じで楽しい。

 

今週の物販

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、楽しませる為、罠仕掛ける

 

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俺はコンテストに強いところがあって、専門学校のころは3回、社会人なってからも2回表彰を受けている。今回で3回目か。「自慢かよ」とか「すごいな」なんて思うかもしれないが、まぁ待ってほしい。


俺は最優秀賞みたいなのがいつも取れない。

理由は簡単で、そういう「最優秀賞っぽいもの」を作ることが出来ないのだ。何を言っているのかわからないと思うし、俺も賞をもらうたびに「やっぱりこうだよな」と思う程度の感覚なのでどう言えばよいのかわからないが、せっかくはてなインターネット文学賞の優秀賞をもらったのでこれを機に手の内をさらすというか、内なる自分にそうしてもらえることを願って、今から書いていこうと思う。

 

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今回に関して言えば賞を取りに行ったのは確かで、受賞できるかどうかはわからなかったけど「受賞できたとしても優秀賞までだな」というのはわかっていた。理由は簡単だ、序盤に審査員を少し刺激している。俺はこういうことをよくやってしまう。こうやってパッと振り向かせて、書いたものや作ったものを見てもらうような仕掛けを作る。そういえば、前の会社の昇進面接でも「結果の出ない部下をどう評価するのか?」みたいなことを聞かれたので

 

「アイドルにも、キレイじゃなくても、歌が上手くなくても、踊れなくても”アイドルが好きだ”と思って続けている人がいる。そういう人には数字には出ない固定ファンのようなものが付く」

 

みたいな話をして、一気にこっちのペースに持って行ったことがある。とりあえず「こいつ何言ってるんだ?」と思ってもらえれば良い。

 

こんな風に、雑木林に弓矢の罠を仕掛けたり、いきなり相手に煙球を投げ込むみたいなことをして、印象に残る存在になろうとする。これは狙ってやってると思うが、ほとんど意図的に出すことができない。書き終わった後に「あー、こういう構造になりましたか」と気づく程度。

 

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受賞した記事のユニークなところはそこだ。

「インターネットは様々なものが載っているのに、見る側がそういう規定をしている部分があると思う」とインターネットにおける文学を規定することを刺激して、そのまま「書く側はそれに迎合する必要はない」という話をしている(該当記事は「特定の誰かに向けて書くこと」を主題としているが、そもそも記事自体が審査員向けに書かれている)。

 

「じゃあ、何を書けばいいんだよ」と頭の中で反応したら、そのまま自身の体験をベースにした「俺はこういうことを書けばいいと思う」という文章に飲み込まれる。しかも今回はしっかりと上手くいった話を持っていたので自分としてもそれを引き合いに主張が書きやすかったのがよかった。

 

本当はそのまま行けばいいのに「文章なんてほとんどの人が真剣に書いたことがない」「携帯小説のシチュエーションが似てしまうように」と、ときおり信憑性のありそうな話題を散らして飽きないように読ませようとするし(ここでもやっぱり「インターネットにおける文学について刺激してると思う)、それに加えて「(俺は)書き方の提案をしている」とか「文学だよねと言われたら、文学だと思ってしまう。そこが難しい」とかなんとかいって、こっちから距離をとったり「お前の気持ちもわかるよ」みたいなことをやったりしていて、基本的にヒット&アウェイで、没入させないのだ。

 

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俺はこういう文章や、作品を作ってしまうし、そのたびに「こうなるんだよな」と思う。ずっとこのままかもしれないし、そのせいで文章を書くことで大きく名を成すみたいなことはできないのかもしれない。

 

作風といえばそうなのだけど、それが良いことなのか悪いことなのかはわからない。ドラゴンボールの大猿のごとく、本人も良くわからないうちに出る必殺技がこれなのだ。

 

ただ、これだけは間違いないってことが一個あってそれは「賞をもらえるのはいつだって嬉しい」ということだ。どうもありがとうございます。

 

だって、書いたものが評価されているし、こういう俯瞰したような(あるいは斜に構えた)見方の文章が評価されるのは審査をされた多くの方の懐の深さに依るもので、そこに甘えたような文章でもあるのだから。

 

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こんな僻地みたいなブログでも見つけてもらって、脚光を浴びることができる。それ自体が本当に嬉しいんだよ俺は。

 

もう一度読んで、宣伝してくれても嬉しいです。

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今日は久しぶりにほしい物リストも開けます。

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