Re:11colors

毎週水曜更新(2021年9月現在)。革靴、模型、日常。

高い時計を買ってみてわかったこと

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一時期、異様に時計が欲しいときがあって今も欲しいのだけどだいぶ落ち着いている。いろいろと見ていて思ったけど極論「自分が欲しい時計を買う」というのが答えっぽい。悩むほどの価格帯の時計を買う上で難しいところは、家と同じで一生に何度も何度も買うことができないところだろう。それに加えてここ数年はある面ではアップルウォッチが最適解になっていて問題をさらに困難にしている。

 

「自分が欲しい時計」を探す上でさらに横たわる課題は「熟考したい」という気持ちだろう。もちろん出ていくお金がお金なので仕方がない。そして熟考するときに買い手を納得させるような準備を各メーカーやメディアがしているので、自分で自分を説得するというよくわからない状況になってしまう。

 

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吟味したり、ノリで買ってみてわかったのは中価格帯の時計を購入するのが一番難しいということだ。私の中価格帯は10万前後をうろつく感じになるのだけど、中価格帯の時計は買った後に割と早い段階でもう一本時計が欲しくなってしまった。特長としては「道具としての時計」という切り口からのPRが多く、ミリタリー要素を押し出すことも多い。ブランドそのものの歴史や高級感というよりは外的要素に頼るような話でブランドイメージ向上を図っている。メディアでのレビューでは「実用時計」とか「機械式時計の入門機」とかそういうフレーズがちらついてくる。もちろん道具としての時計を買うのであればそれで納得するのは問題なしというわけだが。

 

今のところ、購入した満足度が抜群に高いのはグランドセイコーだった。そして実のところ同ブランドにはあまり良い印象を持っていなかったので自分としても意外な答えで、説得する方の自分は頭を抱えているだろう。ただ、欲しいものが「GMT機能付きで高精度クォーツ」とバシッと決まっていて、選択肢がこれ以外にあり得ないという感じだったし、着けてみて「ああ、これいいな」と思って即決した。財政は困難を極めることになったけど。できる限り調べたが、この選択肢で出てくるのはロンジンのものと、グランドセイコーのものしか出てこなかった。なんとなく察するに機械式時計は汎用ムーブメントがあるので様々なメーカーから出てくるが、高精度クォーツはどうやらそうでもなさそう。それに加えてケース径が39mmというのも手首が細い私にはうれしかった。ここは自分には安い時計ならまだしも、結構な金額の時計のときに妥協してはいけないポイントだとよくわかった。

 

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悩んでいて「ああ、これはよくないな」と思ったのは、財布が深刻に痛まない程度でギリギリ出せる価格の時計を買う理由というのを人はいくらでも探してしまうということだ。そしてメーカーやメディア側も知ってか知らずか説得材料をバシバシ出してくる。ただ、それを買うのは稲妻が走らない。だから「良い時計を買った!」とはなかなかなりにくかった。ただ「良い時計を買ったんだ俺は」と納得はしたけど。

 

そして「中価格帯の時計を買うのが一番難しい」といったのには別の意味があって、低価格帯の時計を買うのは意外とウマいという感じがするということだ。中価格帯の時計が“まとめよう、まとめよう”とデザインがおとなしくなってきたり“買ってもらおう、買ってもらおう”とストーリーをべたべたに貼り付けられるのに対し、面白いものが多く、HODINKEEが時折特集している5万円いかないくらいの時計たちは実に個性的で高級そうに見せようという匂いがない(HODINKEEの面白い記事は「よく見つけたな……」と思う安い時計の記事に価値がある気がするがどうだろう)。

 

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時計は、そのものが高いジャンルなので何本も何本も買ってフィジカルに学んでいくのは難しいが、アンダー5万(たまに実売で3万とか切るやつ)をウロチョロして30万とか50万の時計を数年に一度くらいドカンと買うのは、買えるのであれば結構いいと思う。若いうちにいきなり高いのを買ってしまうのが一番正解っぽいが、それは人生二周目か、あるいはお金持ちの人がすることかということで。

 

それにしても、電車の中で時折見かけるブレスやケースの角が取れたタグホイヤーを付けているおじさんを見ていると「若いうちに無理して買った」という補正が一番効くのが時計だなと思うので、これ!と思ったらボーナス払いでも何十回払いのローンでもなんでもして早く買っておくとよさそう。

 

 

 

 

Three On Three: 5万円以下で手に入る夏にぴったりのおすすめ腕時計3選 - HODINKEE Japan (ホディンキー 日本版)