Re:11colors

毎週木曜日更新(2023年5月現在)。模型、日常。面白いことあれば他の日も

光を覆う- TAMIYA 1/35 フンクワーゲン-

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好きな形のものを一通り作って、それで「じゃ、次どれを作ろうか」と思って目に入るのはこういう不思議な形の模型。

 

kfz.223(フンクワーゲン)は、偵察車両の一つ。この手のものはどうしてこんなに不思議な形をしているのかがずっと気になっているのと、それをキット化させたら一番なのはタミヤなのでは?と思ったりする。

とにかく不思議な形がパキパキと小気味よく組み立てられていく。

それが楽しい。今にしてみれば妙なデザインで現実味が全然ないのだけど、それが存在していたということが面白い。また、自分がとても考えられるような形ではないので、それがまた創造的。誰かの頭の中のものが、この塊なのかと思うと「すげーなー」とその人に感心する。

 

この頃から(というのがいつかはわからないが、まだまだ現在の基準の設計をする前からということです)、タミヤは奇妙な立体を上手く分割するし、タミヤイリュージョン的なパッと形になるというアイデアは存在しているのがよく分かる。

 

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流石に、できることやできたことは今とは比べ物にならないので水平垂直の精度は作る側が出さなければいけない部分はあるのだけど、一度パッと全体を見渡す行程を挟む良い経験にもなる。集中して貼る、手で持って少し話してクルクル。集中して貼る……という作業の繰り返し。全体と部分がどう関わるのかは結局いつの時代のものでも何を作るにしても同じような気がする。

 

 

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今回作っていてガツンとやられたのはライトにヘルメットを被せるところ。

これは「ライトから光が漏れないように」って話なのだろうけど、このリアルさっていうのが俺の知る模型のリアルさの中でも特に際立って面白かった。

生活感みたいなのがとても良く出ていると思う。塗ったり、汚したり、削ったり、荷物を積んだり、ディテールがシャープだったりってそういうマシンとしてのリアルさを突き詰める方向は楽しいし、最近のキットなんかはそういうのがめっちゃ面白いんだけども、それに比べるとライトにカパッとヘルメットを被せる感じってとても楽しい。

 

これは設計した人間がひたすらに技術を突き詰めるというよりは演出としてそれを採用したという話だから。

 

 

椅子の背もたれに上着を引っ掛けちゃう感じって言えば良いのかな。

こういうのは、人が何かをした証みたいで面白い。

たったそれだけが何よりもリアルでかっこいいし、それだけでこのキットを作ってよかったと思える。

 

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自信の塊 TAMIYA(Italeri)1/72 グリペン

タミヤの1/72(中身はイタレリ)のグリペンの模型を作った。

スウェーデン機は軍服がそうであるように独特なものが多く見受けられ、グリペンはその中の一つ。グリフォンを意味するその単語のとおりに片側二枚の翼がキレのある造形を生み出している。

 

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大きさは小さめ。

個人的に最高のジェット機はこれだろうと思い、いつか作ろうと思っていて、実は一回うまく作れなかった。そのいつかから少したった先日、久しぶりに作ってみると、なんと簡単にできあがることか。そして組み上がる形は最高のジェット機。サイズ、全体的エッジの利いた造形、重心も後ろ過ぎず、前過ぎず、全てがかっこ良い。作っていて、どこがうまく行かなかったのかをあまり思い出せなかった。

 

ただ、自分が今まで作った飛行機のキットの経験はとても良く思い出せた。合わないパーツはアロマホビーのハリケーンを作っているときに、しならせるように貼るあの感じ(あれはパーツの歪みというよりは中に入れたパーツが原因だったので狙っているのでは?と未だに思うが)。小さなパーツはタミヤの良いピンセットでピタッと合わせて数秒数えて止める。今となっては当たり前のことが当時はできなかったんだろうなと、裏返すように判明していく。

 

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F1を作ったときに知ったどこを決めると、かっこよく見えるのか。

そういうことがわかって作っていると、カチッカチッと形が決まってきて、それが自分の自信の重なりだって言うことに気づく。自信という最高の模型道具。「俺、今模型をうまく作れている」と。

 

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自信は、今まで作ってきた模型の積み重ねだ。作っていて「なぜ俺は今、自信に溢れているのだろうか」と思っていたけど、それはタミヤのミリタリーミニチュアやSWEETの1/144の飛行機のような丁寧さに形作られてられていたことがわかる。タミヤには十分な接着しろやパーツ精度、完璧に近い段取りがある。SWEETはああいった小さなものでありながらも丁寧さに溢れた素晴らしさ。

