「今から、水色が一番暗い色になります。なので黒に近しい暗色は全て水色になります」
相対的に色を塗るという発想がわかるようでわからないので試してみることにしたが、要は冒頭に書いたことっぽく、ではなぜ水色にしたのかというとコントロールカラーというアイテムがメイクではあるようなので取り入れてみようというのが今回のポイントである。
肌色塗装に関しては相変わらずフィギュア塗装の華だと思っているのでなんとか自分のものにしたい。タッチを重ねる塗り方に関しては女子高生のフィギュアを塗ったあたりで何かを見つけていて、続けて塗った女性の宇宙飛行士で要領をつかんでいたのだけど、この塗り方を肌色に適用するとどうなるかが読めず、だからこそ試したいと思っていたので、PLAMAXの1/20ネイキッドエンジェルから1/20希崎ジェシカさんを手に入れた。
コントロールカラーというアイテムにおいて水色は透明感を与える色なので透明感が仕上がりに欲しかったということになる。実際に塗ってみてわかるのは「暗色」と「コントロールカラーの概念」を一緒に捉えてしまうと、後者の効果が強く出てしまうということで、透明感は生まれたものの、肌の血色は薄くなったが、よくよく考えれば(コントロールカラー下における)水色が打ち消す赤みは普段の塗装ですら私は抑えめにしてしまうので当然であった。
仕上がった写真をTwitterにあげたら「こういう塗り方」という言葉が出て、それが印象的だった。というのも、MAX塗りや、ヨ式塗装法のような名前がこの塗装には無いので同じことをしている仲間を探すことが難しいが、確かに「こういう塗り方」とは存在するし、だからこそ私はそうしたが「確かにこの塗り方は”こういう塗り方”としか言えないな」と印象に残ったのである。
計画を立てて塗っていく中で望外の気づきもあって、それは絵画でいう「影」と「陰」が存在することを知覚したことだった。例えばおでこ付近やほおの周りの髪の毛が重なっている部分は髪の毛が顔の遮蔽物となっているので「影」が生まれるわけだが、かたや胸の下半分は光が当たらないので「陰」になるといった具合で、この2つを正しく分類し、色を使い分けることで、より魅力的な塗装ができるのではないか。
このように考えて塗っていると塗装というのはロジカルな部分が多いような気がするが、その一方で「この色を使おう!」と塗装者が決める段階はフィーリィングに頼る部分もある。ちなみに、というか当然だけどフィーリングに頼る部分で失敗すると仕上がりは厳しいものになり、自分のセンスのなさに絶望するが、そこにも「配色のコツ」みたいな理論があるし、さらに言えば「指定色」や「シタデルカラーのような塗装システム」があったりするので思考をスルーすることもできる。
とはいうものの冒頭書いたような「今から水色が一番暗い色になります」という世界は感覚を掴むと相当面白く、これは是非とももう一度試してみたいと思う。仕上がった希崎ジェシカとメーカーの塗装見本の画像を送ってみたところ「エロくしようと思って塗っていない」だとか「似せようという意識がなさそう」と言われたが、このキットも他の女性フィギュア同様に男性がなんの意識もなく塗ろうとすると好みの顔になるようだ。
非常に魅力的な姿になったが、もう少し塗ってみるかも。
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