Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

不忍池で蓮を見て、Lost Kingdomの花のダンサーを塗る。

 

上野公園の不忍池の蓮が見頃だ。

 

蓮の花は3日間咲いては閉じてを繰り返し、4日目には花びらをパラパラと散らしてしまうという。おそらく7〜8年ぶりに見にいった蓮の花は思ったよりも綺麗で、水面から伸びる茎や大きな葉が視界いっぱいに様々な緑を見せてくれる。

 

まるで囲まれているような気もしたし、葉も茎も花も空に向かって精一杯伸びるので宙に浮いているような感じもした。日本画で空間的につじつまが合わないところが雲で覆われるような蓮。天国か? と思ったのはきっと日本画の雲と、目の前の蓮に似たようなものを覚えたからだろう。

 

 

その幻想を切り取るように精一杯カメラを向ける。

 

この春に手に入れたSONYのDSC-RX100M4は「露出をアンダー気味にすると雰囲気のある写真が撮れる」という話を読んだことがある。それがどういうことなのかは私はわからなかった。わからないのに、その評判がかっこよくて購入したのだ。

 

カメラの評判をただただ信じて、アンダー気味の写真をたくさん撮った。その後、帰宅してから写真の色味をなんとなく調整していると、ぼうっと明るさが持ち上がってくるような感じで花は鮮やかさを帯び、葉はしっかりと暗さをキープしている様子に驚いた。

 

 

写真を撮っている途中で思ったことがある。

 

それは「花びらが、花びらになる前の何かだった頃は一色のかたまりだったのではないか?」ということだ。蓮の花びらのようなアーモンド型になる際に、中央の膨らんだ部分は薄く伸ばされるので、色が薄くなる。それに対し、先端と根元はさほど伸びないので濃いままというような感じ。まるで、餃子やワンタンのよう、といえば分かるだろうか。

 

そのように、花びらを見ていると「先端と根本が濃くて、中央は淡い」という濃淡の話だけではないことがわかる。淡い部分は花びらが薄くなっているので、光が透ける。まさに透明度が高いといった具合だ。

 

 

先日「自分が塗ったミニチュアの写真を白黒に加工することで全体の明暗のメリハリが分かる」ということに気づいた。

 

これは、絵を描くときにも使われるテクニックなのにすっかり自分の中で失念していた。とはいうものの一度インストールすれば、カメラアプリのフィルタ加工のように脳内で変換することができるようになった。そうすることで、自分が目指す仕上がりと、現状のギャップを確認することができる。

 

花びらの成り立ちについて考えたり、自分の塗装における明暗のコントロールのクセや、傾向について考える術を身につけることで、今までと違う、低音が響くような仕上がりになった。

 

花びらなどは今までは描けなかったものが描けている気がする。模型やミニチュアは、作ることで現実に存在する何かへアクセスすることができるというのが、よくわかった。

 

買ったところ(該当のLost Kingdomは7月中で取り扱い終了とのこと)

savagelandmini.com

 

今週の物販

 

 

 

 

 

塗料が増えるだけじゃ、やれることは増えない。

先日、プラモデルを買って、箱を眺めているときに驚いたことがある。それは「この箱絵みたいに塗るにはどうしたらいいかな」という気持ちが真っ先に発生したことだ。

 

以前はそんなことは全くなく、自分で好きな色に塗るのが一番良いと思っていた。というか、今もそう思っていると思っていた。それなのに「この箱絵みたいに塗るにはどうしたらいいかな」と思ったのだから、恐ろしい話だ。口では「好きな色に塗ろうぜ」といっておきながら心では全然違うことが起こっている。

 

言葉遊び的に「箱絵の通りに塗ることが今の”好きな色”ってことなんじゃないんですか」なんて言いたくもなる。ただ、どうにもそういうわけではないと思う。理由は塗料がたくさん増えたことだろう。

 

無数の塗料が手元にあれば、そこから好きな色を好きなように選ぶことができる。そして「なんのために選ぶのか?」というと「箱絵を再現するために選ぶ」のだ。私は気づいたらそうなっていた。そして、それと同時に緑のユニフォームを青や黄色で塗ることに自信をなくしていたり、仕上がりが見えないという不安を抱くようになっている。

 

 

というと、結構深刻な感じになってしまう。ただ実際に今起こっていることはこの通りだ。そして、この出来事を受けて思っていることをここから書く。

 

思うに「塗料が少なかった頃は自由に塗れた」でもなく「塗料が多くなったから自由に塗れなくなった」でもないような気がする。私はどちらかというと、精密な表現というよりは雰囲気重視の塗り方を好む。なので「箱絵の通りに塗ろう」という発想と「雰囲気重視で塗ってしまう」という表現にギャップが生じている。そして、増えに増えた塗料は「再現ができる」という期待を匂わせるのだ。

 

もちろん、常日頃から発想と表現が連結していれば良い。ただ、そうでないこともある。こうやって気づけるだけマシなのかもしれない。

 

