突然だが私は既製靴はChurch'sがダントツで好きだ(その次はTANINO CRISCIだ)。
それは私が初めて手に入れた靴がそこのものであって立て続けにOld Church'sと呼ばれるPRADAに買収される前のものを手に入れるという幸せに見舞われたことが心にあの中敷きのロゴマークとブランドのスペルを間違えることなく打てるほどに刻まれたためだと思われる。
しかし、そんな希少なOld Church'sを手に入れてルンルンしているのもつかの間。
「Alan McAfeeはChurch'sの上位ラインをその名前で作っていたブランド」
なんてことを教えられ「マジかよ……」と心の中で膝をついて落胆するとともに「欲しい」と思ったのだ。しかしそれは遥か向こうの国の靴。絶対数が少ないのはもとよりサイズがないのである。
たまにサイズが見つかってもデザインが微妙。状態が微妙。何より「ただAlan McAfeeが欲しくなっている自分」というのが許せず黙々と年に何足か出るマイサイズを見逃し続けていた。
後に先に私にこの靴を教えてくれた友人と物々交換で手に入れた。
しかし私に掛かった呪いはまだ解けることはなかった。
そして先日。オークションの海を泳いでいるとそれは突然現れた。呪いからの開放を告げるような馬のシルエットを箔押しして。
つづく