Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

塗装日記 4/23 幻想とは影が光ることである Lost Kingdom ForestGuardian

 

数年後に今の自分の完成品を見たら「この頃は影の色をがっつり残すのが楽しかったんでしょうね」と話すと思う。

 

影の色として下地に塗る最初の色を、その後に塗られる色よりも明るくする。そうした場合に、自分が設定した光源に対して、影となる部分や筆が届かないところは下地の色が残り、塗り重ねられた色よりも明度や彩度が高くなるので、明るく見えてくる。

影として設定した色がひっくり返って光の色になるというのは、色というものがいかに相対的なものかというのがわかる現象だと思う。隣り合う色に比べて明るいか暗いかで、光にも影にもなるというわけだ。

 

 

私が影の色を明るくするのは、全体を軽やかな仕上がりにしたいという思いが強いからだ。どうにもこってりと重い仕上がりが得意ではない。

 

それに、補色や全体のトーンの抜き差しを考えて塗装していくことに時間を割くのが好きなのだと思う。反面、がっつり塗り込んでいくみたいなことはまるで得意ではない。なので「雰囲気で塗っている」といってもいいと思う。ただ、その雰囲気づくりに注力するのが好きなのだ。

Lost Kingdomのミニチュアは、塗り映えのするデフォルメというよりは繊細で神秘的な雰囲気をまとった造形が多く、細いところはしっかりと細い。そのお陰か、漫画的というよりは絵画的な見た目のものが多いのが好きだ。

 

 

このエルフは割とファンタジーど真ん中なエルフだが、和をモチーフにしたエルフや、キノコの要素を取り入れたりして全体の造形にスパイスを加えながら美しい姿を作っているのが素晴らしい。

 

思いっきり塗り込んでリアルに!も十分ありだけど、直感を元に雰囲気づくりに徹する塗装が楽しみやすいのはファンタジー系のミニチュアの良いところですね。アンデット系ならもっと重苦しくなるし、天使ならさらに軽やかになるのだろうか。自由度が高い分、思い描く世界と向き合う時間も長くなる。

今回の出来上がりは幻想的で、まさにファンタジーという感じ。土臭さを感じさせることもなく、思ったよりもかなりうまくいった。ミニチュアのフレーバーを感じながら塗り進める感じは、トラックを聴きながら自分で音程を作ってキメてラップしていく感じに近くて、割と好きです。

 

以下少し完成写真

 



 

 

いつも買うお店はサベージランドミニチュアというショップです。

 

Lost Kingdomはこっち

Lost Kingdomsavagelandmini.com

私はWhite WereWolf Tavernも大好きです。

White Werewolf Tavernsavagelandmini.com

 

今日の物販

 

 

 

 

週刊少年サンデーが面白く、かけあうつきひが好きだ。



少年漫画雑誌4誌の中で、一番好きなのはサンデーだ。

そのサンデーが今、とても面白い。

 

サンデーは一時期、かなり危うい雑誌だった。というのも、面白い作品が極端に少ない時期があったのだ。「当時は自分が大人になったせいだ」と思いながら、好きだった頃のサンデーは戻ってこないと感じていた。内情は不明だが、低年齢向けの作品が増えたり、すでに大ヒットを飛ばしているゲームを下地にした作品や、かつてヒットを飛ばしたスポーツ漫画の続編に実在のアスリートが登場させたりと、とにかく急場凌ぎの作品が並んでいた。

 

 

そういった、かなりしんどい状況が変わり始めたのは2015年に編集長が変わってからだ。誌面に改革を宣言する広告が掲載されたときには、はっきりいって心が躍った。「強いサンデーが戻ってくるかもしれない」と本当に思った。その頃から駄菓子を題材にした"だがしかし"という漫画が、パワーヒッターのいない野球チームの「つなぎの4番」的に機能し始めて、息を吹き返し始めたのを感じた。

その後は大御所野球漫画の続編のMAJOR2ndが始まったりして急速に雑誌としてのセンターラインが整えられていく。その中で卓球を題材にした”ニッペン”だとかモンスター化した野菜と戦う”RYOKO”といった、少しサブカルっぽい方向性の漫画を試しながら、読者とのピントを合わせる作業を必死に行なっていたと思う。その頃に”古見さんは、コミュ症です”や”舞妓さんちのまかないさん”という、サンデーらしい漫画が連載陣に並び始めた。

 

 

そういった若さのあるラインナップをしっかりと後列で支えていたのは、今も長崎大学での日々を丁寧に描き続けている”第九の波濤”だったと思う。他にも防衛大学を題材にした”あおざくら”もそうだ。この頃のサンデーには「強いサンデーが帰ってきた」と確かに感じるものがあった。サンデーの強いときは、高校生か、高校を卒業して間もない頃を題材とした作品がしっかりしているときだと思う。

