タミヤのミリタリーミニチュアを始めとした軍モノのプラモデルはそれはもう、滅茶苦茶な量のラインナップで、それは、例えば少し興味を持って調べるとアレもいいコレも良い。戦車として名作、あの映画に出た、新規の金型がどうのこうの、いやこれは古いながらも良いものだ。などとにかく情報量が多い上に様々なものを多様な視点でオススメされ、現実の歴史とプラモデルの歴史の交差点に突っ込んでくる、それを作り上げたモデラーの熱意を食らってしまう。
そんな中に自転車がラインナップされている。
これは乗り物としては最も身近なものだろう。初めて自分の思う通りに乗るもので、加えて言えばそのための練習期間があるので、努力が実を結び、それが自身の行動範囲を広めるという「役に立つ努力」だったと肌で感じるための乗り物。
それが、俺の知らない(実物と違う)、パーツ分割で収まっていて、それを作ると自転車の形を成す。
ここで改めてプラモデルは実物をよく観察して、作りやすい形にそれぞれを分割しているということを感じる。また、左右のペダルの位置関係とか、ハンドルの水平垂直だとか「自転車を自転車らしくする」ための記憶と細部まで気持ちが行き届くかを試されるわけだけど、ここで自転車の資料なんて見たりしないで「自転車ってこうだよな」って自分が乗っているときのことを思い出すほうが絶対楽しい。
そしてこのキットが予想以上の存在であることに気づくのはこのあとだ。
自転車は、スタンドがなければ自立しない。なので人形を組み立てることになるのだけど、この姿勢が俺たちがそうしていたようなポーズで驚く。片手でハンドルを持ち自転車を支えるこのポーズ。この姿勢を、誰もが一度はとったことがあるだろう。
俺はこのキットはある意味でスケールキットの最小単位であると感じているがそこから読み取れるものは思っていたより多かった。
乗り物と人の組み合わせは、その乗り物が使用中であることを示す組み合わせであることや自転車は他のどの乗り物よりも人との結び付きが強く、ルックスもそうだが、組み立て工程においても互いが主役である。
初めてどのプラモデルを作ろうか悩む。
ということは多く、自分も最初はそうであり、調べてみると「〇〇は組む価値がある!」「〇〇は初めてでもおすすめ」といろいろなものを見てきたが、とりあえず買ってきて、自転車と人について自分の体験を思い出しながら組み立てるとメッチャ楽しいので俺はとりあえずこれ作ってみれば?と悩んでいる人で、何を作れば良いのかわからんという人の背中を押したい。出来上がると、模型売場でも、Amazonでも「一度何かを完成させたという事実」は見える景色がまるで変わるし、通勤時の自転車を見て
「あー自転車ってこうなってるよな。でもプラモの自転車はこういう風に分かれてたな。それで自転車になるのすごいな」
なんて、思うしそれを乗る人を見る目がまるっきり変わるから。
あまりミリタリー感を出しなくなければリュックとかはつけずに、頭部はベレー帽を選択すると良いです。
タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.333 イギリス陸軍 空挺兵自転車セット プラモデル 35333
- 出版社/メーカー: タミヤ(TAMIYA)
- 発売日: 2013/11/16
- メディア: おもちゃ&ホビー
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