「絵が上手くなりたかったら快楽天を一冊買ってきて、まるまる模写するといい」
そんな嘘か誠かわからないウワサがインターネットには潜んでいるのだけど、この練習を実践した人物を観測することができないので嘘っぽい感じが漂う。それでも「あー、なるほどね……確かにそうかもしれない」となぜか本当である可能性を捨てきれないのは私やあなたが快楽天を知っているからです。
私は絵を描くことが思う通りに上手くなることはなかったが、特に模写をひたすらすることの労力や忍耐力の必要さには本当に困った。いくらやっても上手くならないし、年単位で見ても自分が描くイラストがみるみる姿を変えていったかといえばそうでもなく「才能が無いな」と諦めてしまった。ただ、プラモデルをはじめとするフィギュア塗装には適正のようなものを感じていて、たくさん塗装をしているしいろいろな方法を試している。白く透き通る肌色をものにすることができず壁にぶつかっている感じがしていて、肌色には課題意識のようなものを感じていたので、本誌の表紙を真似して塗ることにした。
試しに塗ってみるとわかるのは、参考にした号の表紙を描いている”きい先生”はかなり明るいカラーパレットを触っているということだった。最も明るいところを10、反対に暗いところを0とした場合に私の10はきい先生の0といった感じ全体的に明るく、それでいて透明感があった。透明感に関しては以前痛い目にあったことがあって、それは塗り重ねれば重ねるほど明確な差はわからないものの、どんよりした感じになったといったもの。極力色を重ねすぎないように注意して塗装をするのはもちろん、彼(彼女?)の0は私の10なので今まで頂上だと思っていたところよりも先がある感じ。でも表紙を見ていると行ける気がしてくる。
きい先生の描くかわいい女の子に誘われるように私のホネミッツプロダクツ製の1/20 船外活動おでかけガールは透明感と色気を持った肌色になっていった。ハイライトもオフホワイトを使って塗るほどに明るい色のまとまり方で、いつもだったら絶対しないようなことを行いながらもしっかりと成立していくのがすごい。
私が「すごい表紙だな」と思ったのは、一般同人誌を買うために入った店でレジ待ちの間に見かけた面陳列されている中で一際目立っていて綺麗だったからだ。この手の雑誌は「肌の露出が多い」という点では共通点があるけど、一面に並ぶ表紙を見ると「肌色に差がある」ということがよくわかる。この号の快楽天はロゴもとても薄く、全体にミルキーな仕上がりで、他誌のバキバキと目に入ってくる感じとは違かったので、じーっと見てしまったのだ。
私は肌色をどう塗るのかはフィギュア塗装の華だと思っていて、だからこそ様々な塗り方で理想の肌色を手に入れたいとずっと思っている。絵を模写することはできなかったけど、色を真似することはできたので、「まじ!?」と思うのなら試してみると本当の驚きが待っているだろう。
あ、今年もよろしくお願いします。
今週の物販