「あなたが部屋に置いている飾り棚のどこに良いと感じているのかとか、そういう身の回りものの良し悪しのジャッジとプラモデルの良し悪しのジャッジは絶対どこかで繋がっている」
と言われてからこれは俺の宿題になった。
どこが良いと思っているのかというのを考えるのは難しい。なかなか言葉にしづらいというか、俺の場合は漠然とした言葉に頼りがちになってしまう。言葉が見当たらないことがあるからだ。
例えば俺は女性の外見に関する好みは「骨格」だと一貫して言っていたりして、それはある程度付き合いのある友人はだいたい知っている。「俺は骨格フェチだ」とずっと言っている。ただ、これもとりあえず言葉にしただけであって「なんか骨なんだよな」ということしかわかってなくて、それでも「運動をしていない感じ」とか、痩せているのに重い」とかなんかそういうことを「骨」を元に判断している。
目のつきかたとかも「眼窩の形がいい」なんて話をすることもあるし、そういうなんだかわからないカタチへの気持ちというのが強いというか、なんだろうな。これは。いまだによくわからない。
最近だとプラモデルにおける「組み立ての面白さとパーツの関係」をパーツレシオなんて言っている。言葉にしづらい感覚を造語にしてしまった。
パーツレシオが高いプラモデルというと、飛行機は全般的にそれ。工程を経ることにみるみる姿を変えていき、バシッと飛行機が出来上がる。マックスファクトリーのミリタリーキューティーズもそんな感じだけど厳密にいうと少し違う。あのかわいい女の子を作るプラモデルはパーツ単価が高い感じ。
低いものはというと、戦車とかカーモデルとか、マシーネンとかはそうだった。低いから悪いというわけではなく、これらは組み立ての面白さよりも「そのものが出来上がるまでに完成度を上げていく楽しみ」がある。大人になってプラモデルに熱中するようになってからは作ったことがないのだけど、ガンプラもそんな感じではなかろうか。真ん中くらいのものは軍用車両がそうだと思う。
この手の話でずるいのはある日突然「部屋に調和する模型」という話を持ち出したことだ。
調和は一般的な言葉だが「調和しているか?」という問いかけに「調和しています」と答えにくい感じがあるので、投げかける言葉としては強力で、ついつい「うっ」となる言葉なのでずるい。
ただ、実際に「このプラモデルは部屋に調和しているのか?」というのはめちゃくちゃ考えるので何か波風を起こそうとしてやっているわけではない。そして、何が調和するのかは俺も良くわかっていないが、調和するものがある。
キット選びの段階でそういうことをとにかく考えているようだが、何にOKを出しているかはまだわかっていない。ただ失敗するときは決まっていて「一回うまく言ったから、よく考えずにもう一回作る」というパターンだ。これで大抵失敗する。
車が楽しかったから車を作ると失敗するし、戦車が楽しかったから戦車を作ると失敗する。飛行機もそう。「だって、楽しかったから」なんて言葉は通用しないままプラモづくりは作業になって、気乗りしない塊が調和しない状態でしばらく置かれて、捨てられる。
そういえば、占い師の石井ゆかりの本には「天秤座は調和を重んじる」みたいなことが書いてある。「ある宝石を見たときに、頭のてっぺんからつま先までのコーディネートとの組み合わせを考えて『合う』と思うとそれが欲しくなる」といったような話が書いてあるのだ。そして、天秤座は愛の星座らしい。そんなことを書かれるとなんだか「ふふっ」と変な笑いが出てしまうが、愛っていうのは簡単に言葉にならないのかもしれない。
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