Re:11colors

毎週水曜更新(2021年9月現在)。革靴、模型、日常。

この考えられた「かわいい」は届いているのか

日頃、かわいさについて素直に感動することがあるかと思います。

かわいい!といえなくても、心が動く。そんな瞬間。

私はいつだってあります。

 

さて、そんなかわいいに様々な秘密が詰まっていることを皆様はご存知でしょうか。その中でも最もわかりやすく衝撃的な事実は「小さいものはかわいい」ということです。これは、同じ造形のものが一堂に並んだときにより明確にわかることですが、例えばそれは私の場合だとJ.M.WESTONのローファーがサイズ順に一堂に並ぶ姿を見たときに強烈に発生しました。

 

blog-tokyo.takashimaya.co.jp

昔のブログですが、良い記事です

 

この靴のかわいさにはいくつか理由があってその中でも大きいものも小さいものも糸の太さやミシンのピッチがさほど変わらないのでその小ささがより明確になることとディテールにある種のデフォルメが掛かるからです(靴好きには「このラストはこのサイズが綺麗」「このラストでもこのデザインはこのサイズが綺麗」という話をする人間がいます。そう、私ですね)。

 

そんな「小さいからかわいい」「小さいからディテールに自動的にデフォルメがかかってかわいい」という現象を元にアオシマハスラーを見てみましょう。

 

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お分かりいただけると思いますが、かわいいですよね。

シールはスズキのSマークだけ貼りました。ライトはマッキーでパーツの裏側から塗っています。

小さくて、ディテールもサイズが小さいが故の省略や、エッジをそこまでキレッキレにできないところがなにかこう、デフォルメされて繊細な何かではなく、記号化された塊になっててかわいくなってます。

 

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ただ、そういったかわいさを成立させてるのは質感なのです。ツヤっと光るピンクのボディやホイールのメタリックな様子は確実に「本物に比べて小さくてかわいい」を意識しています。もちろん、そういった再現が今の模型には当たり前なのは知っていますが、シールで隠れるホイールにそれを施すことに何が込められているでしょうか。

このキットはおそらく天板をツートンにしてくれれば文句の言いようがないキットになったと思いますが、仮にそうなったとすると今度は「タイヤをゴムにしてくれれば」という話になります。これが進み続けると最終的に箱の初心者マークは外さないといけなくなりますね。

 

その辺りのコストの話はマジでわからないので話せませんが何かバランスをとったのでしょう。私ですら思うことをやらなかったのですから。

 

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さて、そういったかわいいが込められたキットですが、こいつの良いところはもう一つあります。それは動くことです。これは別に何か私の想いがあるわけではなくて、これを作ってテーブルの上に置いておいたら奥さんが

 

「かわいいね、これ」

 

と言っておもむろに動かし出したという事実があるだけです。私はこれ以上にこいつが動くことの大事さを示すことはできません。

 

こんなにかわいくよくできたキットは果たして「初心者マークの通りに、思いは届いているのか?」というとそれはわかりません。なにせすでにプラモデルを楽しまれている方の製作報告がたくさん見つかるだけなのですから。


そうなんです。初心者に届いてるのかどうかを可視化する術がないのです。

彼らは、出来上がったものをどうやって楽しんでいるのかが全くわからない。

作り慣れている方は制作過程を上げてみたり、キットそのものについて語ることに慣れています。そういう楽しみ方を知っているというわけですね。

 

私は改善を望んだり何かをどうにかするべきだと声を上げることはしませんが、こういうプロダクトがあって、私はそれを買ったときにこんなことを開催しているのかと同封されている紙一枚でえらく感心してしまいました。

 

www.rakuten.ne.jp

 

このキットはかわいいのか、なんでかわいいのか。

 

そして組み立てに関しては非常に簡単なものだと思うので、こいつはどうやって今の世の中で写真に撮られ、広まっていくのか。オーナーはこれをどう楽しむのだろうとか。

 

そういうことは、もっと考えてみると楽しいと思います。

 

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