J.M.WESTONに興味を持って実際に手に触れようと店に足を運ぶとまず驚くのはミシェル・ペリーのデザイン要素が多分に盛り込まれた靴だろう。
それくらいにクラシックラインは完成されていて中庸だ。だからこそペリーの方は奇異に写る。
ただ、Country Gentsコレクションに関してはそうとも言い切れない、というかむしろ「ニュークラシックの名を冠してもおかしくないな」と思う。
なので買った。
手に入れてわかるのは様々なアイデアが「Country Gents」を体現しているということだ。ステッチは全て二重になっており、かつ6アイレット。アメリカの靴のタフな革靴達のデザインと似通っている。そしてこういった仕様は重厚感が良く現れる。加えてヒールカウンターを配し、ダブルソールを採用する辺りもやはりタフさの演出。ドレスのツラをしているが様々なシーンに着用してくれと言わんばかりのオーラを放つ。
昔見かけたことがあって「ああ、良いな」と思ったペリーの靴で「革と革が生み出す余白の綺麗さを見せる」という見せ方があったのだが、これもそれに近い。計算されて作られているであろう側面に残された魚のような(という例えは身もふたもないのだが)シェイプの美しさは靴のデザインの面白さと、絵を書いたり、紙をちぎったりしたときに偶然生まれる形の豊かさを感じることの楽しみを思い出させてくれる。
“色付き”の内羽根ストレートチップは用途がハッキリとせず「少し外した感じ」というわずかなズレをどう楽しむかを真剣に考えだすと頭を抱えてしまいそうになる靴だが、明確なタフさをディテールに込め全体からそれが溢れ出るように出来ているこの靴はペリーが「どんな場所にも履いていってください」と言うように「意外と親しみのある靴に仕上がってるな」と感じた。
どんな場所にでも履いていきたい。