俺は車に乗るならオープンカーだとずっと思ってる。
車種はなんだろう。免許ないし、方向音痴だし、乗らないからな……なんてこの話は幕を閉じない。
俺の人生の書である「帯をギュッとね!」と「モンキーターン」。そして「とめはね!」の作者である河合克敏氏が描いたケータハムスーパーセブンという車が最高に好きだ。
これは河合克敏氏が漫画に描いてくれたから知ることができた車であるし、しかも出てくる場面が、主人公のライバル、洞口雄大が「父さんがコレしか貸してくれなかった」と青島優子とデートをするときに乗ってくるというものである。
このときのエピソードは今も好きだ。
青島優子がこの車を二人乗りで無駄がなくて競艇用のボートみたいだという話とか、この車で洞口父は奥さんとデートしたかったに違いないとかそういう話をする。そのデートのあとに本作の山場の一つ「スーパーキャビテーションペラ」の秘密を優子に話すところとか、その後、勝利に固執し続けて、多くのものを失う洞口の姿も好きだ。
だから、俺はなんというかこの「ケータハムスーパーセブン」という車だけは中学校の頃からずっと好きだ。かっこいいし、そのかっこよさを河合克敏さんに漫画を通じて教えてもらったから(書いていて涙が出てきたのはなぜだろう)。
ただ、こういうときに俺が「俺らしいな」って思うことがあって、それは「河合克敏のケータハムスーパーセブンと俺のケータハムスーパーセブンは違う」って思ってしまうこと。俺は俺のそういう物を見つけないと、河合克敏が漫画にわざわざ登場させるような、同等の気持ちになれないと思ってしまう。そんな風に思っていたのだが、コレである。
1/24 マツダ ロードスター発売記念 スペシャルトークショー
この動画を見ているとマツダロードスターがどのように作られているのかがよく分かる。無駄のないデザインをホワイトボードに描いて示す、中山氏。クレイモデリストとしてのせめぎあいを語る淺野氏。そして、これは「こだわっている」と少し触れられるだけであったが実は鍵な気がするLEDのフロントライト。「デザインを実現させる技術」をこれほどまでに直感的にわからせるものはないだろう。その前の絵で可動式のフロントライトに触れているが、この機構だってLEDがあれば話は違っていたのではなかろうか。
さて、こんな感じで車のことをよく知らずにロードスターのデザインについての話を聞き、自分で考えを巡らせると
「あ、これが俺にとってのケータハムスーパーセブンだ」
と納得します。そして、そのまま作る。
ボディの色はタミヤのブルーで筆塗り。プレミアムトップコートの光沢仕上げ。
シャーシなどの黒の部分はシタデルカラーの黒で塗った。凹凸に富んだ面はシタデルカラーが入っていく感じやムラの表情がキレイだった。
この車は、なんとも言えない、なんですかね。なんだろう。
難しいんだけど、少しグラフィカルに作るというか、少しおしゃれに作ろうと思っても良いような気がします。その辺をなんて言ったら良いのかわからないんですけど、例えばボディとホイールの色を同じにしてしまうだとか、幌の色をぶっ飛んだ色にしちゃうとか。何故かそういうのがとても良い。
俺にとってのロードスターは多分、河合克敏が作中で「お父さん、お母さんとデートしたかったんだと思う」だとか「だって、二人乗りだもん」とかそういう話をわざわざ描いたのを読んだという気持ちが凄い乗っかってしまってるんだと思う。
二人で楽しく乗る車。そこには渋滞もないし、排気ガスの匂いもない。
「気持ちいいねー」
「え??聞こえない」
「気!持!ち!い!い!ね!」
「ああー良いでしょこの幌のオレンジ。ニクラウストロクスラーのポスターからイメージをー」
ボディが白い分、大変だけど、それを超える「俺のカッコいい」が全力で乗ります。
夢の世界をドライブしましょう。
大きさもナイスです。
とても良い作例もあって「なんとかなりそうだな」と背中を押してくれるのはありがたい。
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