Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

暮らしの彩りがにじみ出るプラモデルに会いたい

 

昨日、海鮮丼を盛り付けた。イカとブリ。それに海藻とネギを乗せた。そのとき「どう配置すれば良いのだろう」とかなり悩んだ。

無計画にイカを置く。すると、米の白と同化してしまい、すぐに「これはマズイ」という感情が生まれた。感情の正体は「白と白で溶け合ってしまっている」というものだった。それは、プラモデルの塗装が起因しているということを一瞬で自覚した。

 

 

「つまり、この白×白の状態を打破した方が良いということだな」

 

そう頭の中で口にすると途端にブリは赤とピンクに、海藻は緑色になった。ブリをイカの横に置くと、思った通りに白と赤のコンビネーションが美しくなったし、米とイカの白の色味や質感の違いが明確になった。

 

海藻は、イカの隣に置いた。赤と緑が補色でトーンが近しいため、セパレーションというテクニックが必要だったからだ。間に白を置くことで達成されるその手法はイカによって形になった。最後にパラパラとまぶした万能ネギは、それぞれの色や質感を美しく引き立てるのに十分だった。

 

 

初めての盛り付けはこうしてうまくいった。盛り付けにおける、私のチートスキルは、プラモデルで覚えた塗装だったというわけだ。

 

プラモデルを作りながら、私自身でもすでに気づいていることがある。それは、異世界転生した主人公のように妙なスキルを身につけているということだ。ファッション全般とその中でも革靴での経験がそうで、塗装の仕上がりや奥行きの様子を観察する点において何らかの影響を与えていると思う。

 

反対に、盛り付けが上手い人は塗装が上手いかもしれない。メイクが上手い人は、写真が上手い人は……と見た目に関わる華やかな要素ばかりが先に浮かぶ。ただ、このように考えていると、調べ物が得意な人や、なにか数字を取り扱うことに長けた人たちは様々な客観的な知見を集めながら華やかな作品を作るのだと思う。

 

 

そういえば、このタミヤの1/35ドイツ歩兵(大戦中期)を教材に塗装を教えてくれた方に直接「完成品の世界観の原因は何か?」と訪ねたことがある。

 

彼はしばらくして「映画かな」と話していた。私は映画を見ることがほとんどないので、彼とは違う。そういう意味では私は彼と違って革靴が好きなので、それぞれの世界を作り出す要素は「何とも思わない日々の楽しみや暮らしを彩る何か」なのではないかと感じている。

 

そういったものがにじみ出るように作られるプラモデルがたくさん見られる世界を、私は今も、これからもずっと待っている。

 

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