Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

SWEETの1/144スケールの飛行機を褒め倒す

SWEETの1/144スケールの飛行機についてしっかり書いておくと、昨年の私みたいな「プラモ作ってみたいな」って人が少しでもキットを手に取ってくれるだろうと思ったので書くことにしました。

 

まず、ほとんどのキットは2つ入りです(甲板セットなどの特殊なものや袋で吊るしで売ってるものとか例外もあります)。私が作ったハリケーンに関しては透明のものとそうでないもののセットでしたが、同一色で2セット+キャノピー(コックピットを覆う透明のやつ)が2つ分というパターンもあるみたい。

 

パーツに関してはサイズの特性上小さくなるものもありますのでうっかり切り飛ばさないようにしましょう。小さい皿の上とかで切ると紛失しにくいですね。

 

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このキットのもっとも優れている点の一つは、前の記事にも書いてますが、切った跡(ゲート跡)が目立ちにくいところにある点です。組み立てれば隠れてしまうところや出来上がると目に入りにくい部分(機体の下側など)に配置してあって、飾っている限りは目立たなくなります。

少し込み入った話になりますが、タイヤなどはパーツの差し込み穴が四角くなっていますのでしっかりと固定することができます。小さいパーツだからこそ、固定する力を高めて不意に脱落しないようになっているのでしょう。

 

ゲート跡に関しては製品段階でアンダーゲートなどの手法で目立たなくすることができますが、普通は(?)そうでない形でついているので「パーツを切る作業」に慣れるには十分。というかちょっとした工夫で典型的な手法を用いながらも目立たなくしているところに技を感じますね(小さキットだからできるというのもあると思いますが)。

 

 

また、説明書も優れています。かんたんスリーステップとはよく言ったものですが、これはその伝統的で美しいものの一つだと思います。

 

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3つの枠の中にそれぞれの工程が書かれていますが、それぞれ良いカテゴライズをされています。

 

1.メインの部分を組み立てましょう

2.それを組み合わせて、さらに飛行機らしくなるパーツを付けましょう

3.飛行機が本当に飛行機になるために必要なパーツを付けましょう

 

そんな具合です。工程ごとに求められる作業の精密さが後に向かうにつれて上がっている点も見逃せません。

そして、組立作業中の注意に関しての表示には思わぬ技と誠実さが存在します。

もう一度同じ画像を上げてみましょう

 

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まず、女の子。彼女に絶対に目が行くレイアウトになっています。位置や大きさもそうですが、イラストの女の子がはっきりとコチラを見ているせいもあります。そして、その下に組み立てに関する大事な記述がなされています。「絶対にやってもらいたくないこと」とでも言いましょうか。内容は注意な上に、解決策を書いていますのでコレはアドバイスですね。「接着しません!」だけではないことは素晴らしいです。

 

また、右側の猫。これもまた、いい仕事をしています。「アイキャッチ」なんて言葉は最近広く使われますが、まさに女の子と一緒でアイキャッチになっているんですね。凄いです。この猫にも目が行きます。しかも接着剤を使う上で根源的なことをサラッと書いて読ませます。手書きだからか、猫が話しているみたいで、かしこまりすぎないのが良いですね。「あ、そういうことかー」って深刻に受け止めすぎない感じ。猫が指を指しているのも良いことです。この手のテクニック、全部雑誌やチラシのレイアウトの手法がそのまま入っているんですけど、それが入っているってすごくないですか。凄いと思うなぁ。

 

更に凄いのはコレ。説明書をスキャンしてアップするわけにも行かない気がするから、理解してもらうのが難しいと思うのですが「ワンポイントアドバイス」は文字通り一箇所しか無いんですよね。これが素晴らしい。ワンポイントアドバイス2とかやらないし、ごまかしで「テクニック1・2・3……」とかもやらない。本当に大事なことを一つ、ワンポイントアドバイスとすることの凄さで。しかも必要な場面にポップアップするかのごとく書いてある。枠組みの左上。ゴールデンゾーン。

 

同じようなことが「注意!」と書かれた囲みにも言えます。

この説明書よく見ると

 

「折れやすいので注意してください」

「折らないように注意してください」

「向きに注意してください」

 

と注意という言葉が結構出てきます。

ただ、枠で囲まれた注意はこのキットの特性の「クリアパーツの方を使う」という、記述を含んだ注意なんですよね。

これを読んでもらわないと致命的なミスが発生します。少し注意の階層が違うんですよね。単に「あれもこれも注意だから」って「!」みたいなアイコンで済まさないところに思考の深さが伺えます。思わずやばいっすねと言いたくなる。

 

場所は、読んでもらえるようにと枠組みの中の終わりの右隅。Z字に動く人の目の終わりにいます。

 

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そして、デカールの貼り方の説明書きが別紙なのも地味に効いてる。

組み立てとデカール貼りって少し作業の向きが違いますからね。家を建てるのと壁を塗るのみたいな。

 

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最後はパッケージです。

箱はイラストが全面を覆っていますが、説明がいい感じに入っていますね。

喋ってたり囲まれてたり、星マークが頭についていたり。

裏返すと塗装に関する話(好きな色に塗って良いんだよ、と言ってくれる優しさよ)、接着剤の取り扱いの注意。そして作るために必要な道具が書かれています。

 

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なんとなく買ってみたらピンバイスで穴をあける必要があったから進められない。ということは無いのです。

ありがたいな。

 

随分と長くなりましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

 

重厚な雰囲気のイラストや写真で書かれたパッケージと違い、随分と可愛らしく、異彩を放っていますが、このキットは思った以上に本格です。細かなディテールの再現もそうですが、それよりも「模型を作ってもらうには」ということに関してそう感じます。

 

しっかりと固められた基礎の上に立つ、お手軽キットは「ポップなイラストを書く人が実は写実的な絵がめちゃくちゃうまかった」みたいな雰囲気が溢れていますので、味わってみてはいかがでしょうか。

 

蛇足になりますが、2個あるので最悪一個失敗しても……とか、二人で一個ずつ作っても……なんて話にもなりますので2個ある楽しみも見逃せないですね。

 

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私はクリアのものと普通のものを混ぜて作りました。

 

様々な方の、お役に立てれば嬉しいです。

 

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