Re:11colors

毎週水曜更新(2021年9月現在)。革靴、模型、日常。

うまくいくところが見てみたかった

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俺は仕事中はとにかく早く帰りたいし、少しでも売上をあげたいし、暇な時間を作って

 

「この時間にもお金が発生してるなんてすごくない?」

 

と仕事仲間に話しかけてケタケタ笑っているのが好きなタイプの人だ。

 

とにかく早く早く早く成果を出したい。そして暇になってダラダラ話したい。そうやって生きている。今の仕事もそんな感じでタッタカタッタカ仕上げてしまうのだけど「仕事どう?」とボタン付けにでも使う縫い糸のように細い繋がりの人に話しかけられても「忙しいっすね。でも早く帰れるようにしています」と言ったりする。

 

ただ今の会社では、この「早く帰るためにどうするか」ということに心血をそそぐ人はあまりいないので「帰れなくない?」とか「帰れないよ。忙しいと」と話が噛み合わないのでめんどくさい。雑な話だが、早く帰るにはコツがある。相手の欲しいものを差し出せばいいだけだ。この手の話は本当に残酷で真の意味で理解されることはほとんどない。

 

こだわりはないのか? とか仕事への思いはないのか? と言われることもあるし、そう思われて、結果的に「効率と合理性しか求めないやつ」みたいな目で見られる。どこでも、よくある。おい、ちゃんと方向性があっているか確認しながら進めているか? あるいは、相手の欲しいものがなんなのかを質問や打ち合わせ今までの仕事の傾向から、読むことは仕事への思いやこだわりじゃ、ないのか?

 

今「A子さんの恋人」という漫画を読んでいたのだけど、ネームがうまくいかないときは結局最初から書き直した方がいいという話が出てきて「そうなんだよな」とひどく納得した。パートナーの彼もそう言っていて、私もそうだと思う。そして私はそれをよく知っているのでアイデアや企画などに「せっかくやったのに」と執着しないようにしている。”自分のアイデア”なんて、会社や店舗、グループの業績に比べればなんてことない。

 

Plamax Minimum Factoryのnonは5回以上塗装しては落とし、塗装しては落とし、を繰り返した。溶剤や洗剤で手の皮が剥けるようになってしまった。うまくいかないうまくいかないうまくいかないうまくかない。というかよくわからんところでミスる。乾いてなかったり落下させたり、ウェットパレットの紙質が最悪だったり。ただ、最後にはうまく言った。嬉しかったか?と言われれば嬉しかったけどそれよりも「うまくいくところが見てみたかった」という気持ちが強かったと思う。形にするための執着が異様に高かった。

 

模型に限らず製作は孤独だ。向き合う時間が長いと嫌になることもある。

しかも仕事でない場合は主導権はこちらにあるのでいつ捨ててもいい、やめてもいい。だからこそ、その反対に粘ってもいい、なんとかうまくいく結末を模索し続けてもいい。うまくいくところが見られたので、とても気分が良かった。辛抱強く行うことに意味を見出したし、趣味だからこういうやり口もありかなという感じだった。

 

A子さんの恋人の、ネームの話は続きがあってパートナーが「そうやって粘り続けてうまくいくところをいつか見てみたいな」といった旨の発言をA子にボソッとするのである。俺も、今回のnonに関して、そんな感じで作った気がする。