Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

ペリーも侮れない話

J.M.WESTONのCountry Gentsといえば長年のウエストン愛好家にも、ブームに乗っかったこれからウエスト愛好家になるのかならないのかわからない人にも「こいつは何をしてくれてるんだ」と思われていたであろう、ミシェル・ペリーが昨年の秋冬に発表したコレクションだ。

怪訝な目で見られていたかどうか、というのはさておき燦然と輝くクラシックラインの「ゴルフ!」「ローファー!」「ドゴール!じゃなくてハントダービーって言うんだよ!」といった人気を博し続ける古参たちと比べると挑戦的なデザインからか、過剰なトンガリ靴ブームからくるアレルギー反応なのか、そもそも「ファン受け」という意味でペリーのデザインが良くないのか「受け入れられにくいミシェル・ペリーのウエストン」と、存在を目立たせていた(気がするだけか)。

 

そんなペリーが良い感じの落としどころを発見したのか何か思う所があってクラシック側に寄り添ってきたのがのCountry Gentsだと個人的には思う。

 

そんなGentsの靴が最近いつにも増してよく見える。

 

購入したのはそのコレクションの中のストレートチップでもう三ヵ月くらい履いている。こういった伝統的なデザインにカントリーやハンティングの趣を持たせるとなるとこういうデザインになるんだろうなと履いていて常々思うがそれにしても各ディテールの採用の上手さには目を見張るものがある。二重になった履き口周り、ヒールカウンターの補強、ダブルウェルト、ダブルソール。それらを上手く取り入れながら個性を出すという点では外部のデザイナーが既存のラインナップにメスを入れて靴のデザインを進化させる、形にすることの良さを感じる。

 

ここ最近だとEDWARD GREENがスパッと切り落としたようなエッジの利いたスクエアトゥのラストを発表したり、John Lobbが外部デザイナーを招いたりと正に「メスを入れる」行為をしているのだが(そういう意味ではChurch'sのスタッズもそれに当たるか)、Country Gentsを見て「お、かっこいい」と思わせるように「ミシェル・ペリーの靴」ではなく「ウエストンの中のミシェル・ペリーの靴」として溶け込むまでの熟成期間を考えるとどうなっていくのかという楽しみがある。

 

個人的はバリバリ今風の手が加えられたようなミシェル・ペリー過去のコレクションを見ても良い感じのロングノーズの靴とか、絶妙な一振りが利いている一足もあるのだが、そこは伝統と安定のウエストンの印象とのギャップが激しく浮いていたんだろうな。と思う。

 

新作のフルブローグダブルモンク、凄い良い。