模型にはドラマがあって複葉機は思った以上にドラマチックだ。
あの古臭い見た目を単にレトロだとか、渋いとか可愛いとかいうのは簡単だし、私もそう思うがどうやらそれだけではないらしい。これは飛行機模型が持っている「なんで飛ぶのかはさっぱりわからん」という要素と関係がある気がする。車を作れば走る仕組みがわかり、戦車の砲塔を作ればそれはそれで何かがわかる。そして、それが模型の楽しみとされたりすることがあるにはあるが、飛行機は少し事情が違うように感じている。エンジンに翼がついてプロペラが回って飛ぶ。せいぜいそんなもので、ジェット機になるともうわからない。翼は翼でそれ以上にはならないというイメージがある(もちろん、調べればそうではないのだろうが)。
試しに複葉機を1つ。と思ってエデュアルドのファルツを買って作っているが、複葉機はジェット機と比較すると少しわかることが多い。というか、わからせる作業が2つある。それは翼を2枚重ねるところと、張り線だ。前者はいざやってみると「ここが一番難しいのでは!?」という様相を見せるので今日はそこを書きたい。
この作業、無理にやろうとすると今までの作業が無駄になる可能性を感じさせる。きっと、支柱をどういう風に組み付けていくのかの回答はメーカーもユーザーも知恵を絞る場面なのだろう。一筋縄ではいかない雰囲気で、一度流れで試してみたが、見込みが甘かったので、ここで作業が止まっている。
ここで役に立つのはきっと今までの組み立ての知恵で、それはおそらく模型に限ったことではない。家具とか、そういうものを組み立てる経験や、仕事でなにか仕組みを作る経験とか。そういうこと。もしかすると模型の組み立て体験だけでは上手くいかないかもしれないとも思う。
説明書の通りというより、その奥のそれぞれがどの順番につくと効率がいいのかを考える必要がある。正解不正解がどのようにあるのかは私はわからないが、ただ1つ言えるのはここは今までの模型と少し、違う準備が必要なこと。しかもその準備はおそらく、キットにも自分にも嘘のない手順であることが大事な気がする。
もっと抽象度を上げたような話をすると「説明書」と「パーツの意味」をよく見る必要がある。どこを最初につければ良いのかをしっかり考えるとうまくいく可能性が上がりそうだ。その「考え方=生まれる選択肢と、それを選ぶこと」に今までの組み立て経験や、それ以外の何かが十分に作用する。
そんな事を考えていると少し、飛行機を作っている気分になる。
この順番で取り付けたら……と頭でシュミレートするときに浮かぶ映像は手が動かしているわけではなく、クレーンのようなもので吊るしたり、声をかけたりしているもので、その様子に「はっ」と驚いて機体を固定する必要があると気づく。そうして、現実と想像の往復をしているとどうにも手の動きというよりは、先程あげた実機を組み立てているような絵ばかりが強くなる。
それを、無理やり模型製作の動きに変換して、実行可能かどうかを考える。
そんなことをやっていたらもう一週間が経って、週末が近づいてきた。
普段は課題意識を持って模型に取り組むということと真反対の人間なのだが、今は「WnWが家にあるが上手く作れそうにない」という状況を精一杯楽しもうというわけで、わざと本を買ったり、回り道で別の飛行機を作って様子を見たりというやり方をしている。
そうしている自分を省みるとWnWが部屋にあるだけで、自然といつもとは違う向上心が生まれ、そこには試行錯誤の山がそびえ立ち、結果的に模型が上手くなると言える。
↓模型はもれなく組み立ててブログにのります。
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