夏は終わりそうだが、サンダルを手に入れた。
サンダルを、オーダーしたことはあるだろうか?私は無い。というかサンダルをオーダーするという発想すらなかった。しかし考えてみれば、あっても別におかしくない。
たまたまそれを履いている本人に知り合って「なんですか、そのサンダル?」と聞いたら自分で作っているという。その奇妙な形が気になって仕方がなくなり、オーダーをお願いしたら快く了承していただけたので作ることとなった。
この、バターナイフのような、葉っぱのような全体のアウトライン。うん。謎だ。というか、どこかにあふれるイタリアンフレーバー。手作り感をバッチリ、ディテールとして魅せる美しさや可愛さ。
私は最初はこれを見て「豆だな」と思ったりもしたがよく見ていたら魚のヒレや魚そのものに見えてきたので、それをテーマに注文することにした。
なのでこの編込みのベルトは鱗や波を表現していて、足が触れる部分を裏の革にすることで全体の表情が光の反射でさまざまな様子を見せる魚のボディに近い様子に。
ライニングには茶色の革をはみ出し部分を多めに取ってもらい履き込んでクネクネしてくれば、魚の流れるように泳ぐ様子を表せるのでは?というアイデア。
留め具を大きめのギボシにすることで目のようにキラリと光るように。ベルトの端の処理はカシメでバチンと止め、ワイルドな仕上がりに(この辺から海の男の持つ荒々しさも加えたらどうか?という話が出てきた)。
こんな形で出来上がったサンダルの履き心地は、なんというか未体験の履き心地。
なにせ「サンダルでピッタリ」という状態が全く理解することができないからだ。足をピタッと抑えているのにサンダルなので踵の部分はゆるい。でも、スッと入るし。
うん。なんだかわからん。が良い。出来上がった帰りにはこれを履いて帰ったしその後も一度仕事が終わって帰宅してから外に出るときはほとんどこの靴、ではなくてサンダルだ。
ぴったりでありながらも楽に履ける、オーダーサンダル。不思議な存在だと思う。
それと、靴もそうだけどオーダーのコツは見立てと自分なりのストーリーとテーマ。
ですね。それにディテールやデザインが自ずと寄り沿ってくるのです。