Re:11colors

しばらく毎週月曜日更新(2022年7月現在)。革靴、模型、日常。

"そのアメリカ"を成り立たせるもの/AMT 1/25 1963 Chevy II Nova Station Wagon

 

私がCHEVY NOVA WAGONのプラモデルを買ったのはアメリカのミニカー「Hot Wheels」でその見た目に惚れたからだ。

子供のころは、車という文化に触れることはほぼなく、セダンやクーペをメーカー名だと思っていたし、VOLVOBMWフォルクスワーゲンはいまだに混同する。30歳を超えて最初に特定の車を認識したのは、以前勤めていた会社のそばにあるスーパーに毎朝停車していた生花を納品するスズキのジムニーだった。

 

もし、子供のころにHot WheelsのCHEVY NOVA WAGONを手に入れたら、きっと、今のように形に惚れこんだに違いない。そして父親に言うだろう「もっと大きいサイズのものが欲しい」。

 

 

それを聞いた父親は、私がめったにものをねだることをしないので真剣に考えるはずだ。そして、一計を案じる。「プラモデルを買い与えてみたらどうだろうか」と。こうして、パラレルワールドの私の手元にはプラモデルがやってくる。

 

現実の私はというと、4歳の頃に肺炎で入院し、そのとき同室だった年上の男の子がプラモデルを作っているのを遠くからながめていたそうだ。それを見て父親が私にプラモデルを買い与えることで「今の世界線の私」はプラモデルとの出会いを果たす。

 

 

どちらにしても出会ってしまい、手元に存在することになっている1/25のCHEVY NOVA WAGON ステーションワゴン1963 は、箱の厚さや深さに舶来の雰囲気を感じる。中身を開けてみれば、これまた厚みだとか密度を感じるゴロっとしたプラスチックだ。それでいて、繊細なディテールが同居する。


「果たしてこれは、大雑把そうな印象を受ける質感と繊細なディテールという対立項が両立していると考えていいのだろうか」

 

そんなことを考えていたが、実際のところはビンテージクロージングの世界でも明らかなように、アメリカで作られるものは意外にも「大雑把さと繊細さの両立」を平然とやってのけるのではという気がしてきた。

 

 

ワークウェアのタフさの象徴である、リベット打ちや、トリプルステッチなども丁寧な仕事がなければ強度そのものを確保できない。ホワイツブーツに見られる”ホワイツ式ステッチダウン”と呼ばれる、ブーツのウェルトを二周走る特徴的な仕上がりも同様だ。

 

どちらの分野も物理的な厚みがあり、重い素材が使われる。そういうわかりやすい強さがある。なんならそれらを縫い合わせる糸ですら太いのではないかとすら思う。こうして考えてみると、タフさとは「大雑把に強そうな素材」と「繊細な仕事」が掛け合わされて成果物に現れている。つまり「素材と仕事」と分けた場合に「大雑把さと繊細さ」は対立しない。

 

そういった意味ではこの、1/25のCHEVY NOVA WAGON ステーションワゴン1963というプラモデルが放つ「なんか分厚そうなプラスチック」と「なんか繊細なディテール」は、アメリカのものづくりを端的に表しているような気がする。時間のあるときに、作ろうかなと思います。