Re:11colors

だいたい木曜更新です。革靴、模型、日常。

その塗膜を落としたときに

今日は模型でデカイ失敗をした。

今までになく飛行機模型の筆塗りがうまく言っていたのでそのショックはとてつもなく、それと同時に自分の甘さを悔いることになる。

原因はいくつかあって、例えば上達を過信してガイアのナイロン筆からタミヤの柔毛のものに替えたら調子が全然合わなかったことや、埃を巻き込んで表面が汚くなったことなどである。後者は普段は気にしないが、前者に関しては復旧が難しく塗膜ボロッと剥がれてしまい汚くなった。

 

捨ててしまうのは簡単だし、今日は仕事でもかなり腹の立つことがあったので、捨ててしまおうとも思ったが、タミヤアクリルはマジックリンで落ちるということを最近知ったので落とすことにした。リカバリーの作業はどんな業務でも模型でも同じで、その該当箇所よりもかなり広範囲にリカバリーの手は及ぶことがほとんどで、これ自体も同様にそうなった。

 

最初は該当箇所。機体周辺。塗る。早く元に戻したいから厚く塗る。

上手くいかないので落とす。また我慢できず厚く塗る。上手くいかないので落とす。

このあたりで落としたところとそうで無い部分の段差があることに気づく。これを埋めようと厚く塗るのでベタッとした質感になり、モールドも埋まる。

どうにも上手くいかないのと、翼面の埃が気になるので思い切って該当箇所周辺と翼面全てを落とすことにした。このときだ。

 

落とすときの感触が全然違うのだ。ボテっと、厚く塗られた部分はボテっと簡単に落ちる。つまりリカバリーをかけたところはすごい簡単に落ちる。

反面、薄く何度か塗ったところは少しこすらないと落ちない。なんなら力加減をコントロールすると、まだらではあるが第一層だけを落とすみたいなことができる。

 

なるほど、これでは早く戻そう早く戻そうと気を急いだところで戻るわけはない。見た目は確かに塗られていて、多少の風合いの差はあれど等しく光沢を放っていたのにこうも違うのかと驚いた。触り心地が、まるで違うのだ。もちろん乾燥しているかどうかはあるだろう、ただし、それだけでは第一層だけを落とせたあの現象が重ね塗りという作業が生み出した結果ではないという説明にはならない。

 

私は筆塗りという作業には常に懐疑的で、その懐疑的な部分はこういうことを知る機会がほとんどないからだと思ったりした。

 

筆塗り(特に飛行機などの乗り物を塗る場合)について回るのは大抵が、未だ言語化されていない「味」の話や、焦らずゆっくりやることや、気軽にちょちょいとやりましょーみたいな、かわいらしい話が多くて、そこに少し嫌気がさしている部分がある。線が曲がったり筆ムラがドバァとなっているのは「手作業だから仕方がない」で片付いたり「気軽に作ったからです」で端に退けられたりする。

 

しかし、今日の体験から察するに筆塗りを行うというのはドラムを叩くようなもので、ある種のリズムをキープし続ける作業のようだ。

 

そしてそこに決まったある種のルーティンを作り上げ、失敗してもめげないことや、そもそものミスの予兆をそのルーティンで消してしまうこと。それがリズムをキープし続けるためのコツかもしれない。

 

そこに生まれる痕跡がもし、リズムよく刻まれたものであれば、それが筆塗りの良さということになるのだろう。