Re:11colors

毎週木曜更新(2021年1月現在)。革靴、模型、日常。

最適化で失われる対応力について ゆとりの法則

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この本の特徴は語の再定義と明文化だと思う。

比較的労働時間中に余裕のあるスタッフはすぐに仕事に対応できるなんて話が序盤のハイライト。つまり、ゆとりが対応力を生み、それが柔軟性につながるという話。

 

対して全員が忙しく業務に取り組んでいる場合は、効率的だという。つまり、今書いた余裕のあるスタッフの日々の労働量を60%とした場合残りの40%に仕事を詰め込むか、あるいは90%の労働量の6人に当分してスタッフを解雇するかという話。こうすることで無駄がなくなり最適化されはするが、反面対応力が下がる(10%程度の仕事は優先順位はどれくらいで、果たしてそれをすぐにやってくれるだろうか)。組織は柔軟性に乏しくなるという。

 

この効率化と柔軟性の話をベースになかなか難しい話が続く、というかこの道理を証明するために話が続くのだけど、例えば複数の業務を兼ねることで切り替えの時間(片付けと準備)が必要になるとか、5人の専門的なスタッフよりも4人のそれ+事務をこなすアシスタント1人の方が仕事は早く進む(ただし、この1人は直接的にはコードを書いたり、設計をしたり組み立てたりはしないのでプロジェクトに関与しないので、彼・彼女は効率的ではない)という。

 

こういった主張という地べたにくっついた話を元に人材管理、生産性、品質管理、訴訟、リーダーシップやリスク管理など徐々に私のような労働者サイドからすると経営的な話、もっというと抽象度の高い話になっていく。個人的に面白いなと思ったのは自動車メーカーのボルボの話で、生産工場では各部門ごとに、例えばタイヤをつける人はタイヤをつける人であり続ける分業制をとることが多いと思うが、ボルボはかつてはチーム制をとっていて、チームで一台の車を仕上げたそうだ。

 

なのでチームは全ての車生産に関わる業務に取り組むので、ある日はメッキ、ある日はプレス、ある日は シートの取り付け……と本当に何もない状態から完成まで作ったそうだ。そうして最後にはフェンダーの下部にダイアモンドのペン先のペンでサインを入れる。

 

こういった作業は丁寧なものづくり的な観点というよりは、作業者の仕事の所有意識の高まりやチームの結束の高まりを生むという。加えて離職率も下がる。わかりやすくいうとプライドを持ったものづくりの環境を作れるというわけだ。

この手の難しい本の唯一明るいというか、楽しいところはこういった海外の事例をベースに書籍の主張を補強する点だと思う。それを理解するために他の文章を読むといっても良いと感じる。

 

最終的にはリスクをとって挑戦していく必要性の話につながるのだけどそこに、最適化と柔軟性の話が結びついてくる。リスク管理とは日程と予算に余裕を持つことで、そこには冒頭話した対応力が備わる。ギリギリで強気の日程と予算で行えば例えば誰かが退職した場合には代わりの人材を探す日程と予算がなければ対応できない。何かがあったときに対応する、問題に対して動ける人や金を前もって確保するというのがポイントだという。

 

そしてそれらをまとめて「少しだけ効率を下げると効果が上がる」というのである。

一人、業務に直接関与しない人物をチームに置くことで、チームで一台の車を何もない状態から作ることで、日程に余裕を持って最初の一週間をそのプロジェクトに向けた研修に充てることで(そこに予算を割くことで)効果的な仕事ができるというわけだ。

 

私は、この本を読むまで効率的であることをどこか「最適化」だと思っていて、少し前まではそれを最高だと思っていたけど、最近はそれに「多様性」という言葉がぶつかってきて最適化は正しいとは思わなくなってきた。その原因は「効率的であることと柔軟性があることは別だということ」だとこの本を読んでわかった。

 

果たして、私やあなたの仕事や趣味における効率と柔軟性のバランスはどこにあるのだろう。最近だと効率的という意味だと趣味ですら調べる時代な訳でそこには「これはこうすればOK」的な最適化ハウトゥーの話があふれていて、正にそれに当たると思うがどうだろう。

 

 

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