Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

塗料が増えるだけじゃ、やれることは増えない。

先日、プラモデルを買って、箱を眺めているときに驚いたことがある。それは「この箱絵みたいに塗るにはどうしたらいいかな」という気持ちが真っ先に発生したことだ。

 

以前はそんなことは全くなく、自分で好きな色に塗るのが一番良いと思っていた。というか、今もそう思っていると思っていた。それなのに「この箱絵みたいに塗るにはどうしたらいいかな」と思ったのだから、恐ろしい話だ。口では「好きな色に塗ろうぜ」といっておきながら心では全然違うことが起こっている。

 

言葉遊び的に「箱絵の通りに塗ることが今の”好きな色”ってことなんじゃないんですか」なんて言いたくもなる。ただ、どうにもそういうわけではないと思う。理由は塗料がたくさん増えたことだろう。

 

無数の塗料が手元にあれば、そこから好きな色を好きなように選ぶことができる。そして「なんのために選ぶのか?」というと「箱絵を再現するために選ぶ」のだ。私は気づいたらそうなっていた。そして、それと同時に緑のユニフォームを青や黄色で塗ることに自信をなくしていたり、仕上がりが見えないという不安を抱くようになっている。

 

 

というと、結構深刻な感じになってしまう。ただ実際に今起こっていることはこの通りだ。そして、この出来事を受けて思っていることをここから書く。

 

思うに「塗料が少なかった頃は自由に塗れた」でもなく「塗料が多くなったから自由に塗れなくなった」でもないような気がする。私はどちらかというと、精密な表現というよりは雰囲気重視の塗り方を好む。なので「箱絵の通りに塗ろう」という発想と「雰囲気重視で塗ってしまう」という表現にギャップが生じている。そして、増えに増えた塗料は「再現ができる」という期待を匂わせるのだ。

 

もちろん、常日頃から発想と表現が連結していれば良い。ただ、そうでないこともある。こうやって気づけるだけマシなのかもしれない。

 

今、やりたいことは2つある。まずはタミヤの兵士を好きな色に塗ること。赤や黄色、青で綺麗にまとめたらどんなにかっこいいだろうと思うとワクワクする。上手くなった今の俺と、塗装が苦手だった昔の俺のいいとこ取りの仕上がりが期待できる。

 

 

もう一つは緑色と茶色について。どちらも好きな色なのだけど、俺には同じ色に見える。

 

同じ色といっても視覚的に同じに見えるというわけではなくて、CMYKという印刷における4色の世界に当てはめると、どちらも似たような性質を有している気がするからだ。

 

茶色はマゼンダとイエローの数値を決めてそこからシアンを足して茶色っぽくしていく。そこからマゼンダとイエローを含むCMYの三色のバランスを微調整する。緑色はというとシアンとイエローを決めて、そこからマゼンダを足して緑の深みを調整して、そこからは茶色と同じ工程を踏む。

 

そんなことを考えていると、茶色と緑色は同じ色なんじゃないかと思う。それにどちらの色をいじっていても「茶色なのに緑色っぽくなった」とかその逆もまぁまぁ起きる。

 

塗料が増えたところで、思ったことはせいぜい「再現するにはどうしたらよいか」という感じだったのは本当に驚いた。いくらでもできるのに、こんなものなのだ。ただ、その枷を外す方法はいくらでもある。自分の探究心はそもそもどこから来ていたものなのかなんて考えるのもいいし「好きに塗れ!作例なんてないぞ!」といった感じのファンタジーものを塗れば、自由に塗ることになったりする。

 

今日の写真はWhite Werewolf TavernのOracle。四本腕がファンタジーの美人。腕が増えて、顔が隠れてという足し算引き算が面白いミニチュアですね。

 

↓買ったところ↓

ww-220408 Oraclesavagelandmini.com

3Dプリンタ出力物のミニチュアのオススメとかいつも買うところとかの話

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3Dプリンタのミニチュアをたまに塗っている。なので今日はざっくりとした手順と感想を書くことにする。

 

出力用の素材は、データを出力して販売しているショップごとに違うと思う。私がいつも購入しているところは、UVレジンと書いてある。素材は粘りがなく、細いパーツなんかは割と簡単にポキンと折れてしまうので扱いに注意が必要。パーツ同士の接着は私は瞬間接着剤でつけている。というわけで、仮に折れてしまっても手元に瞬間接着剤があるので、簡単に修復できる。

 

