あけましておめでとうございます。
今年は靴は狙い撃ちで行きます。
去年の反省を活かし、本当に欲しいものしか買わないスタイルで。
兼ねてから欲しいと思っていた靴がタイトルのヨシノヤ銀座のもの。
婦人靴で有名ですがさすが名門、メンズも良く出来ている。
随分と前に「ガラパゴス化」なんてフレーズが国内携帯電話の異様な進化を揶揄する様に駆け回ったがヨシノヤもその道を辿っていた様な気が(私が見逃し続けていただけでずっと良きものを造り続けていた可能性は充分にある)。
今回購入したのはキップ×ペッカリーの外羽根式のセミブローグ。
ブローギングが小穴のみで構成されているのが控えめでツンとしたデザイン。
デザインにおいて個人的に目を細めたのはメダリオン。
ブローギングよりも小さい径と大きいそれでメリハリが強い感じでの構成をなされているが、エレガントな上に奥ゆかしい。穴飾りのバランスで先ほど申した「ツン」とした気品の良さというかお高くとまっている感じが出ていると思う。シワの入った部分がペッカリー。柔らかいのはご想像の通り。吸い付く感じというのを存分に味わえる。この辺の素材選択による古めかしさというかアイデア、引き出しの多さを感じさせる様は名門という感じ。
踵のつくりは小さく立体感に溢れているのでジャストフィットだと後ろから手で掴まれているような感覚(大きめを選ぶとこの作りが靴擦れを生むと思われる)。
Yoshinoya GINZAの中敷の文字もエレガント。
マッケイ製法は修理が出来ないだのなんだのって散々言われているがその辺を先回りでフォローする形でのハーフラバー仕様。最も木型があれば4回くらいは耐えられる(そしてその回数を行う頃にはアッパーが根を上げるだろう)。
履き心地に関しては「日本人が履く靴だから日本人が作るのが良いよねー」なんて安直な意見が出ても仕方がない作り。踵のホールド感はもとより外羽根をグッと締めたときに抑えて欲しい部分が締まるのがよくわかる。特に甲周り、履き口周辺がピターッと締まる様は「舶来物の20万クラスの物を履いてる場合じゃない。国内でもエライ事になっているぞ」とガラパゴス感をポジティブに受け入れることが出来ると思う。
見た目は一言で言うと「静謐」という感じか。
デザインに対するアイデアも日本的というかイギリスでもアメリカでもフランスでもイタリアでもどこの靴でもない感じがヒシヒシと伝わってくる。
何足か揃えたいなと思っていたので第一印象がとても良かったのが嬉しい。
そしてここまでの靴でありながらもあの独特の雲の上を歩くような、魔法の靴タニノクリスチーほどではないというのがますますタニノの謎を深まらせる要因になってしまっているのが贅沢な悩み。