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毎週木曜更新(2021年1月現在)。革靴、模型、日常。

違いを見つける楽しみに触れる「Armor Modeling 11月号」

違いを見つける楽しみというは、キノコだとか野草だとかを食べるときに「これは毒があるのかないのか?」を判断することから端を発する、生存における必要な感覚だと聞いたことがある。

 

つまり、見分けがつくことは有利になるという話で、大人数のアイドルグループのそれぞれのメンバーも何度も見ていると個々を認識できるようになるのも根本は生存に関わる感覚があるようで、「思わず見分けてしまう」といった様子であるようだ。そして、必要な感覚なのでそれには快感が伴うといった形。

 

今月のアーマーモデリングは一冊のほとんどがアメリカのシャーマン戦車の特集だった。読めば分かるのは、まさに今あげた個々の認識と、それによる楽しみが記されているということだ。

 

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特筆すべきは、戦車としての面白さに加えて、アメリカの大量生産品の面白さをどう伝えるのか?というところだと思う。アメリカの大量生産品といえば、私のようにファッションに関心があるとLevi'sのジーンズや、REDWING、Russell Moccasin、Florsheimなどに関心がいくし、HamiltonやBenrus、Waltham……などなど数多ある「あの頃」の腕時計たちの外見上の愛らしいほどに凝らされた工夫なども知ってしまえば目を離さずにはいられない。

どれも細かなディテールの差異による、年代の特定やそれぞれの特徴などの研究がかなり進んでいて、そこにはシャーマン戦車と同様に「違いを見つける楽しみ」が存在していてる。そして希少性などによって高額で取引されたり、市場に流れればすぐに売れてしまうという状況がある。

 

その点、プラモデルが面白く、かつ今回のシャーマン特集の良いところは比較的容易に「この年代のこの車種」を入手することができる部分だろう。知ったものを、すぐに買える。これがファッションアイテムやアンティークの世界の様に「本物が欲しい」というとそうそう手に入らず、本物に近しいレプリカや復刻版などを手に入れたところでやはり本物ではないというのが、大変しんどいところ。

 

プラモデルはその点、本物のプラモデルが手に入るのでありがたいし「復刻版」などと銘打って商売をすることもほとんどないので優しい。あのLevi'sの501ですら年代によってシルエットが変わるのに、常に本物が改良されずに同じように売られ続けている面白さと、その大量生産性はこの世界の特殊さとも言える。

 

もちろん「私はファッションに興味があります」だとか「いや、私は戦車に興味があるんです」と言われてしまうとそれまでなんだけども、少し視点を変えて「アメリカの大量生産品が持つ、年代や生産箇所による個体差の面白さ」を味わうにはジーンズだろうがブーツだろうが戦車だろうがあまり変わらない部分があるのではと思う(そういう意味だと本誌は今はなきファッション雑誌、free&easyのツイードを特集した号に近い雰囲気を持っている)。

 

今月のアーマーモデリングはその面白さを味合わさせてくれるには十分な号で、新しい世界に足を踏み出すきっかけになるのではないか。

ファッションアイテムやアンティークのものの判別が自身を着飾ったり身の回りのものをどう構成するのかといった豊かさや世界観の確立に役立つように、プラモデルとの関わり方をじんわりと実感するにはぴったりで、どの分野においても一度は触る必要があるのがアメリカモノということなのかもしれない。

 

ジーンズやブーツ、時計やメンズアクセサリー、あるいは古のスーツスタイルの持つ強さ、何れにしても真似できない「当事物のパワー」と雰囲気があるわけだが、豊かさや国力と言いたくなる力に触れられる模型がシャーマン戦車なのだろう。それをきっかけに細かな差異を楽しむかは別として「そういう世界がある」ということを体感するという意味では、海外旅行とかに近いのかも。

 

言葉を選ばずに言えばシャーマンを取り囲む環境は異国だな、とは思わなくもないので。

 

最後にもうこの世にはいない私の憧れのスーツスタイルを体現した方の言葉を借りて終わりにしよう。

 

「豊かだったアメリカを味わうには、あの年代のスタイルや手間がとても良いんだ」

 

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