塗装に関しては、下地にプレミアムトップコートの艶消しを吹いている。塗料の定着をよくするために必要な工程。本来であればサーフェイサーなどの表面処理剤を使う人が多いと思う。では「これを吹かないとどうなるの?」というと、塗料が剥がれたりするんじゃないかなぁ……。私はプラモデルもレジンキットもファレホという塗料を塗装に使う。プレミアムトップコートの艶消しを吹かないと結構ぽろぽろ剥がれ落ちてしまう。なのでサーフェイサーも含めて下地を作って塗装するのが良さそう。

 

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いくつか購入していて、楽しいと思ったところがある。それはクリエイターの世界観をもろに浴びることができる点だ。今回、記事の合間合間に載せているミニチュアはLost Kingdom Miniatureのもので、ここは「エルフ×何かのモチーフ」という世界観と造形物が面白い。和のモチーフ作りが上手くて、それぞれのシリーズのロゴもよく見ると、カタカナやハングルを分解して、英語のロゴを作ったりしている。オリエンタルな雰囲気作りが上手で、とても良いと思う。

 

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ついでに、もう一個好きなメーカーをあげる。White Warwolf tavrenというところだ。ここはLostkingdom miniatureよりも、もっと西欧っぽい雰囲気でこっちの方が上品な感じがある。天使や、エルフ、竜人などの既存のファンタジー感を上質に味あわせてくれるので、こっちのメーカーも好きだ。上の写真のはWhite Werewolf TavernのOracleというキャラクター。

 

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今のところ「好きだな」というメーカーは毎月毎月新作が発表される。なので、選び放題。かと思いきや取り扱ってるショップ内で売上が悪いと取り扱いが中止になる。売れてるメーカーの中でも売り上げが芳しくない商品は消えてるかもしれない。

 

各メーカーの特長がまとまってる記事があまり見つからないので、まだまだこれからなんだろうなーと思ったりもする。今回「好きだ!」と言ってるLostkingdom MiniatureとかWhite Werewolf Tavernなんかは、塗り映えのするデフォルメもほどほどに美しい造形なのが良いですね。射手なのでまぁまぁ腕の筋肉がついてたりとか、リアルさをキープしながら辻褄を合わせて説得力と世界観を持たせる感じとか。

 

↓いつも買ってるところ↓

サベージランドミニチュア

サベージランドミニチュアさんはラインナップが好きです

座っている君達が素敵だから-タミヤ 1/24 キャンパスフレンズセットII-

「思ったよりも」という言い方を、安直な褒め言葉として良く使ってしまう。それに、何かを手に入れるときの理由も大抵そんなものだ。

 

タミヤのキャンパスフレンズセットⅡの原付に乗る彼女は、そういう「思ったよりも」な存在だった。なぜこんなにも原付に寄りかかる彼女は絵になるのだろうか。大学生というには幼すぎる顔つきや髪型に、彼氏のもののような、古着のようなワックスドコットンのジャケットのアンバランスさ。

 

オシャレ2年目くらいだろうかと思わせる、洋服の頭数が揃っていない感じが妙にリアルというか、私服の高校に通っていた頃の”あの感じ”を思い出させる。

 

そう言った見た目に懐かしさを覚える理由は、私の個人的な経験が交わっているからであり、まさに主観的なものだ。では客観的な事実という意味ではどうだろう。

 

キット内容を改めて見返してみると、彼女以外の学生は歩いていたり、スマホを掲げていたりと何かの最中である。まるで時が止まったような美しさだが「10分そのままで」と言われると割と厳しいものがある。パーカーを着て立っている彼女も大丈夫だと思うけど。

 

それにしても明らかにリラックスして、座っている原付の女子大生はそのポーズゆえに異なる存在感を出しているとも言える。

 

「座っているフィギュア」というものが欲しい時期があった。それは、自分が暮らす生活空間に腰を下ろして、リラックスしている感じにナチュラルな生命力を覚え、魅力を感じたからだ。

 

説得力のあるシワと体重のかかり方で、ゆるやかに存在感を主張する、原付によりかかる彼女。私にとっては戦争よりも少し近い、日常とファンタジーの境目のような存在だ。とにかく「座っている」というのはプラモデルを含むフィギュアにおいて、生活に馴染んでしまう力が強い。そのせいで、もっと他の格好をしたフィギュア達も強引に入り込んできてしまいそうだけど。

 

それはそれとして、こういった「いつか見たかもしれない日常」が寄りかかっているというポーズと結びつくことでとんでもない雰囲気を放っているということは、書いておきたいなと思い、書きました。

 

-今日の物販-