 

実際、自分が「サンデーは面白いな」と思ったのは、競走馬の生産牧場を題材にした”じゃじゃ馬グルーミングUp!”や競艇漫画の”モンキーターン”のような、中学生が少し背伸びをして読むのにちょうど良い漫画の魅力を知ったころだった。「もし自分が思い切った人生の選択をしたら、この世界に入ることもできるんだな」という地続きの現実感と、子供に見せてくれている、大人の世界が好きだったのだ。

そういう意味では、今の連載陣は「高校生か、高校を卒業して間もない頃」の主人公が多いのではないか。それに、最近では”白山と三田さん”のようにサブカルっぽさを織り交ぜることに成功している漫画もある(この作品と西部劇のギャグ漫画をガチンコでぶつけさせて入れ替わる形にさせたのはかなりの豪腕といった感じでこれもすごい)。

 

 

サンデーは数年前は「ヒット作の再現性がない雑誌」と言われたこともあったが、小学生の頃から読んでいる私からすれば、サンデーの勝ちパターンはいつも決まっている。それは、ホームドラマを見ているような感覚の漫画。「ドラマ枠」と勝手に読んでいるが、この枠が面白いときのサンデーは強い。派手に戦わずとも、確かに苛烈な冒険と、決して長続きするわけではない平和を丁寧に書く、葬送のフリーレンなんかは特にそうだ。

 

と、言いつつも一番の一押しは、お笑いコンビ400倍の日常を描いた「かけあうつきひ」。女子二人組が織りなすコメディドラマといった感じで非常に面白いので、読みましょう。

 

 

 

 

 

 

洗ったチロリアンシューズの話をする。MEPHISTO PEPPO

f:id:nero_smith:20220413203031j:plain



 

靴には履き心地としての「履きやすさ」と違う、ついつい履いてしまう「履きやすさ」があると思う。ここ数年、雨の日や肉体労働の比率が大きそうな日、あるいはアクティブに歩き回りたい日などにオンオフ問わず履いているのがMHEPHISTOのPEPPOというモデル名のチロリアンシューズだ。

 

チロリアンシューズの良いところは2~3個、と少なめな紐を通す穴と、袋状に縫われている単純な構造にあると思う。それでいて質実剛健、という面をしていればなお良い。というか、安いものだとそういったタフさを犠牲にコストを下げているものが多いのでたやすく形が崩れてしまいそうではある。

 

穴の数が少なく、型崩れが起こりにくいものの場合はかなり楽に足を入れることができる。これは履き口が狭くなるチャッカーブーツや、それに近しいデザインのデザートブーツなどとは異なる感じだ。しかも、紐を通す部分は革が2重に重なるのでこれが、思いのほか足の甲をぎゅっと抑えてくれる。

 

f:id:nero_smith:20220413202935j:plain



 

それでいて、紐をしばりあげると、足の土踏まずと反対側のアーチをそれぞれグッと支えれるような感覚がある場合はかなり具合が良いということになる。足のアーチに対して靴がどのようにアプローチするのかという点に関しては、これはもう靴と足の相性でしかない。なので一概に「この靴が良い!」という最適解があるわけでもない。

 

私がMEPHISTOのPEPPOを良いと感じる理由は、履き口の狭さと甲の低さだ。気持ち細い形のような気もするが、それはMEPHISTOの商品群の中であったり、チロリアンシューズという分類の中での話だろう。このような評価は相対的なものだけども、比較対象は何かというともう一個のフランスのシューメーカーのチロリアンシューズに対してということになる。

 

PEPPOの方が若干スニーカー寄りの風情があるが、その分、モダンで洗練されているとも言えると思う。この履き口が狭く足の付け根に近い位置に設定された靴紐を通す穴の位置は、野暮ったくなりすぎず、軽快だと思う。良い意味で見た目に重厚感がないのだ。そのくせ、ノルウィージャン製法でガシッと底付けされている。カラー展開は黒と茶の2色で、多少の防水性は革にあるものの流石に限度があるので、天候を完全に無視して履くのであれば黒の方が良い。

 

なんだかんだで5~6年履いている気がするが、クッション性能の高いソールやインソールの設計には文句なし(と言いつつもウレタンの土踏まずをサポートする盛り上がったパッドは外したけど)。ジャケパン的なビジネススタイルからジーンズ、それどころか裾をリブで絞ったナイロンパンツまで合わせられるカジュアル方向への対応力の広さはいつでも、どんなときでも合わせられるし、履くことができるのでとても重宝している。

 

最近めちゃくちゃに履いていたので、雨の次の日に塩を吹くようになったので洗ってあげたついでの記事でした。