今、やりたいことは2つある。まずはタミヤの兵士を好きな色に塗ること。赤や黄色、青で綺麗にまとめたらどんなにかっこいいだろうと思うとワクワクする。上手くなった今の俺と、塗装が苦手だった昔の俺のいいとこ取りの仕上がりが期待できる。

 

 

もう一つは緑色と茶色について。どちらも好きな色なのだけど、俺には同じ色に見える。

 

同じ色といっても視覚的に同じに見えるというわけではなくて、CMYKという印刷における4色の世界に当てはめると、どちらも似たような性質を有している気がするからだ。

 

茶色はマゼンダとイエローの数値を決めてそこからシアンを足して茶色っぽくしていく。そこからマゼンダとイエローを含むCMYの三色のバランスを微調整する。緑色はというとシアンとイエローを決めて、そこからマゼンダを足して緑の深みを調整して、そこからは茶色と同じ工程を踏む。

 

そんなことを考えていると、茶色と緑色は同じ色なんじゃないかと思う。それにどちらの色をいじっていても「茶色なのに緑色っぽくなった」とかその逆もまぁまぁ起きる。

 

塗料が増えたところで、思ったことはせいぜい「再現するにはどうしたらよいか」という感じだったのは本当に驚いた。いくらでもできるのに、こんなものなのだ。ただ、その枷を外す方法はいくらでもある。自分の探究心はそもそもどこから来ていたものなのかなんて考えるのもいいし「好きに塗れ!作例なんてないぞ!」といった感じのファンタジーものを塗れば、自由に塗ることになったりする。

 

今日の写真はWhite Werewolf TavernのOracle。四本腕がファンタジーの美人。腕が増えて、顔が隠れてという足し算引き算が面白いミニチュアですね。

 

↓買ったところ↓

ww-220408 Oraclesavagelandmini.com

3Dプリンタ出力物のミニチュアのオススメとかいつも買うところとかの話

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3Dプリンタのミニチュアをたまに塗っている。なので今日はざっくりとした手順と感想を書くことにする。

 

出力用の素材は、データを出力して販売しているショップごとに違うと思う。私がいつも購入しているところは、UVレジンと書いてある。素材は粘りがなく、細いパーツなんかは割と簡単にポキンと折れてしまうので扱いに注意が必要。パーツ同士の接着は私は瞬間接着剤でつけている。というわけで、仮に折れてしまっても手元に瞬間接着剤があるので、簡単に修復できる。

 

塗装に関しては、下地にプレミアムトップコートの艶消しを吹いている。塗料の定着をよくするために必要な工程。本来であればサーフェイサーなどの表面処理剤を使う人が多いと思う。では「これを吹かないとどうなるの?」というと、塗料が剥がれたりするんじゃないかなぁ……。私はプラモデルもレジンキットもファレホという塗料を塗装に使う。プレミアムトップコートの艶消しを吹かないと結構ぽろぽろ剥がれ落ちてしまう。なのでサーフェイサーも含めて下地を作って塗装するのが良さそう。

 

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いくつか購入していて、楽しいと思ったところがある。それはクリエイターの世界観をもろに浴びることができる点だ。今回、記事の合間合間に載せているミニチュアはLost Kingdom Miniatureのもので、ここは「エルフ×何かのモチーフ」という世界観と造形物が面白い。和のモチーフ作りが上手くて、それぞれのシリーズのロゴもよく見ると、カタカナやハングルを分解して、英語のロゴを作ったりしている。オリエンタルな雰囲気作りが上手で、とても良いと思う。

 

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ついでに、もう一個好きなメーカーをあげる。White Warwolf tavrenというところだ。ここはLostkingdom miniatureよりも、もっと西欧っぽい雰囲気でこっちの方が上品な感じがある。天使や、エルフ、竜人などの既存のファンタジー感を上質に味あわせてくれるので、こっちのメーカーも好きだ。上の写真のはWhite Werewolf TavernのOracleというキャラクター。

 

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今のところ「好きだな」というメーカーは毎月毎月新作が発表される。なので、選び放題。かと思いきや取り扱ってるショップ内で売上が悪いと取り扱いが中止になる。売れてるメーカーの中でも売り上げが芳しくない商品は消えてるかもしれない。

 

各メーカーの特長がまとまってる記事があまり見つからないので、まだまだこれからなんだろうなーと思ったりもする。今回「好きだ!」と言ってるLostkingdom MiniatureとかWhite Werewolf Tavernなんかは、塗り映えのするデフォルメもほどほどに美しい造形なのが良いですね。射手なのでまぁまぁ腕の筋肉がついてたりとか、リアルさをキープしながら辻褄を合わせて説得力と世界観を持たせる感じとか。

 

↓いつも買ってるところ↓

サベージランドミニチュア

サベージランドミニチュアさんはラインナップが好きです