昔、鯨の肉の缶詰を食べたときに「ああ、これは哺乳類が海で暮らした感じの食感がするな」と思ったことがあります。
この「PLAMAX MF-21 minimum factory みのり with ホンダ耕耘機F90」はいざ組み上げるとどこかそんな感じがするキットでした。
メインのボディのパーツ分割は、なんか飛行機っぽい。
縦にスッと長いものを貼り合わせる。
「絶対に失敗して欲しくない」
というパーツ設計のゴツいタイヤは、軍用車両のタイヤをもっと強くはっきりと自覚させる組み味。
ランダムな刃は、毎週連載を楽しみにしていた河合克敏のモンキーターンのボートのプロペラっぽい。
部分的にバイクっぽいデザインと解釈されたりするので、それもきっと俺がバイクのプラモデルを作ればわかることなのかもしれない。
この耕耘機は、なんかそういうことを作ってる間にずっと感じる存在だった。
知ってる形のようで、知らない形のものを組み合わせる作業は脳が良い意味で混乱する。めちゃくちゃ考えてしまう。
「これなんか飛行機っぽいな、いや車両?ん?なんだこれは(いや耕耘機なんだけど)」
飛行機みたいなパーツに車の車体の裏側によく付く細長いパーツのようなものがくっついたりする。しかも長いパーツはハンドルが付いている。
そんな悩みと真っ向から勝負して正体を見破ろうとしていると
「これは翼の代わりにくっついているもので、このハンドルでこのエンジンを、操る、制御するものなんだな」
こんなことがわかった。
この辺が鯨の肉の正体。飛行機が陸上で使われるなら、どうだろう。みたいな。もちろん翼がなくなって、車輪が大きくなって車になるんだけどね。当たり前なんだけど「あー」ってなるときあるでしょ。あれに近い。
これがバイク的解釈だと話が変わってきそうだけど、俺はF90に関しては縦に割ったパーツ分割から飛行機を作る体験が呼び起こされているわけで、バイクを作っているとバイクと車の間みたいな感じがするかもしれない。
俺は、このキットを作ったときに左右の車輪をボディにつけるピンが違っている点や、なんかうまいこと行く組み味についてもっと書こうとか、4色印刷で独自ルールで作られた記号ではなく誰でもわかる「!」マークで注意を促すアテンションだとか、デカールが同じものを複数枚用意されている点とか、みのりちゃんは「プラモを作る腕とフィギュアを作る腕が違う点をプラモ的な色分けで埋める画期的な存在だとか」そういう「良いキットだなー」という話をしたいなと思っていたけど、それよりも今まで書いた妙な組み味についてのほうが頭に残っちゃってたみたいで、頭の中でそれを思い出しながら
「あの体験は何だったんだろう」
「俺にとってこれはなんのためだったんだろう」
「こう思った感覚の正体はなんだ」
とか風呂に入ってずーっと考えたら、
「あー俺たちはこうやってエンジンだとか機械に囲まれて生きてきたんだな」
っていう気持ちがすっごい強くなった。
そして、俺はこのキットでこれを知れたんだって。
エンジンを生で見たことはないけど、大きなエネルギーが生み出す力をそれが必要なところへ作用させる、そしてそれを人が制御するためにプロペラだとか翼だとか、車輪だとかハンドルだとかそういう色々なものがあるんだなってのを、強烈に認識した。
「そら飛行機っぽくてバイクっぽくてボートのプロペラっぽいよな。だってどれもエンジンで動いてるんだもんよ」
でっかいエンジンに、ゴツい車輪、不規則に配置されながらも横から眺めるとキレイに配置されている刃。そして、それを操るためのフレームやハンドル、ブレーキ。
それを作る、動かす、眺める。そして、感動する。
手がつけられない暴れ馬を制御する、巨大な力を人が利用するような、そんな感じがでるのはこのモンスターマシン的なルックスだからだと思う。
あとは農業って身体的な距離は遠いけど、いつも食べてるご飯に関わるという点では近いものに携わるマシンだからか。俺はそのせいでそういう「エンジンに囲まれて生きている」ことに敏感になった理由なのかも知れない。
生の、強いエンジンが持つ強さと、それを役立てよう、制御しよう。というエンジンを使う根本的な理由みたいなものこの耕耘機には詰まっている。

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