今は肌色の塗装に魅力や上達の喜びを感じているのだけど、それを最大限に味わおうとすると必然的に肌の面積が広いキットを塗ることになる。左手工房は割と肌色の面積が広いキットを多く出していて、私が左利きなのも手伝って前から気になっていたメーカーで、その中から私は深夜の蛾嬢というキットを買うことにした。
作るのはだいぶ先になるかなと思ったけど、箱を開けたら肌色のレジンがすごい綺麗だったのですぐに作りたくなり、成型色の大事さというのを改めて感じた。私はフィギュア塗装をする場合、色のコンビネーションをざっくり決めてそこから塗装をするのだけど色がまとまりすぎてしまうことに対して、自分のセンスのなさというか大人しくまとまってしまうことに嫌な気持ちを持っていた。
この日は全体的に明度高め・彩度低めで補色気味にコンビネーションを組んでいたのだけど、蛍光オレンジを肌色にスッと混ぜたときに何かが変わった。私が使用している塗料はファレホと呼ばれる水性塗料なのだけど蛍光色が数色ラインナップされてる、私は以前それを買って、狙った通りの成果が出なかったので眠らせていた。
ただ、肌の色に混ぜることで彩度と明度がガツンと上がってさらに色相も自動で動いてくれるようで私のまとまり過ぎた配色にうまくアクセント与えてくれた。めちゃくちゃな勢いでフィギュアを塗っているせいかコントロールがかなり効くようになったので、蛍光オレンジを混ぜることを覚えたらバチバチに色気が増してしまった。
左手工房のキット全般に言えることなのかもしれないけど、思わず塗りたくなる造形の良さがあるようで、実際私は自分の中ではまだ目を塗る段階では無いと思ってるタイミングで衝動的に目を塗ってしまった。なんとなく全体が綺麗にまとまりつある中で、青色のついた筆が自然と眼球に伸び、すっとまぶたの上側をなぞるようにラインを引いてそのまま目を描いていて、途中で「おお、俺目を塗っている!大丈夫か?」と思ったりしていた。
とはいうもののこういうときは大抵大丈夫なので「このまま、このまま……」と自然に任せるままに下書きのような目を塗り終えることができたが、初めての感覚でびっくりした。このときの衝動的なアイペイントが下地になって、とてもいい見た目になったので、とても面白い体験だったなと今も思うし、そうさせるキットの魅力にも好意を持っている。
フィギュア塗装の面白いところはじりじりと「自分の欲しい」を手繰り寄せることができることだと思っていて、色がつくたびに欲しいものの輪郭がはっきりしてきたり「もっと別のものが欲しいな」と当初の目的からずれていったりしながら、手元に欲しいものが出来上がるところだ。
顔なんかは本当に嗜好が出るようで、人によって仕上がりが全然違うしそれを真似しようとするよりも、願いをかけるように美人を頭のかから取り出す感じはちょっとクセになる。何を見てきたのかで全然違う仕上がりになりそうな感じがしていて、私の場合は若干、中村佑介風に仕上がった気がする。
それはともかく、全体の仕上がりが今回はセクシーすぎる気がするけど。
今日は完成写真を多めにあげます。以下どうぞ。
他のシリーズも塗ってみたいですね。
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