そういうものが、作っているときにそれが事実として存在することは私もブログに書いてきたけども、こうしてイタレリのグリペンを作っているとそれが自分の身になっていることがわかる。「タミヤのようなガイドはないけど、こう付けよう」「スイートの丁寧さを作る俺が再現する」というように、自分が一番気に入ったジェット機の模型を、最高のモチベーションで作ることができた。

 

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ボディは銀に塗ったら良いかなと思ったけど風呂に入りながら考えていたら、複雑な形状の雰囲気を損ないたくないなと断念した。じゃあ、脚を塗れば良いのでは?と思ったらズバリハマった。タイヤを黒く塗って、脚を銀に塗ると、成型色のグレーはジェット機においては都合のいい風合いの素材に変わる。

 

成型色を残して一色を塗るということは二色になることで、二色を塗るということは3色になるということ。クリアパーツがあるのなら、4色。それぞれが、異なる質感を帯びているなら、それはもう、その造形に惚れこんでさえいれば豊かなミニチュアになる。

 

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力強さが引き立つ LRDG コマンドカー

「こんなデッカいトラックを人が動かしているのか」

帰り道の狭い癖にトラックがバンバン走る道路で急にそんなことを思った。その後部屋にあるLRDGコマンドカーのことを考えたらやはり似たような気持ちになった。

 

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昔はデザートシボレーと呼ばれていたキット名も今はマスターボックスのフィギュア付きでこんな名前。車のことは最近少しわかってきたので、このトラックが乗用車をどのようにぶった切ってそうなったのかが分かるようになった。今思えばキットを見る目は随分と変わったような気がする。模型は色んな見方ができる。靴でも時計でもそうだけども。国やデザイン、用途、色などこうして書くと当たり前のものからそのときの気分でピックアップする。今は「働いている様子」や「模型の持つ総合力」みたいなのがテーマだ。その点デザートシボレーは荷物を大量に運ぶ大きさで、それを人が動かしているというのがよくわかり、楽しい(果たしてどこまで大きくなると「デカイ」と思うのか。私はこれか、もう少し大きいくらいが両目でギュッと見られるので好きだが)。

 

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また、ボディの手の加えられ方もそうだがドアがキャンバスだったりフロントガラスもキャンバスで覆われてたりと布の表現が随所に入るのが面白い。作るときに「ドアがキャンバスだ!」と説明書を見て驚いたけど、その布のシワやもちゃっとした塊感がパキパキとキレの良い車との対比になっているのが、一層愛らしく目に映る。何号の帆布だろうか。硬いのか、ヨレヨレなのか。

 

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また荷物があるのも素晴らしい。荷物は人と同じくらいにその模型の大きさをよく表してくれるなと感心した。SASジープのように四畳半に好きなものを詰め込んだ様子もいいが、それと似たような荷物をどんなに積んでもまだ空いている。そこにこの荷台の大きさを感じるし、それだけ物を運ぶトラックを人が動かしているという当たり前の事実にも感心する。ジェリカンは私の中では灯油を入れる赤いポリの容器のイメージなのだけども、それをこんだけ積んでもまだ余裕があるのかという態度は日常と模型を結びつけるにはかなり手軽で楽しいもののように感じたりもする。あの重い灯油タンクを、こんなに。もしあるのなら仰向けに寝た人物を一体、荷台に置くのも面白い。

 

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そして忘れてならないのはマスターボックスのフィギュアだろう。他所のキットにこうもマッチするポージングなのは素晴らしいの一言で、そこにはマスターボックスの凄さもそうだが、これをチョイスしたタミヤの凄さもあり「誰かがセレクトしたキット、模型のセレクトショップ」の可能性をひしひしと感じさせる。きっと私は今後はマスターボックスのフィギュアについては常に検索候補の一つにして、ときにはそれを買って組み合わせて楽しむことだろう。そして「やっぱりあのLRDGコマンドカーとの組み合わせには勝てないな」と思ったりするのだ。

 

※もとから付いている説明書の通りに作ると、タミヤ製のドライバーを乗せることになるのでそこはスルーでOKです。私は銃器もスルーしてキャンプでも行くかみたいな様子にしました。

 

 

 

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