世の中には様々な模型がありますが、それでも未だに形になっていないもののほうが多く、それは今後も変わらないような気がしています。
その中でもトラクターは形になっていないもの寄りの形になっているもの。要するに「キットはあるが数は少ない」という状態です。
もちろん、トラクターにも歴史があって様々なデザインのものがあって……となるわけですがその中でもドンピシャにこれだ!と思うものは先日のキーホルダーのコレ。
時代的にいつなんでしょうね。わからないですが、最近のものとの大きな違いは居住性といえば良いのでしょうか。屋根があってドアがあって室内で運転をするかどうか。あとは「より車に寄っていく」というか。ミラーとかそういうものがついて……とかがきっと発展の歴史としては存在するのでしょう。
数少ないトラクターというジャンルの中でも「説明書は少し間違っているが誠実で良い」とおすすめされたのがエレールのファーガソン。奥さんいわく「プチグリ」と書いてあるので「カタツムリとかそういう意味」ということらしいです。このプチグリが誠実かどうかは、作っていくとよく分かります。
先程最近のものは居住性が云々と書きましたが、戦車とか車とか、何にしたって車輪が四個以上ついているものは大抵、箱の中に人が入るスペースと機械が入るスペースがある。あるいは板が車輪の上に乗っているというか。ここでいうトラクターはそうではなかった。むき出しの甲冑のようなものがエンジンを申し訳程度にカバーしていたり、それ以外のペダルだとかレバーだとかはバッチリむき出し。弾も飛んでこないし、空気の流れとかも考えなくて良いからそうなるんですかね。エンジンとかバリバリ見えている方が熱も程よく放出されるとか。
そういうむき出しのパーツたちは「見えないから」という布を被ることができないので、とにかく細かく、メカニカルな雰囲気を怪しいバランス感で積み重ねていきます。なんのレバーかはわからないけど「ある」とかそういうものが極小のパーツで再現されています。これが細かくて細かくて色なんか塗るんじゃなかったと思いながら作るんだけど、作っていて
「あー、よくやるなぁ。ここまで」
なんて思ったりするんですよね。なんていうか、嘘がない感じというか。
彼らは彼らの作法でこのプチグリを模型として完成させたのだけどその細かな分割って、設計した人間のアイデアと金型の技術的な何かと、あとは資金力だとかそういうものが積み重なってるんだろうなと思うんですよね。「一体成型でズドン」とやらずにとにかく積み重ねていく感じ。パーツは細かいけど「よくやるわ」って思わせるところとか。これは完全に、靴でいうとJ.M.WESTONですね。
J.M.WESTONって調べると「痛い」とか「万力締め」とか、革靴を履く上で障害となるものが何故か、通過儀礼として捉えられていてそれが面白い靴なんですけど(僕は180のローファーは足との相性がめちゃくちゃ悪かったから最初は頭痛がした)、それでもずーっと変わらないし、できることを積み重ねているんですけど、そういう感じがする。
エレールのこのプチグリことTE-20は細かなパーツで積み重ねはずっとするんだけど予想通りにカバーはキレイにハマらないし、タイヤなんかもデカイし重いしで普通にくっつけるだけだと重さに負けて歪んだりするしっていうもう何が何だかなことが続くんですけど、それでもこっちが木の板を使って水平垂直をとったりするとしっかりと出来上がるんですよね。
それって、向こうが誠実で、こっちもそれに答えてやろうっていう一つの会話みたいで面白いんですよね。なんかこう、形にさせたくなるというか。痛くても馴染むまで履くみたいな。
「エレールってフランスのプラモデルを作る」
って数人に話をしたら
「うわー合わなそう。適当そう」
って言われたんだけど、J.M.WESTONとか、あとはなんですかねエッフェル塔とか出しておきますか。そういう物作りの観点から見ると案外そうでもないなと思っていたら、キットは誠実だけど説明書はまじで間違ってるところがあったりしてそこはそこで適当だなという感じで面白かったりもします。
色は本来はグレーですけど、タミヤのロードスターNDと揃えてみました。色に関してはまた書こうと思います。
俺のほしいものリストのプラモ。送られてきたら組み上げてブログ書きます。