半年前にオーダーしたJ.M.WESTON180だが、今の気持ちはどうだろうか。
絶妙な中間色の発色が美しい、砂漠の様なスエードのローファー。
J.M.WESTONは革の種類も多いので色々と悩むところだが一目惚れしたのはこの点だ。スエードのカラーバリエーションが多く、なおかつそれぞれ微妙にニュアンスがあって良い。これをどう活かすか、どの色を選ぶかで「砂漠感」を重視したわけだが結果的にどのシーズンでもこういった淡い色を入れたい日が出てくるので年中出番があるという状態になった。この辺の微妙な心の色模様を満たしてくれるようなものが靴にあるのは嬉しい。
最初は部屋で試履きしようものなら15分くらいで音を上げ、数日間ならした後、強引に一日履こうとしたら夕方には頭に痛みが走るように。「とても痛い」
ただこれは本当に不思議だなと思うがどういうわけか馴染んでくる。痛みはなくなり、むしろ足が収まっている様子が独特で心地よい。ただ、カカトは抜ける。抜けると言っても無理に抜けるようなダラダラとした歩き方をすればという形で。
合う合わないもあるので一概には言えないが、楽に履けるってことは脱げやすいということでもあるだろう。これ以上、足長を縮めたら指は詰まりすぎるし足幅を狭めたら明らかに閉まっている。この辺は相性の問題もあるし難しいところだろう。
向こうだって「履くならこのサイズ」という感じもあるだろうし。
あと、このローファーに関してははっきり言ってオーダーがよく映える靴だと思う。
甲の色を変えるなり、サドルの色を変えるなりのお決まりの方法を使って好きな色を2つ組み合わせるのも良いし、あるいは同じ色でも素材を変えてよりその色の魅力を引き出すのも良いことだろう。ステッチの微妙なスパイスを味わうのも良い。オレンジっぽい茶色と荒々しさのある麻紐のようなグレージュも私は気に入っている。
三色を上手くまとめられればより自分らしいものができるだろうが、あまりに尖りすぎると服を選ぶから出番が減ってしまいそうだ。
14万円と、頑張ってお金を稼ぐのはもちろんだが、そこからさらに頑張って「オーダーするぞ」と足を踏み出さなければ行けないので「気軽にオーダーしてみては」なんてことは言えないが、もう一足あっても良いのかななんて思う魅力はとてもある。鞄や時計、何気なく選ぶシャツなどの服の色やトーン。自分を見つめてお気に入りの一足を作るのは楽しいだろう。
私はこのローファーを自分の手持ちの靴の空いていた枠が収まるような感じがあってとても気に入っている。どの気分でもないときに履くとそこに漂う中間色を中間色とはっきり認識させる様子を見ていると「ああ、これこれ」と思う。