Re:11colors

だいたい木曜更新です。革靴、洋服、プラモデルなどものに触れて感じたことを書きます。文学フリマ東京に大体います。 お仕事お問い合わせは 4mens.shoes@gmail.com よろしくおねがいします。

張り線を楽しみたい

エデュアルドのファルツを作ったときに張り線という作業そのものが楽しかったので、それだけを楽しみながら良いものが作れるのかという話をします。

 

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張り線は、模型の作業の中では「組み立て」の延長線上にあると思います。作業内容は切って貼るだけなのでつくづくそう感じます。塗装やデカール貼り、トップコート、研ぎ出し、ウェザリング……どれとも違うし、上げれば上げるほど組み立てに以下に近いかがわかる。組み立ては模型の作業の基本だと思いますが、その延長線上の作業の割にどこか特別な雰囲気が模型に漂うので作業に対して得られる結果は思いのほか大きいです。

 

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色も塗らずに組み立てた後に張り線をするというのは実際にはもったいない気がするものの、一度作業をしてしまうとそうでもないような気がします。先ほど言った通りで作業自体は組み立てと変わらないから。

 

また、そうした作例をいくら探しても見つからなかったのでやってみることにしました。誰もやってそうにないことをやるのは楽しくて、ドキドキしますね。

 

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仕上がりはとても興味深いと思います。これは模型のまだ、そこまで明らかにされていない部分が浮き彫りになったから。

 

それは最初に挙げた模型を作る中で起こる作業の話。

それぞれの作業は実は求められる能力がバラバラです。塗装と組み立ては全く作業が違うといってもよい。それでいて人形とマシンでは塗りのロジックが異なったりするので大変です。模型は実はそんな風に「模型作り」といってもいろいろなことを行いながら進んでいきます。

普通に、組み立て→塗装→仕上げと工程がスライドしていきますが、よくよく考えるとそれらは全然違うことをしています。

張り線は作業工程上は仕上げに該当しますが、手の動き、使う道具の観点からの作業分類的には組み立てに当たるのでそこに不思議の種があります。

 

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つまり「張り線がなされる飛行機は塗装済みである」というなんとなくの常識が壊されるわけですね。だから、なんか妙に面白い塊になっています。ファインモールドの1/72というサイズ感と選ばれたモチーフ、メタルパーツと多くの要素に助けられながら。

 

成形色がグレーでない飛行機が欲しいと言いながらも無難に黒のテグスを買っているあたりに自分も随分染まったものだと思っていますが、黄色の成形色に青いテグスとか、最高だと思ってます。

Get Downを探せ

私は銭湯で週刊少年漫画を読む。

ジャンプはもう読んでないのでサンデーとマガジン、チャンピオンの3誌。

読む順番は面白い順。今は、マガジンを読んで風呂に入ってチャンピオンを読んで、サンデーを読む。一気に全部読むのかよ、と思った方。そうです。今は、と書いているのは時期によって違うから。例えば少し前はサンデーを先に読んでたりしてた。

 

そして、どれもすべての連載に目を通すかというと違う。

流石に歳をとったせいか、新連載でも好みでないものはバシバシ読み飛ばすようになったので年々読む漫画の数は減っているかと思いきや、増えたり減ったりしている。それが先の読む順番と関係しているということになる。

 

純粋に面白い順に、退屈なものは飛ばして。

という取捨選択は様々なところで見られるが、それを模型に適用すると、こうなる。

 

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私はタミヤのR35の見どころはここだと思っていた。

小さな砲塔とそれに乗り込んだ人。砲塔の大きさもそうだが、フランスの戦車兵は屈指のイケメンで服装も現代ファッションでも通ずるかっこよさ。隠れてしまう靴もそうであるが、どう見てもヘルメットが最高にかっこよい。ヘルメットがかっこよく、スカーフがかっこよく、タンカースジャケットがかっこいい。上から下へかっこよさがよどみなく一気通貫。そのステージに密度のある小さな砲塔。文句のつけようがない。

 

模型は、失敗を防ぐためには説明書の順を追って作った方が良いに決まっている。

では「より良く楽しむためには」というと少し事情が違う。

 

