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毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

第二十二回文学フリマ東京出店レポート

反省のタイミングはいつだって難しい。

「毎週木曜日更新」を掲げているがそれに合わせて更新を続けていると文学フリマ東京の話ばかりになるので木曜日までに反省し尽くすことが良いのではと思ってそうすることにした。出店レポートというタイトルで今回は「それぞれの作品の特徴」「製作」「ブースレイアウト」「販売」を一問一答のような感じで振り返ることにする。

 

それぞれの作品の特徴

 

それぞれの作品の特徴を教えて下さい。

 

・紳士靴四十七話。既刊です。オークションに出品される靴に関しての説明文をまとめたもので靴の見所を美しく語る「靴を魅力的に記す」三十七足と掌編形式の説明文を靴のイラスト付きで語る「靴を物語で語る」の二部構成。突然反省が始まったり執筆に関するルールなどが記載してあるのも特徴。文学フリマガイドブック推薦作。

 

・紳士靴九話。新刊です。私が持っている靴のイラストとそれに関するレビューをエッセイ形式でまとめたもので「既製靴」と「注文靴」で分かれています。既刊と比べて絵の分量が多く、表紙も内容がわかりやすくデザインされています。

紳士靴九話ポストカード。せっかくイラストが多く出来たのでポストカードにしました。

 

製作

 

●意識したことはなんですか?

「紳士靴」というコンテンツの割に前々回、前回ともに女性の方に手に取ってもらえることが多かったので程よいポップさを意識しました。

 

大変だったことはなんですか?

タイトルと絵。絵に関してはポップさを匂わせるには欠かせない要素ですが、決して上手いものではないので苦労しました。文章と絵のフレーバーが揃っているか、左右の車輪が等しい大きさになっているかを確認する作業は大変でしたが相乗効果が生まれたので今後絵を描き続けるには十分な理由になると思います。

タイトルはペーパーやあとがきに書きましたが「物語にセットさせる」という考え方を持ち込んでうまくつけることができたと思います。

 

完成したものはどうでしたか?

エッセイ集という意味では大変満足していますし、意図したことが達成できているのも嬉しい点です。ただ「1つの連続した塊」と見たときにはもっと動的なレイアウトを試してみても良いのかもしれないです。絵、文ともに静かなものになってるので筋は通っているとは思うのですが。

 

ブース設営

 

意識したことはなんですか?

シンプルに紳士感を全面に出すこと。

 

上手く機能したことはなんですか?

全体的に上手く行ったと思います。中でも恒例の靴のディスプレイはとてもよく機能しているように思います。

 

逆に機能しなかったものはなんですか?

ポストカードがほとんど動かなかったことの原因の1つはディスプレイかなと考えています。ブースに品物が多すぎて世界観が崩れた気がします。POPも値段はともかくそれぞれの紹介文を読んでる人はあまりいないような印象を受けました。文字が小さいのかもしれないですが、トータルのバランスという意味では難しいところです。

 

ブース設営という意味だと棚を使った三次元的なレイアウトが見られますが導入するつもりはありますか?

運搬の面倒さとチープなものだと一気に世界観が崩れるので導入に関しては慎重です。ただ、知人のブースなどを見ると雰囲気が強く出るのでクールだなとも思っています。

 

販売

 

意識したことはなんですか?

販売にほとんどの力を注ぎました。立って接客をするシーンが多く「ああ、立ってるなー。この人」と思われた方もいるかと思います。いくつかのマジックを仕込んでいましたがよく機能してくれました。ただ、販売にほとんどの力を注ぐことについては疑問を感じています。

 

上手く行ったことはなんですか?

前回感じた通りにペーパーがコミュニケーションツールとして強く働くので多く刷りました。これは今話したマジックのうちの1つで、ありふれた手法のようです。原画は飾れなかったのですが出すべき人に出すことで効果を発揮しました。これは出さなくてわざわざ裏から出すことに意味があったような気がします。

 

上手く行かなかったことはなんですか?

「世界観買い」が明確な形では今回は0だったことです。初回は「こういうの好きです!」と褒めて頂くシーンが一回。前回は「あなたがここにいて、その格好で靴の本を出していることが反則です!」と嬉しい言葉を頂くシーンが2回。

スーツを着た人が何人か見られたことが原因かなとか、初々しさが抜けてきているのかなとか色々と悩んでいます。端的に感じていることを話すとするなら「ツーピーススーツは例え色が珍しくてもあまり差別化にはならない」といった感じです。

 

見本誌提出と本部から提供されたPOPはどうでしたか?

新刊の紳士靴九話(以下九話)は見本誌を提出しましたが紳士靴四十七話(以下四十七話)は既刊なので出しませんでした。四十七話に関しては文学フリマガイドブック推薦作なので敢えて出さずに推移を見たいという思いもありました。推薦作用のPOPを当日に頂けましたが、装丁の関係もあり

 

“見本誌提出+イラストが華やかな”九話

“ガイドブック掲載+推薦作POP+えらくシンプルな”四十七話

 

とそれぞれ違う形で均衡がとれたと思います。

 

事前の宣伝はどうでしたか?

Twitter、ブログで行いましたが数人。という感じでしょうか。「見本誌を見て」という方の方が多かったです。フォロー数、フォロワー数を増やさないと効果は出にくいと感じました。

 

実際何部くらい売れましたか?

まだしっかり数えていないですが九話は見本誌除く39部完売。四十七話は20部以上は売れました。ポストカードはほとんど動きませんでしたが九話の売り切れ後に動きましたので先述した通りのディスプレイの問題と文学要素がゼロなのが原因かと思います(=イラストそのものの魅力が弱い。確かに説明的な機能を持たせているので仕方がないとは言えますが)。単純計算で8分に一冊程度売れている計算で、セット買いが決まるシーンが多かったのでもう少しペースは緩やかになると思います。14時くらいから一時間半程度接客しっ放しのターンがあってタフな時間が続きましたがこれに関しては後日別立てて記事を書きます。

 

総評としては出来たことと出来てないことがはっきりしたイベントだったなという感じ。販売終了までを到達点にして臨んでいますが、1ブースで1人で売る限界を数字で感じたり。友人に話したところ「靴でそれだけやってるってすげーな(笑)」ということでしたがそこは靴(ユニークなもの)だから苦戦するところとよかったところがあるなと思う次第。興味を持ってもらえるパイがそもそも小さいから、頑張ってるという見方も出来るしパイが少ないから刺さる人の密度は濃いのではという。

購入頂いた後でTwitterやブログなどで感想を得られるまでのパワーがそれぞれのアカウントや製作物のバリューの関係上足りないのかなとも思います(が、どこまでをゴールにするかでその辺の話は変わってくる)。