Re:11colors

毎週水曜更新(2021年9月現在)。革靴、模型、日常。

1974年の風 タミヤ 1/35 SASジープ

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SASジープを作った。

このキットは名作に間違いないのだけども名作たる所以を書いてる記事をあまり見ないので少しさみしい。

文学かと思わず言ってしまいそうな解説にはそもそもの車の役割から細かな道具がどういう役割を果たしているかをわかりやすく、そしてかっこよく説明してくれている。これは作る前に読んでも良いし、後に読んでも良い。私は後に読んでその説明に感動した。なんだかわからないものがわかったからだ。

 

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説明書には荷物は自由に積んで自分だけのSASジープを作っても良いと書いてある。理由は「同じものは二つとないと言っても良いくらいに各々が装備をチョイスしていた」から。よし、自由に作る権利を手に入れた。このキットの一文は、だだっ広い海をプールにしてくれる程度に俺たちに楽しい自由を与えてくれる。優しい。

 

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乗っている隊員は異色といっても差し支えないアラブ系の頭巾をかぶっている。顔は渋く、カッコいい。この姿形のオンリーワンさについ目がいくが、見所は風にはためく頭巾だろう。風にはためいているのだ。今までたくさんミリタリーミニチュアを作ったが風を感じさせる男は誰一人いなかった。格好良さはあれど、それは精悍なポーズをしているとかそういうもので、人そのものの良さであった。

 

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風にはためく布が示すのはこの車は風が吹くところにいるということで、それ以外の身なりから自ずと熱風吹き荒れる砂漠の暑さが脳内で増幅され再生される。そのせいでこの二人の肌は汗でベタついてるだろうなとかそういうことを考えだすと、余計にジェリカンを積み、水筒をそばに置き、カバンなども、もれなく置いてやりたくなる。

 また、私が感心したのは椅子だ。座面はシャーシと一体成型されているので背もたれを差し込むだけで完成する。正直大体の模型はこれで良い気がする。

 

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このキットの見所はキレのあるディテールではなく総合的な強さだろう。風にはためく頭巾、背もたれを差すだけの椅子、自由に積むことがリアルだと教えてくれる説明書。ロマンあふれる解説。

 地元の洋食屋かなんかでトンカツ食べたときの、決してトレンドではないが決まった手順を確認守り続けてるから美味いみたいな、だからこそ、となりのチェーン店に負けない。そんなキット。写ルンですとか、Gショックとかジーンズとかの、1974年生まれのロングライフなやつ。

 

そして私のように、車をテーブルに置いてジェリカンなどを延々と貼り付けていると、出来上がって手に取ったときにこう思うだろう。

 

「重い」

 

こんなに密度のある模型を俺は他に知らない。

 

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