そして、私たちは模型を説明書のとおりに作らないことに実は慣れている。塗装をする場合はちょっと頭を捻って順番をいい具合に調整するのだ。慣れているのに、いざ「組み立てだけ」と考えると、そうではなくなる。

 

GET DOWNというNetflixオリジナル作品のHIPHOPドラマがあったが、その中では曲の一番魅力的なところを「Get Down」と称していた。そこを繰り返したり組み合わせたりしてDJもMCもお客さんも楽しむ。

 

「曲の良いところだけなんて、邪道だ」

 

なんて言うようにプロダクトに真摯に取り組む姿勢を見せる人だって、まさかあるアーティストのアルバムを聞くときは必ず1曲目から聞く。なんてことはないだろう。歌詞をすべて諳んじることができるだろうか。

 

私たちは常に選んでいる。

模型を買うときも選んでいるし、どの色で塗るかも選んでいる。

 

では、「選んでいる」ということをどこまで砕き自覚的に振る舞うのか。

 

順番を選ぶことも、塗らないことを選ぶことも、完成させないことを選ぶことも、立派な選択で、それが成果として突如SNSにポーンと現れる。

 

ずるい?そんなことないね。作る時間以上に考えて感じてるんだから。

手をかけた時間は少ないだろうが、考えた時間は倍の倍の倍、感じた時間はキットを見たその日から箱を開けて組み立て終わるまで。なる鐘だって数は多いし音色も鮮やか。そして何より聴いたことがない音が聞こえて頭がガツンとやられる。

 

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模型は、もっと楽しい。そして、盛り上がる。

道でもないし、深くもない。

完成させたり、手をかけた時間だけが素晴らしく美しく、尊い時代をふっとばし、広く楽しい場に魅力を抽出して凝縮したものを作る時代が始まって、いつまでも続くと良いと私は思う。

 

さぁ、Get Downを探そう。

 

↓模型はもれなく組み立ててブログにのります。

私の欲しい物リスト

 

今週の物販

 

 

 

 

 

 

Easy Breezy

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  • 発売日: 2020/01/17
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無塗装も楽しいのか

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私は割と無塗装で模型を仕上げることが多い。

 

塗装して仕上げたものなんて作ったキットの数の十分の一にもすぎないと思う。無塗装は、楽しい。模型を作る過程の「切って貼る」これにめちゃくちゃフォーカスできる。なんなら、最初は無塗装で作りまくって模型に重要な「位置決め」を徹底的に覚えた方が良いとすら感じる。転輪や牽引用のリングの向き、それで合ってる?

説明書に指摘されるのはいつだって、組み立てに関わる向きや裏表の話が主で「作る上でこれを守らないと障害になること」が言葉や視線誘導ではっきりと目につくようになっている。

 

反面、今挙げた転輪の向きが揃ってるとかそういうのは「揃えましょう」とは書かれていない。こんなの書いてたら説明書は分厚くなるばかりだ。

 

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無塗装はいつだって私を簡単には許してはくれない。

出来上がったものが日光を浴びれば、流し込み接着剤で質感が変わった部分はザラッとその姿を見せてくるし、うっかり接着剤が指につこうものならベタっと指紋が残る。削っても、削った跡が残る。

 

一生懸命、向きを揃えたつもりでも、どこかのタイミングでずれてしまう。無塗装だからこそ、そういう至らない点の方が目に行く。R35も、そうだった。

 

「塗装を頑張りました」

ウェザリングを頑張りました」

「合わせ目を消しました」

 

無塗装はあまりにも基礎的で当たり前すぎてそういう「頑張りました」が無い。

また、筆で色を塗ったときに筆ムラを味だと許したりするように挙げた作業には(きっと加点項目だからだろう)そういう「許し」がある。

 

無塗装が、加点要素として持ち得る可能性と許しは「水平垂直の向きが揃ってる」とか……それくらいだろうか。

 

無塗装は簡単だが、難しい。

 

「包丁で切るだけ」なのに「切れた!」っていう人と「切れてない」という人がいる。そういう世界でもあると思う。

 

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だから私は、無塗装は楽しいと思う。